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コラム 2026月01月6日

《コラム》2025年中小企業白書を読み解く スケールアップ実現に向けてすべきこと

◆成長意欲はあるが進まない現実
 2025年版中小企業白書によれば、多くの中小企業が「売上拡大」や「利益増加」を経営方針に掲げている一方で、実際にスケールアップを実現している企業はごく一部にとどまっています。例えば、従業員数が30人未満から100人以上へ拡大した企業は、10年間でわずか1割程度。多くの事業者は意欲を持ちながらも、成長に必要な条件や環境整備が不足しているのが現実です。成長の「意志」はあっても、「実現」に結びつかない状況には、明確な理由があります。

◆リスクと不確実性への不安
 スケールアップを妨げる要因として最も大きいのが、リスクへの懸念です。人件費や原材料費などのコスト増に加え、需要変動や外部環境の不確実性が投資の足かせとなっています。とりわけ中小企業にとっては、ひとたびの失敗が資金繰りを直撃する可能性があるため、慎重な姿勢を取らざるを得ません。白書では「設備投資を控える理由」として、「今後の需要が読めない」「先行投資が不安」という声が目立っており、こうした不安をどう取り除くかが鍵となります。

◆人材確保という最大のボトルネック
 成長に欠かせないのが人材ですが、ここにも大きな課題があります。白書では、従業員数が増えない企業では「業務負担の増加」「スキル不足」といった問題が慢性化しており、人手が足りずに事業拡大ができないという声が多く見られました。特に若手人材の採用・定着には課題が山積しており、働き方改革や待遇改善、職場環境の整備を通じて、持続的な人材戦略を構築することが急務となっています。

◆外部連携と支援活用が突破口に
 こうした課題に対し、白書では「支援機関や金融機関との連携」「異業種ネットワークの活用」など、外部リソースを活かす戦略が有効であるとしています。実際、成長企業の多くは支援機関を積極的に活用しており、経営課題の可視化や資金調達の改善につながっている例が紹介されています。
 自社だけで解決しようとせず、外部の知見や制度を取り込むことで、スケールアップの可能性は格段に広がるのです。

コラム 2026月01月6日

《コラム》代償分割による遺産分割

◆代償分割とは
 相続後も親の不動産に住み続ける場合、複数の相続人が不動産を共有で相続することは、将来の建替えや売却の際、所有者全員の同意を得なければならないなど、所有関係を不安定なものにしてしまいます。このように現物分割が困難な財産の場合に、特定の相続人が現物の財産を取得し、代わりに他の相続人には、それぞれの持分に応じて債務を負担して遺産分割することができます。これを代償分割と呼びます。

◆代償財産の価額の計算方法
 代償分割で交付する財産(代償財産)の価額は、財産を取得した相続人が他の相続人に対して支払う債務(代償債務)の額となります。例えば相続人が兄弟2人で兄が親の居宅を相続して弟に金銭を支払う場合、居宅と敷地の相続税評価額を4,000万円、支払額を2,000万円とすると、それぞれの取得財産の価額は次のように計算します。
 兄の課税価格: 4,000-2,000=2,000万円
 弟の課税価格: 2,000万円

 また、居宅と敷地の評価額を時価とする場合、時価を5,000万円、支払う金銭を2,000万円とすると、それぞれが取得する財産の価額は次のように計算します。
 兄の課税価格=C-A×C/B=2,400万円
 弟の課税価格=A×C/B=1,600万円
 A:代償債務の額 2,000万円
 B:代償債務の額の決定の基となった財産の通常の取引価額(時価)5,000万円
 C:代償債務の額の決定の基となった財産の相続税評価額 4,000万円

◆不動産で支払うと譲渡所得税が課税される
 代償財産が相続人の所有不動産の場合、相続人は代償債務の支払いのため、自身の所有不動産を時価で譲渡したものとして、譲渡所得に課税されます。この場合、代償債務の負担額は、代償分割によって取得した相続財産の取得費に算入されません。

◆代償分割の活用
 預貯金や株式、信託財産など金融資産を分割する場合、相続人の数が多いときは、分割に相続人間の同意がある場合でも、相続人全員が一堂に会して金融機関向けの申請書類に署名・押印する手続きは負担が重くなります。この場合も相続人代表者が代償分割を活用すれば手続きが楽になりそうです。金融機関と事前に相談しておくことをお勧めします。

コラム 2025月12月30日

《コラム》教育訓練休暇給付金の実務対応

◆制度概要と導入の目的
 2025年10月から雇用保険に新設された「教育訓練休暇給付金」は、従業員が自発的に無給の長期休暇を取得して教育訓練に専念する場合に支給される新制度です。給付額は失業等給付と同様の方式で算定され、支給はハローワークから直接本人に行われます。制度創設の目的はリスキリング推進ですが、企業側にも準備が求められます。

◆税務面での取り扱いと留意点
 まず税務面では、この給付金は雇用保険法上の「失業等給付」に該当し、所得税法上も非課税所得と位置付けられます。したがって源泉徴収や年末調整の対象外であり、企業が課税処理を行う必要はありません。類似の育児休業給付金や介護休業給付金と同様、給与と誤って処理しないことが実務上の留意点となります。

