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税務トピックス 2025月12月23日
中国税理士会調査研究部はこのほど、会員税理士を対象に実施した税務調査に関するアンケートの結果を公表しました。それによると、実地調査が1日で終わったと回答した割合は全体の10.4%にとどまっています。その一方で、10日以上の長期間におよんだ割合は12.5%に上りました。アンケートは「法人税」「所得税」「資産税」の3税目についての調査を対象に集計したもの。
全体のうち、実地調査が1日で終わった割合は10.4%、2~3日は41.9%、4~5日は24.5%、6~9日は10.7%、10日以上は12.5%でした。それぞれの割合を合算すると、全体の7割弱は「2~5日」で調査が終了しており、8割弱が「2~9日」で終了、9割弱が「10日未満」で終了している計算となります。しかし、1日で終わる割合よりも、10日以上かかる割合が上回っており、全体的にみても税務調査が長引くケースが増えているといえます。
税目別では資産税の実地調査が比較的短く、1日が35.0%、2~3日が40.4%などとなっています。その一方で、法人税の実地調査は長期化しやすい傾向にあり、1日で済んだケースはわずか4.1%。6~9日が12.3%、10日以上が14.6%となっています。
全調査に占める申告是認割合は28.6%でしたが、事前通知なしの調査だけに絞ると是認率は19.0%にとどまります。重加算税の適用割合は全調査のうち17.1%で、修正申告があった納税者を対象とした適用割合は23.8%。重加算税を適用された税務調査のうち6.2%で税理士が「不満」を持っていたそうです。
3税目全体の調査件数は2072件。このうち、納税者本人ではなく取引先などの関係者を対象とした「反面調査」が行われたケースは252件でした。税務調査に対する税理士の主な意見では、「調査期間が長い」(326件)、「調査官の資質」(203件)、「資料の収集(電子データ含む)」(51件)、「反面調査」(48件)、「確定申告期間中の調査」(43件)などが問題点として挙がったほか、「修正申告の勧奨」(22件)、「税理士を誹謗中傷、軽視」(11件)などを指摘する声もありました。
<情報提供:エヌピー通信社>
その他 2025月12月23日
厚生労働省は社会保障審議会医療保険部会の会合で、70歳以上の高齢者が医療機関の窓口で支払う医療費の負担について、現役世代と同じ3割とする対象者の拡大に向けた基準の見直しを議題として示しました。自民党と日本維新の会は連立政権の合意書で、医療費の窓口負担について「年齢によらない真に公平な応能負担の実現」と明記。これを受けて、厚労省では部会での議論を本格化させ、年末までに方向性をまとめたい考えです。
現行の窓口負担は、原則として70歳~74歳が2割、75歳以上の後期高齢者は1割となっていますが、70歳以上であっても現役並みの所得があれば3割を負担しています。75歳以上では課税所得が145万円以上で、年収が単身世帯で383万円以上、複数人世帯で520万円以上を基準としています。
社会保障審議会の医療保険部会では、厚労省から3割負担とする高齢者の基準の見直しを含め、医療費負担のあり方が議題として示されました。2023年に閣議決定した医療保険の改革工程では、高齢者の3割負担対象者の見直しを28年度までに検討するとしていましたが、これを前倒しで開始するかたち。現役世代の保険料負担が増していることから、政府では高齢者も含めた〝全世代〟で社会保障制度を支え合うかたちに見直していく方針。
維新は参院選で、現役世代1人当たりの社会保険料を年間で6万円引き下げると主張し、選挙公約には高齢者の窓口負担を原則3割に見直すことも盛り込みました。自民党の総裁選では、支払い能力のある高齢者の負担割合を増やす「応能負担」の強化を求める意見が、ほとんどの候補者から出ていました。
部会では、1人当たりの医療費は高齢者ほど高くなる傾向にあるのに対し、自己負担額は低く抑えられているとするデータや、後期高齢者の給与所得や金融所得が増えていることを示す資料などが厚労省から示されました。厚労省では市販薬と効能が似たOTC類似薬(処方箋なしで購入可能な医薬品)への公的医療保険の適用見直しなども含め、年末までに医療保険制度のあり方について一定の結論を出す見通しです。
<情報提供:エヌピー通信社>
税務トピックス 2025月12月16日
自動車の自損事故で死亡した男性が加入していた人身傷害補償保険金の請求権が、相続財産に含まれるか否かが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷はこのほど、「相続財産に含まれる」とする判断を示し、火災保険会社側の上告を棄却。同社に約2200万円の支払いを命じた一審判決と、それを支持した二審判決が確定しました。裁判官5人の全員一致による結論。
判決などによると、建設会社の代表取締役だった男性は2019年に総合自動車保険を契約。男性(被保険者)は保険契約中の20年1月、被保険車両を運転中に自損事故を起こして死亡しましたが、男性の子らがいずれも相続放棄したため、男性の母親が単独で遺産相続しました。
母親は保険金を請求しましたが、契約では保険金請求権者について「被保険者が死亡した場合は、その法定相続人とする」と規定していたため、損保側は「死亡保険金の請求権は、被保険者の第1順位の法定相続人である(男性の)子らに原始的に帰属し、被保険者の相続財産には属しない」などと主張。「請求権は、男性の相続財産には含まれない」として、母親の求めに応じていませんでした。
