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税務トピックス 2025月10月28日

BtoB業態の免税事業者、8割が課税転換

 インボイス制度の開始前に免税事業者だったBtoB業態の事業者が、課税転換してインボイス発行者登録をした割合は78.6%だったことが日本商工会議所の調べでわかりました。BtoC業態の事業者の課税転換割合は24.6%にとどまっています。免税のままだと取引を打ち切られるおそれがあると判断したBtoB事業者が多かったことがわかります。
 調査は商工会議所の会員事業者を対象として7月に実施。2710事業者から回答を得ました。事業形態別では個人事業主が52.4%、法人が46.5%、その他の団体等が1.1%。

 制度導入前に免税事業者だったBtoB事業者にインボイス後の課税方式を聞いた設問で「免税のまま」と回答したのは21.4%。「本則課税転換」が27.7%、「簡易課税転換」が50.9%、合わせて78.6%がインボイス登録をしていました。一方でBtoC事業者は「免税のまま」が73.1%で最も多く、「本則課税転換」が10.8%、「簡易課税転換」が13.8%。インボイス登録をした事業者の合計は24.6%でした。

 課税事業者への転換がきっかけで取引価格の値上げを実現した事業者が少なくないこともわかっています。免税事業者だったBtoB事業者のうち、課税転換を契機に「自ら価格交渉をした」のは10.3%、「取引先から価格交渉があった」のは12.9%。話し合いの結果、値上げを実現できたのは交渉した事業者の76.9%におよびます。結果の内訳は、「消費税相当程度の値上げ」が51.9%、「消費税相当に満たない値上げ」が17.3%、「消費税相当を超える値上げ」が7.7%でした。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2025月10月28日

《コラム》最低賃金全国平均時給1,121円

◆全国加重平均66円上げ過去最大
 中央最低賃金審議会で賃金引き上げ額が全国加重平均は24年度実績から66円引き上げ時給1,121円で決まりました。現在の1,055円から上昇率6.2%と金額、率とも過去最大規模のアップです。引き上げは23年連続で、目安以上の引き上げがされて全ての都道府県で1,000円を超えています。
 発効日は2025年10月ですが、今年は半分以上の府県は11月以降になります。

◆中小企業の経営には生産性の底上げが急務
 中小企業者に対し日本商工会議所が2025年1月~2月に行った調査では、最賃上げ対策としては「設備投資等人件費以外のコスト削減」(39.6%)「残業時間・シフトの削減」(31.3%)となっていました。引き上げに見合う経営体力が伴わなければ、高い賃金を提示されても重荷となり人材採用、雇用維持ができず地域経済がしぼむリスクもあります。
 労働政策研究・研修機構が実施した調査では最も低いパート賃金が「最低賃金の10%以上上回る」と答えた企業は26.7%しかありません。社会保険料がかかり始める「106万円の壁」に達する人も増えていくでしょう。
 最低賃金の近くで働くパートやアルバイトは多く、基準となる金額の引き上げで社会保険料がかかり始める人が増えてきます。社会保険料の支払いを回避して働き控えをする人も一定数います。最低賃金の引き上げが人手不足に拍車をかけることにもなりかねません。

◆準備期間は限られている
 例えば、最低賃金で1日8時間、21日働くパートの場合、1,055円×8H×21日=177,240円だった月給が1,121円×8H×21日=188,328円となり、差額は月11,088円、年間で約13万円超の増加です。
 ある飲食店の対応策例では、
・ピーク時間のみ勤務の「短時間勤務に」切り替え
・夕方以降の清掃を外注に切り替え
・接客業務のセルフ化、タブレットの活用
・売上げが少ないメニューの廃止 等
 時給制社員の最賃改定後の賃金シミュレーション、人件費総額の影響試算、不採算業務の作業の洗い出しなどで作業の見直し等をしてみましょう。

その他 2025月10月21日

【時事解説】運送業界規制で悪化する資本効率 その1

 在庫を持つことは売上計上のために不可欠ですが、必要以上に保有することは経営上マイナスに作用します。在庫を持てば、資金負担が重くなりますし、物品を置いておく倉庫も必要になることに加え、長期間にわたる在庫保有は減損や陳腐化リスクを抱えるからです。したがって、在庫は少ない方が財務上は効率的です。かといって、在庫を余り絞りすぎると欠品が生じ、売上機会を逃すことや、工場の製造ラインが止まる危険性があります。経営者の手腕は、いかに少ない在庫で売上や製造を伸ばすかにある、といってもよいでしょう。

