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コラム 2025月04月1日

《コラム》使い勝手よい適格現物分配

◆組織再編制度としての現物分配
 法人が株主に対し配当により金銭以外の資産を交付することを会社法では現物配当と言っていますが、法人税法はこれを、現物分配と規定し組織再編行為としています。その結果、現物分配は、組織再編による資産の譲渡と認識されることになります。
 また、100%完全支配関係での現物分配は適格現物分配と規定され、適格現物分配での資産の移転価額は、移転直前の帳簿価額に拠るものとされ、譲渡損益は生じないことになっています。

◆配当の仲間から排除しての益金不算入
 適格現物分配は、法人税法上、受取配当金の仲間から除外されています。その結果、完全子法人株式・関連法人株式に係る配当計算期間における継続保有規定での適用制限要件から解放されています。さらに、適格現物分配は、所得税法上の配当所得からも除外され、その結果、配当所得に係る源泉徴収の対象から除外されてもいます。
 なお、適格現物分配は、利益積立金の増加項目として政令に特記されています。会計上収益計上されている受取配当金は、従って実務的には、法人税申告書別表四において「適格現物分配に係る益金不算入額」として減算・社外流出処理をすることになります。

◆適格現物分配と継続要件
 組織再編税制における適格要件では、100%の持株関係という完全支配関係の継続が見込まれていること、と規定されるものが多いのですが、適格現物分配制度では、現物分配を行う直前での完全支配関係だけで十分で、継続要件は置かれていません。

◆現物分配と消費税
 現物分配は、配当という手段で不動産や株式などの金銭以外の資産を交付することなので、資産の譲渡の概念に含まれる、と言えます。しかし、資産の譲渡の概念に含まれるとしても、必ずしも消費税の課税対象になる、というわけではありません。
 対価を得て行う事業行為であれば消費税の課税対象となる資産の譲渡等に該当することになりますが、現物分配は株主の地位に基づく、出資への謝礼として分配されるものなので、消費税法上の資産の譲渡等には該当せず、不課税となります。

税務トピックス 2025月04月1日

新NISA利用者の7割超が利益

 日本証券業協会はこのほど「新NISA開始1年後の利用動向に関する調査結果(速報版)」を公表しました。調査によると、2024年に新NISAで利益が出たひとの割合は「成長投資枠」で70.2%、「つみたて投資枠」で82.8%でした。

 NISAは株や投資信託の利益・配当にかけられる約20%の税金がゼロになる制度で、24年に仕組みが大幅に見直されました。新しい制度(新NISA)には「成長投資枠」と「つみたて投資枠」が設けられ、それまでの〝枠〟とは異なり両方の枠で同時に投資ができます。年間投資額も拡充され、成長投資枠が従来の2倍の年間240万円、つみたて投資枠は3倍の同120万円となり、併用すれば年間360万円の投資が可能となりました。保有限度額や非課税で保有できる期間も拡充されています。

 今回の調査によると、24年に新NISAで金融商品を購入した調査対象者7610人の平均購入金額は103.3万円でした。利用者の年収は300万円未満が39.7%、300万円~500万円未満が27.7%、500万円~700万円未満が17.1%、700万円~1千万円未満が10.0%、1千万円以上は5.6%でした。

 成長投資枠での投資でプラスとなったひとの割合は70.2%、マイナスは12.2%。つみたて投資枠ではプラスが82.8%、マイナスが2.3%でした。
 購入銘柄のタイプは、成長投資枠では「日本国内株式」が48.8%で最多。「日本含む投資信託(インデックス型)全世界株式」が13.1%、「投資信託・日本国内株式、債券、REIT」が3.2%などでした。つみたて投資枠では「日本含む投資信託(インデックス型)全世界株式」が36.8%で最多。「日本除く投資信託(インデックス型)全世界株式」が18.5%、「投資信託・日本国内株式、債券、REIT」が5.6%などとなっています。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2025月03月25日

《コラム》離職票を離職者のマイナポータルに送付

◆離職者に直接送付マイナポータルサービス
 令和7年1月20日から離職者に直接に離職票が送られるサービスが始まります。
 離職票が使われる場面では雇用保険の被保険者が離職後に求職者給付(基本手当等)を受給するための書類です。離職票はハローワークから事業所を通して離職者に送られます。令和7年1月20日より希望する離職者のマイナポータルに直接送付することができるようになりました。離職者がハローワークで求職の申し込みをするには、事業者から離職票が届くまで1週間から10日ほど待つことになっていましたが、新サービスを使えばその期間は短縮されます。事業所も離職票を送る手間が省けます。

◆離職票が送付されるまでの流れ
 現在は事業所が雇用保険の資格喪失届と離職証明書をハローワークに提出すると離職証明書は3枚複写で、そのうち事業主控えと本人宛離職票を事業所に郵送または電子送付しています。事業所は資格喪失届と離職証明書をハローワークに電子申請するとハローワークは離職証明書の事業主控えを事業所に電子送付し、離職票を離職者のマイナポータルに直接送付します。