母親は、相続人として保険金3千万円の支払いを求めて提訴。しかし一審係属中の22年9月に死亡しました。このため男性の兄ら2人が各1500万円の請求権を承継し、母親の裁判を引き継いでいました。
最高裁第1小法廷は、「保険金は被った損害によって生じた不足分への支払いが目的」だと指摘したうえで、「保険金の請求権は被保険者に発生し、相続財産に属すると解するのが相当」と結論付け、「請求権は相続財産に含まれる」との判断を示しました。今後、同様の商品を取り扱う損保各社の保険金支払い判断にも影響を及ぼす可能性がありそうです。
<情報提供:エヌピー通信社>
税務トピックス 2025月12月16日
会計検査院はこのほど、ストックオプションの権利行使で得た利益を申告していない疑いがある納税者の情報が、国税当局内で十分に共有されておらず、2年間に合計150人が得た約60億3400万円の利益に対して課税漏れがあった可能性が高いと指摘しました。
譲渡制限が付されて無償付与されるストックオプションを「譲渡制限付無償ストックオプション」といいます。権利が付与された時点では所得として認識されず、定められた価額で株式を取得(権利行使)した時点で「経済的利益の額」が確定します。権利行使時の株式価額と取得価額との差額が所得税の課税対象となります。
譲渡制限付無償ストックオプションのうち、租税特別措置法に規定する要件を満たすものは「税制適格ストックオプション」、それ以外のものは「税制非適格ストックオプション」とされます。「適格」は権利行使時に課税されず、株式の譲渡時に「譲渡対価の額から取得価額、支払手数料などを差し引いた額」が課税所得となります。「適格」について権利行使や譲渡が生じた場合には証券会社が「特定株式等の異動状況に関する調書」を、「非適格」の権利行使があった場合には権利を付与した会社が「新株予約権の行使に関する調書」を税務署長へ提出します。
調書はデータ化されて国税総合管理システム(KSKシステム)に取り込まれるため、国税局・税務署は記載内容を確認できます。また、国税庁ではKSKシステムによって無申告が想定される納税義務者を抽出し、譲渡所得の見込み額を記載した「対象者リスト」を作成して国税局・税務署へ情報提供することとしています。
会計検査院が「対象者リスト」に記載されている延べ1064人を調査したところ、「適格」での無申告が想定される納税義務者のうち73人(譲渡対価額合計13億965万円)については「税務署への情報提供」が行われていなかったほか、43人(同5億7130万円)については「税務署での処理方針」が定められていませんでした。
また、「非適格」での権利行使時に得た利益を、給与収入などとして適正に計上していない可能性が高い納税義務者34人(経済的利益の額合計41億5321万円)については「税務署が状況を把握しておらず適切な申告確認や接触」が実施されないままとなっていました。
<情報提供:エヌピー通信社>
税務トピックス 2025月12月9日
◆今年の改正内容は年末一気に清算
年末調整は、給与所得者の毎月概算で徴収した源泉所得税とその年の正確な所得税との差額を計算して過不足を清算する手続きです。
今年は改正により基礎控除額が増加した方については、毎月の源泉徴収する所得税は去年と同様で、年末調整時に差額を調整するため、年末調整時に還付する源泉税が大きい額になるケースが多そうです。
◆定額減税から特定親族特別控除へ
名前の長さが毎年際立っている基礎控除等を申告する用紙の名前が「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書兼所得金額調整控除申告書」から「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼給与所得者の特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書」に変更されています。文字数を数えたところ去年より1文字減少しています。
今年新設された特定親族特別控除は、生計を一にする19歳以上23歳未満の親族(配偶者・専従者を除く)で、合計所得金額が58万円超123万円以下(給与収入換算で123万円超188万円以下)の方がいる場合受けられる控除です。この控除が新設されたことにより令和8年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書にも変更が加えられ、「特定親族」のチェック欄が新設されています。
◆控除額判定が変わっているので注意
年末調整に関する内容としては、先に挙げた特定親族特別控除以外にも、基礎控除の引上げと段階の増加、給与所得控除の最低保証額の引上げ、給与所得控除変更による配偶者(特別)控除の額の判定変動など、控除額の判定が改正されています。
年末調整ソフト等で対応する会社であれば、あまり心配ないかもしれませんが、念のためこの機会に国税庁の「年末調整がよくわかるページ」を確認するのが良いかもしれません。
また、基礎控除額の改定に伴い、令和8年分以後の「源泉徴収税額表」が改正されていますから、来年1月からの源泉徴収額に変動のある方が多くなります。今のうちにチェックしておきましょう。
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