◆就業規則と事務手続き
 次に人事労務面では、就業規則の整備が不可欠です。制度の利用には「無給の教育訓練休暇」を規程に明記し、対象となる休暇が業務命令ではなく労働者の自主的取得であることを担保する必要があります。加えて、申請に必要な「賃金月額証明書」などを発行する事務手続きも会社の責任となります。なお、この教育訓練休暇給付金を受給すると、それまでの雇用保険の加入期間がリセットされるため、将来的に失業給付を受給する際には、改めて加入期間の要件を満たす必要がある点についても、従業員への十分な説明と注意喚起が不可欠です。また、解雇等を予定している労働者についてはこの制度が使えません。不正利用は罰則の対象となりますのでご注意ください。

◆業務運営への影響と社内準備
 さらに、長期休暇取得が業務運営に与える影響を考慮し、代替要員の確保や業務分担の調整を含めた社内準備も求められます。
 産休育休制度等が充実している会社であればある程度社内準備については流用できる部分はありますが、代替要員の確保や業務分担の調整は前もって準備しておかないとなかなか大変なものです。周囲の従業員が不満を抱かないような配慮が必要な場合もあるでしょう。

コラム 2025月12月30日

《コラム》確定申告書等作成コーナー ID・パスワード方式の新規発行停止

◆ID・パスワード方式の新規発行停止
 現在、国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」からe-Taxにより税務申告を行う主な方法としては、①マイナンバーカード等を利用した「マイナンバーカード方式」のほか、②税務署が本人確認を行った上で発行するIDとパスワードを利用した「ID・パスワード方式」があります。
 このID・パスワード方式については、当初からマイナンバーカードが普及するまでの暫定的な対応として運用していたため、マイナンバーカードの保有率に鑑み、令和7年10月1日から、新たなID・パスワードの発行を停止しています。

◆ついに「普及した」と言えそうな状況に
 マイナンバーカードの保有状況ですが、総務省発表を見てみると、令和7年8月末の時点で人口に対する保有枚数率は79.4%となっています。
 本人確認書類としての利用から、コンビニ交付サービスによる住民票や印鑑証明の取得、健康保険証や免許証としての利用等、様々なサービスを取り入れ、行政の効率化や利便性向上を目指して運用されてきたマイナンバーカードですが、カードの交付が始まったのが2016年1月で、マイナンバーカード方式によるe-TaxがスタートしたのはID・パスワード方式と同じで2019年1月から。その後2020年からはスマホによる申告が可能になりました。確定申告で利用できることは、このマイナンバーカードの普及に寄与した大きな要因となっているのではないでしょうか。

◆引き続き利用はできるが
 ID・パスワード方式で使用するID・パスワードについては、既存のものであれば引き続き利用は可能です。ただし、「今後に関する対応については、改めてご案内することを予定しています」と言及しており、マイナンバーカードを用いたe-Taxを促進している国税庁としては、廃止も含めた検討を行っているものと考えられます。
 利便性を考えると、全ての方式を生かしてくれた方が良いものの、システムの整備等でコストが高くなるのも確かです。とはいえ、一番良くないのは「システムに乗り遅れてしまった人」を救済できるような仕組みがないことです。税務当局は今後も難しいかじ取りを求められそうです。

税務トピックス 2025月12月23日

税務調査の日数が長期化

 中国税理士会調査研究部はこのほど、会員税理士を対象に実施した税務調査に関するアンケートの結果を公表しました。それによると、実地調査が1日で終わったと回答した割合は全体の10.4%にとどまっています。その一方で、10日以上の長期間におよんだ割合は12.5%に上りました。アンケートは「法人税」「所得税」「資産税」の3税目についての調査を対象に集計したもの。

 全体のうち、実地調査が1日で終わった割合は10.4%、2~3日は41.9%、4~5日は24.5%、6~9日は10.7%、10日以上は12.5%でした。それぞれの割合を合算すると、全体の7割弱は「2~5日」で調査が終了しており、8割弱が「2~9日」で終了、9割弱が「10日未満」で終了している計算となります。しかし、1日で終わる割合よりも、10日以上かかる割合が上回っており、全体的にみても税務調査が長引くケースが増えているといえます。

 税目別では資産税の実地調査が比較的短く、1日が35.0%、2~3日が40.4%などとなっています。その一方で、法人税の実地調査は長期化しやすい傾向にあり、1日で済んだケースはわずか4.1%。6~9日が12.3%、10日以上が14.6%となっています。

 全調査に占める申告是認割合は28.6%でしたが、事前通知なしの調査だけに絞ると是認率は19.0%にとどまります。重加算税の適用割合は全調査のうち17.1%で、修正申告があった納税者を対象とした適用割合は23.8%。重加算税を適用された税務調査のうち6.2%で税理士が「不満」を持っていたそうです。

 3税目全体の調査件数は2072件。このうち、納税者本人ではなく取引先などの関係者を対象とした「反面調査」が行われたケースは252件でした。税務調査に対する税理士の主な意見では、「調査期間が長い」(326件)、「調査官の資質」(203件)、「資料の収集(電子データ含む)」(51件)、「反面調査」(48件)、「確定申告期間中の調査」(43件)などが問題点として挙がったほか、「修正申告の勧奨」(22件)、「税理士を誹謗中傷、軽視」(11件)などを指摘する声もありました。

<情報提供:エヌピー通信社>

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