◆離職票をマイナポータルに直接送付
 事業所が離職者のマイナポータルに直接送付してもらうには手続きが必要です。まず被保険者に向けたリーフレットを使って周知する必要があります。ただしこのサービスは離職者の任意の利用ですのでその点は留意しておきましょう。
①被保険者本人のマイナポータルで、マイナンバーがハローワークに登録されているか確認してもらい、登録されていない場合は事業所が「個人番号登録・変更届」をハローワークに提出しマイナンバーを登録してください。平成28年1月からマイナンバー登録が義務化されたので、それ以前に資格取得していた人は登録されていないかもしれません。
②被保険者のマイナンバー登録が済んでいる場合は被保険者本人にマイナポータル上で「雇用保険WEBサービス」との連携設定を行ってもらいます。①、②は資格喪失提出の2週間前までに行ってください。
③雇用保険の離職手続きを電子申請で行わず紙様式で行った場合は従来どおりの事業所経由の郵送になります。

コラム 2025月03月25日

《コラム》従業員個人の携帯電話を業務利用している場合の諸問題

◆個人の携帯電話を仕事利用してませんか?
 従業員個人の携帯電話を業務に使わせたり、利用することを容認せざるを得なかったりといったケースは少なくありません。“法人契約だと高くつくし、利用料としていくばくかの手当を払っているので良しとしよう”といった理由でこれまで過ごしてきたという状況ではなかったでしょうか。

◆業務使用部分の経費化と精算方法
 個人携帯の使用料を会社が負担し、会社の経費とするためには、通話明細書等により確認された業務のための通話に係る料金を従業員が明示し、それを企業が従業員に支給すれば従業員に対する給与として課税する必要はありません。また、業務のための通話を頻繁に行う業務に従事する従業員については、国税庁が例示している所定の算式により算出したものを、業務のための通話に係る料金として差し支えありません。
 が、しかし、現実的には、通話明細を開示して業務用だけ抽出して提示することを忌避されたり、毎月計算することが面倒だったりとして使いづらい精算方法です。一定の金額を通話料手当として給与課税としてしまっているケースが多いのではないでしょうか。

◆個人情報保護・事業情報漏洩防止のために
 経費問題をクリアしたとしても、コンプライアンスの観点や情報漏洩のリスク、個人情報の保護などから問題なしと言えるでしょうか。
 個人の携帯電話には従業員の個人情報やプライベートな通信記録などの保護されるべき情報が詰まっています。逆に、業務上の企業の機密情報が個人携帯から漏洩してしまうリスクもあります。従業員が退職して機密情報を持ったままライバル企業に就職してしまうこともないとは言えません。また、業務の電話が個人の勤務時間外でもつながる状況にあると労働時間の問題も惹起しかねません。
 個人携帯と会社携帯と2台持ちになると荷物になるし充電も倍になるから面倒だという意見もあります。しかしながら、会社契約で、セキュリティ対策も万全にし、Web閲覧の制限でウイルス感染を防ぎ、会社が情報を管理でき、仕事とプライベートを切り離すことができて、かつ、経費算入の問題もすっきりする法人契約の携帯電話利用にそろそろ切り替えるべき時期になってきているのではないでしょうか。

税務トピックス 2025月03月18日

観光庁が免税制度見直しの資料公表

 観光庁はこのほど、免税店や承認送信事業者など免税制度に関わる事業者を対象に開催した「免税フォーラム」で、財務省・国税庁などが示した資料を公表しました。免税制度については、購入時に消費税分も支払い、免税取引であることが確認できた後に返金する「リファンド方式」へ見直すとしています。

 財務省、国税庁、経済産業省、観光庁が共同で示した資料「外国人旅行者向け免税制度の見直し(案)について」では、外国人旅行者向け免税制度の概要を説明。そのうえで、「免税対象物品は、輸出するために購入される物品のうち通常生活の用に供する物品(金または白金の地金や事業用または販売用として購入されることが明らかな物品は対象外)であり、金額基準(同一の販売場1日当りの基準)がある」と解説しています。

 また、「1億円以上の高額購入者に対する税関検査」での捕捉率が極めて低い状況で、現状では「9割近くが補足できていない」と報告。賦課決定できたとしても、購入者の大多数は納税資金を持ち合わせておらず、「ほぼすべてが滞納となっている状況」だとしています。

 このため資料では、2025年度税制改正大綱に「出国時に持ち出しが確認された場合に免税販売が成立する制度とし、確認後に免税店から外国人旅行者に消費税相当額を返金するリファンド方式に見直す」ことが盛り込まれていると解説。フォーラム参加者に「外国人旅行者の利便性向上や免税店の事務負担軽減の観点から、一般物品と消耗品の区分や、消耗品の購入上限額及び特殊包装を廃止するとともに、免税店が販売する際に『通常生活の用に供するもの』であるか否かの判断を不要とする等の措置を講ずる」としたうえで、「新方式の施行に当たっては、空港等の混雑防止確保の観点から必要な環境整備等を行うほか、関係省庁において、業界団体等とも連携しつつ周知・広報を行う」と説明し、免税制度見直しについての理解と協力を求めています。

<情報提供:エヌピー通信社>

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