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コラム 2025月12月2日
◆年収の壁にかかる見直しの一環10/1より
令和7年度税制改正において特定扶養控除の要件の見直し及び特定親族特別控除の創設が行われました。そこで健康保険法の被扶養者の認定対象者が19歳以上23歳未満である場合の取り扱いの通達が出されました。それは認定対象者の年間収入にかかる要件のうちその額を130万円未満とするものについて当該認定対象者(被保険者の配偶者を除く)が19歳以上23歳未満であるときは150万円未満として取り扱うというものです。年間収入額の要件以外は以前の考えと変わりません。
◆これまでの認定要件
1.認定対象者が被保険者と同一世帯に属している場合
① 認定対象者の年間収入が130万円未満(60歳以上または一定の障害者は180万円未満)かつ被保険者の年間収入の2分の1未満である場合
② 上記の条件に該当しない場合であっても、認定対象者の年間収入の130万円未満(同上)かつ被保険者の年間収入を上まわっておらず、被保険者がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしている認められるとき
2.認定対象者が同一世帯に属してない場合
認定対象者の年間収入が130万円未満(同上)かつ被保険者からの援助による収入額より少ない場合。
◆対象の社員(被保険者)にお知らせする事
1.対象家族の収入は令和7年9月までは130万円未満ですが、令和7年10月1日以降は年間収入が150万円未満に拡大されます。対象家族の年齢はその年の12月31日の年齢で判定します。被扶養者の認定を受けるときの年齢とは必ずしも一致しません。
2.健康保険における年収は過去の年収ではなく被扶養者に該当する時点と被扶養者として認定された日以降の1年間の見込み収入額のことを指します。
3.収入要件の変更に伴い130万円以上150万円未満であり健康保険の被扶養者として新たに認定を受ける場合にはこれまで通り加入手続きが必要になります。
大学生が扶養から外れないように就業調整をしていることを受け、人手不足の観点から認定を緩和した措置です。大学生を扶養する被保険者がいる場合は押さえておきましょう。
税務トピックス 2025月12月2日
法人県民税(法人税割)の標準税率に0.8%程度を上乗せして徴収する特例措置(超過課税)を実施している自治体で、超過課税の適用期間を延長し、実質的に恒久化する動きが広がっています。その多くが、2021年に特例措置を5年間延長しており、来年には期限切れを迎えるため。多くのケースでは9月の県議会定例会で適用期間の5年間延長を認める条例を可決。31年まで再延長する内容となっています。
法人県民税には「均等割」と「法人税割」があり、①県内に事務所・事業所がある法人は均等割と法人税割を②県内に事務所・事業所はないが寮・宿泊所・クラブなどがある法人は均等割を③法人課税信託の引き受けを行うことにより法人税を課される個人で、県内に事務所または事業所を有するものは法人税割を――それぞれ納付。法人県民税の「均等割」は資本金の大きさなどによる法人区分ごとに税額が定められており、「法人税割」は法人税額に一律の税率を乗じて算出します。
「超過課税」とは、地方税法で定められた標準税率を超える税率で課税すること。多くの自治体では、1975年に「法人の県民税の特例に関する条例」などといった名称で特例措置を制定していて、おおむね5年に1度のペースで法人税割の標準税率に0.8%程度上乗せする超過課税の適用期間延長を半世紀以上繰り返しています。
今回、さらに5年間の再延長を決めた自治体では、超過課税の状態が55年以上続くことが確定したといえます。
<情報提供:エヌピー通信社>
税務トピックス 2025月11月25日
東京都が東京国税局からの照会を受けて都営住宅の家賃収入などを出納管理する「都営住宅等事業会計」について確認したところ、2022年度以前の21年間分の消費税が未納になっていたことが分かった問題で、都は国税局の照会よりも前の24年時点で税理士法人から過去の納税義務についても確認が必要との指摘を受けていたことが明らかになりました。
都はこのほどの告示で、「未納となっている消費税について申告・納付しましたのでお知らせします」としたうえで、「東京都都営住宅等事業会計については、インボイス制度への対応に伴い、23年度事業分から申告・納税を行っていますが、25年5月に東京国税局より22年度以前の事業分について照会を受け確認したところ、消費税の申告・納税義務があることが分かりました」と経緯を説明。都の対応については「未申告判明後、納税額等の算定を行った結果、対象となる19年度から22年度分までの約1億3642万円(消費税約1億1965万円、延滞税約1079万円、無申告加算税約598万円)を税務署に納付しました」と報告。「対象となる19年度から22年度分まで」の4カ年度分だけを納税したと発表していました。実際には、02年度から22年度分までの21カ年度分が未納になっていました。