 日本の製造業はその在庫戦略で高く評価されていました。それが「ジャストインタイム」という生産方式です。ジャストインタイムは「必要な物を、必要な時に、必要な量だけ」調達し、できるだけ在庫を圧縮し、経営を効率化する生産・経営方式です。最も有名なのはトヨタの「かんばん方式」であり、この「かんばん方式」がトヨタの効率的な生産体制と高い収益性に大きく貢献しているといわれています。

 確かに、ジャストインタイムは企業単体で見れば、合理的です。ただ、ジャストインタムを維持するためにはある一定の条件が整っていなければなりません。それは市場にはいつでも必要な物が存在していることを前提に、所要量を機動的に届けてくれる物流の存在です。企業がジャストインタイムを維持できたのは、運送業界に過重な負担をかけてきたという側面もあったことは否定できません。荷主のニーズを満たすために、小口配送を頻繁に行い、作業現場までの細やかな配送まで行っているケースもあったからです。そのジャストインタイムに必須の要素である物流が、大きな岐路に立たされています。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

その他 2025月10月21日

【時事解説】運送業界規制で悪化する資本効率 その2

 2024年4月以降、トラックドライバーの年間の時間外労働時間の上限が960時間に制限されるようになりました。運送業界がこれまで行ってきたような過剰なサービスができなくなると、ジャストインタイムの精密度は下がらざるを得なくなります。運送業界の負担に配慮すれば、在庫は多めに持たなければなりませんし、物品を保有するスペースも必要になりますから、相応の資金負担がかかります。資金負担を手持ち現預金でカバーできなければ、借入金が増えますから、資産、負債が増加することになります。それは結果的に利益の減少を招きますから、ROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)は低下することになります。

 当然のことではありますが、資本市場は各企業に資本効率の向上を求めます。それに対応し、これまで、企業は資産のスリム化や利益率の上昇に努めてきました。ところが、運送業界の労働規制に対応すると、そうした方向性に逆行します。しかし、だからといって、それが間違っているわけではありません。社会の安定性を考えれば、各企業が資本の効率性を犠牲にしても、資産等に余裕を持つことは社会的に望ましいことであるはずです。

 効率性のあくなき追求は、社会や市場が安定しているときには、是認されます。しかし、今回のような社会的要請に止まらず、昨今では温暖化の影響による地球環境の限界も議論されており、効率性を犠牲にしての企業行動が求められるケースが増加することが予想されます。そうした企業行動は社会や環境の持続可能性という点では評価すべきものです。その意味から、資本市場もそうした動きをマイナスに捉えるのではなく、応援できるような形の評価基準を持つことが求められているように思われます。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

税務トピックス 2025月10月14日

(前編)日税連:令和8年度税制改正に関する建議書を公表!

(前編)日税連:令和8年度税制改正に関する建議書を公表!

 日本税理士会連合会(以下:日税連)は、令和8年度税制改正に関する建議書を公表しました。
 それによりますと、税制に対する基本的な視点として、担税力に即した公平な税負担、中立的で簡素な税制、合理的な事務負担、時代の変化に適合する税制、税務行政の透明性と適正な手続きを挙げております。

 建議・要望は、特に強く主張したい6項目の「重要建議・要望項目」や、中長期的な視点から検討した税目ごとの「今後の税制改正についての基本的な考え方」、全国15税理士会及び日税連650項目の税制改正意見から43項目に集約した「建議・要望項目」から構成されております。
 なお、6項目の「重要建議・要望項目」とは、
①(消費税)複数税率制度を廃止し単一税率制度に戻すとともに、インボイス制度導入に伴う各種特例措置の延長等といった中小・小規模事業者への必要な支援を継続すること
②(法人税)役員給与税制について見直しを行うこと
③(中小法人税制)中小企業者等の法人税率の特例の適用期限について延長すること
④(災害対応税制)雑損控除の適用につき「特定非常災害により生じた損失」については、控除の順番を見直すとともに、繰戻還付制度を創設すること

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和7年9月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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