三重県鳥羽市の中村欣一郎市長は1月下旬、2019年度のふるさと納税の寄付額が3億円を突破したことを定例会見で発表しました。一時期とりやめていた同市の真珠を返礼品に戻したことによるもので、中村市長は「とても嬉しく思う」と語っています。
同市によれば昨年4月から12月までの同市へのふるさと納税は、寄付3476件、寄付金額3億8756万5千円。そのうち半数近くが返礼品に真珠を指定したそうです。同市は19年度の寄付総額を4億3千万円と見込んでいます。
同市では2008年から返礼品に真珠製品を用意し、17年度には約5億円の寄付を集めました。しかし同年に総務省から「資産性の高い宝飾品に該当する」との通知を受け、12月に取り扱いを中止。すると翌18年度には寄付金額は1億8千万円まで落ち込んだということです。
市は返礼品の価額を寄付金の3割以下に抑えた上で、「真珠製品は鳥羽市を代表する地場産品だ」として復活を国に繰り返し要望。その甲斐あって昨年8月末に復活となり、そこから寄付金額は〝V字回復〟を見せました。
中村市長は「市民には真珠養殖発祥の地として強い誇りがある。それが認められたことは嬉しい」と話しています。鳥羽市と隣接する志摩市でも、昨年9月から返礼品に真珠製品を復活させた結果、前年度比で倍近い寄付金が集まっているということです。
ふるさと納税制度を巡っては、大阪府泉佐野市ら4自治体が過度に豪華な返礼品を送ったとして制度から排除されるペナルティーを受けましたが、「総務省による権力の乱用である」として提訴される事態に発展しています。鳥羽市の返礼品についても、一度は「資産性が高い」として中止を求めた真珠製品を「地場産品である」として復活させた総務省の判断は、基準のあいまいさを改めて露呈した格好といえそうです。
<情報提供:エヌピー通信社>