都は今年5月に東京国税局からの照会を受けたことで未納を把握したと説明していましたが、24年に税理士法人が指摘した後もこの問題を放置していた疑いが新たに浮上しています。この点について、都の住宅政策本部長は都議会定例会で、「都営住宅等事業会計の23年度分の消費税の申告・納付の業務委託のなかで、税理士法人から22年度以前の納税義務についても確認が必要であるとの指摘があったことを確認しています」と答弁。総務局長も「税理士法人から指摘があったことについてはすでに把握しており、これをどのように受け止めたのか、なぜ申告がなされなかったのかなどの事実関係を監察におきまして明らかにしてまいります」と答弁し、都が遅くとも24年中には消費税の未納を認識していた事実を認めました。
<情報提供:エヌピー通信社>
コラム 2025月11月25日
◆改正下請法で何が変わるのか
令和8年1月1日施行の新・下請法(正式名称「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」)では、発注側と受注側との価格交渉が法的に義務づけられます。中小受託事業者がコスト増を理由に価格見直しを申し出た際、委託事業者が正当な協議を拒否することは、今後違法行為とみなされる可能性があります。
この改正により、価格交渉の「結果」ではなく「交渉の姿勢」自体が法の監視対象となるため、価格転嫁を申し出ることが実務上の正当権利として明確になります。
◆対象事業者と規制の範囲拡大
今回の改正では、保護対象となる中小受託事業者の基準が見直され、従来の「資本金要件」に加えて「従業員数基準」が導入されます。これにより形式上は大企業に見えるが実質的には中小規模の事業者が保護対象に含まれるようになり、適用範囲が実務に即して拡大されます。
◆手形廃止で資金繰りが安定化
支払い方法に関しても大きな変更が加えられます。新法では、手形による支払が原則禁止され、代金は現金で支払うことが義務づけられます。これにより、支払期日から現金化まで最大で120日かかっていた従来の手形取引から脱却し、最長でも60日以内の現金回収が可能になります。
この改正は、資金繰りに不安を抱える受託側の経営安定に直結するものであり、とりわけ仕入額の大きい製造業や工事業、物流業などの中小企業にとっては日常的なキャッシュフロー改善に直結する重要な施策となります。
◆物流業者への明確な保護も
さらに、これまで下請法の枠外であった「運送委託」も新たに適用対象として明記されました。発荷主が運送業者に対して直接委託を行う場合、運送業者は法的に保護される立場となります。
たとえば荷役や荷待ちを無償で強いられるような取引、燃料費高騰に対する価格交渉の拒否なども、今後は法の対象として是正が可能となります。中小の運送業者にとっては、契約内容の明確化と価格転嫁の要求が制度的に支えられることで、収益構造の見直しと労務改善のきっかけにもなり得ます。
コラム 2025月11月18日
◆「社外に開く」ことが経営力に直結する
中小企業白書では、企業の情報開示や意思決定の開放性が、成長性や組織力にどのような影響を及ぼすかが分析されています。中小企業においても、経営情報を従業員や外部関係者と共有し、対話を通じて意思決定に反映させることで、業績に好影響をもたらす傾向が確認されています。特に、成長企業ほど事業計画や財務状況を「見える化」し、取引先・金融機関との信頼関係を強化している点が明らかです。
◆社内での情報共有が組織の一体感を生む
経営者が財務数値や経営方針を積極的に社員と共有する企業では、業務への納得感や主体性が高まる傾向があります。経営の透明性は、単なる報告や開示ではなく、従業員のモチベーションや巻き込み力にもつながっているのです。特に中堅層や現場のリーダー層に対し、経営課題やKPI(重要業績評価指標)の背景を丁寧に伝えることで、自律的な改善行動が生まれ、結果として業績に好影響を与える好循環が形成されます。
◆ガバナンス意識が外部の信頼を獲得する
外部取締役の導入や経営会議体制の整備など、いわゆる「ガバナンス改革」に取り組む中小企業も増えてきています。これは上場企業に限った話ではなく、特に第三者承継や外部資金の導入を予定する企業にとっては、「社長のワンマン体制」からの脱却が必須です。金融機関・VC・自治体などの支援者から信頼を得るためにも、経営判断の透明性を制度として担保することが求められます。開放性は、資金調達力・人材採用力の向上にも直結するのです。
◆「共有」と「協働」が成長の土台
経営の透明性・開放性は、単なる形式整備ではなく、経営者自身が変化を受け入れ、周囲を巻き込む姿勢があってこそ成立します。事業計画書の共有、月次業績のオープン化、社内ミーティングでの双方向の議論など、小さな取組の積み重ねが文化を作ります。支援機関や専門家との連携により、統治体制の整備や報告書類の標準化も支援可能です。中小企業がスケールアップを目指すには、「閉じた経営」からの脱却が出発点となるのです。
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