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コラム 2026月09月22日

《コラム》不相当に高額な役員退職金の法人課税

 役員退職金は経営者のこれまでの貢献に応じ、会社の財産状態や収益力などを考慮して支払われますが、退職金が不相当に高額なものとされた場合、その高額な部分は損金となりません。

◆生前退職金を受ける場合
 法人税では役員に支払われる退職金について、その役員の業務に従事した期間、退職の事情、同種の事業を行う法人の役員に対する支給状況等から適正額を算定します。裁判で示される算定方法は、一般に平均功績倍率法と呼ばれる方法です。その役員の「最終報酬月額×勤続年数×類似法人の功績倍率の平均値」で算定されます。

◆不相当に高額な部分の算定
 税務署が示す役員退職金の適正額に対応するためには、その構成要素である役員報酬の額を把握する必要があります。国税庁は調査対象法人と同業種類似法人の役員報酬データを把握しており、これをもとに役員退職金の適正額を算定します。
 納税者は国税庁が持っている個別法人の役員報酬を閲覧することはできませんが、国税庁が公開する「民間給与実態統計調査」や税務関連の雑誌に掲載されるデータをもとに業種ごとの役員報酬額を把握し、上記算式に当てはめて自社の役員退職金の適正額を推計することができます。功績倍率は功労加算金を含めておおむね3倍となる水準が過去の判例で示されています。
 また、最近の判例で法人の役員報酬に「不相当に高額な部分」があるか争われた裁判で納税者は「不相当に高額」な役員報酬は実働のない役員給与や租税回避を企図したものに限られると主張しました。しかし、裁判所は法人税法の趣旨は「課税の公平性の確保」であるとして納税者の解釈を認めませんでした。法人が役員の業績を正当に評価した報酬であっても「不相当に高額」な部分があるとして否認された事例です。

◆死亡して退職金を受ける場合
 役員の死亡時に退職金をもらう場合、役員を被保険者とする生命保険契約を締結し、死亡保険金を原資として遺族に退職金を支払うことがあります。この場合も退職金は適正額であることが求められます。
 保険契約を締結したときに設定した条件は時の経過とともに変化していきます。保険金と同額をそのまま退職金として支払った場合、不相当に高額な部分があると損金不算入となることを踏まえて役員退職金の支払額を決める必要があります。

コラム 2026月09月22日

《コラム》遺留分侵害に対する課税

円滑な財産承継は親の願いですが、遺留分を考慮する必要があります。

◆遺留分とは
 民法は相続人の生活保障、公平な財産分配を目的として、財産が特定の者に集中して遺贈・贈与されることのないよう相続人に財産の一定割合を遺留分として取得する権利を与えています。相続人が被相続人の父母のみの場合、遺留分の算定の基礎となる財産の価額の3分の1、それ以外の場合は2分の1に法定相続分または代襲相続人の相続分を乗じた額が各相続人の遺留分の額となります。なお、兄弟姉妹に遺留分を取得する権利はありません。

◆遺留分侵害のある遺言の効力
 遺留分を侵害する遺言がされても遺言の効力は失われません。受遺者は被相続人の遺言に従って財産を取得し、遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を受遺者に請求できます。
 公正証書遺言では公証人は遺言の内容によって遺留分侵害が起きるリスクを説明してくれます。遺言者は立ち止まって遺言内容を再考することができます。また、法的効力はありませんが、遺言書に付言事項として遺言者の思いを遺すこともできます。

◆課税への影響
 遺留分侵害額請求により財産を移転させると課税に影響がでます。相続税の申告書を提出後、遺留分侵害額請求によって金銭の交付が行われた場合、金銭を取得した相続人が新たに相続税の申告を要するときは期限後申告書を提出することができ、既に申告していた相続税額が不足する時は修正申告書を提出できます。また、金銭を支払った受遺者・受贈者は、相続税額が過大となるため、遺留分侵害額請求による支払額が確定したことを知った日から4か月以内に更正の請求を行うことができます。
 なお、受遺者・受贈者が侵害額請求債務の履行を金銭ではなく、不動産や株式などの財産で行った場合、その財産の譲渡所得には所得税が課税されます。

◆遺言があっても遺産分割協議は可能
 遺言書とは別に相続人全員が合意すれば遺言と異なる遺産分割を行うこともできます。この場合、受贈者は遺贈を放棄し、各相続人は遺産分割協議に従って取得したものとして扱われ、財産の額に応じて通常どおりに相続税の申告を行うことになります。また遺留分の放棄によって贈与税が課税されることはありません。

税務トピックス 2026月09月15日

相続税の物納申請わずか48件

 国税庁はこのほど、2025年度の相続税の「物納」「延納」申請・処理状況を公表しました。申請件数は「物納」が48件、「延納」が1342件。06年度の申請件数は物納が1036件、延納が4705件なので、当時と比べると物納はわずか4.6%、延納は28.5%に過ぎず、ともに大幅減となっています。

 「物納」の申請件数は48件、前年度に未処理で繰り越されていた件数は29件で、合計77件。このうち物納が許可された件数は40件、取下げ件数は14件、却下件数は4件で、処理件数の合計は58件でした。全体の51.9%が許可され、75.3%が処理されています。申請金額は135億円、未処理繰越金額は49億円で、合計184億円。このうち物納が許可された金額は86億円でした。

 「延納」の申請件数は1342件、未処理繰越件数は371件で、合計1713件。このうち延納が許可された件数は891件、取下げ件数は346件、却下件数は44件で、処理件数の合計は1281件でした。全体の52.0%が許可され、74.8%が処理されています。申請金額は665億円、未処理繰越金額は242億円で、合計907億円。このうち延納が許可された金額は445億円でした。

 06年度からの処理状況をみると、「物納」「延納」とも申請件数・金額が大幅に減少しています。06年度に物納が許可された件数は2094件、金額は1334億円で、延納のそれは4742件、1350億円。当時の物納許可件数は25年度の約52倍、金額は約16倍。延納許可件数は約5倍、金額は約3倍でした。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2026月09月15日

《コラム》おしどり贈与の選択

 婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産を課税されずに贈与できるのが、おしどり贈与(贈与税の配偶者控除)ですが、制度を活用するときは事前の検討が必要です。

◆おしどり贈与を選択する場合
①配偶者の生活保障
 配偶者と子に相続争いの生じるリスクに備えたいとき、何よりも配偶者が安心して居宅に住み続けたいときは、おしどり贈与で配偶者の生活拠点を確保できます。
 また、おしどり贈与は特別受益とならないので遺産分割の際、配偶者は生前贈与を受けた居宅のほかに預金や株式などを法定相続分で取得し生活の原資を確保できます。
②税制上のメリット
 おしどり贈与は、贈与税の課税価格から最大2,000万円まで控除(ほかに基礎控除110万円も適用されます)され、生前贈与加算の必要もありません。ただし、取得時に不動産取得税と不動産登記の登録免許税、取得後は固定資産税がかかります。
 おしどり贈与は配偶者が居宅の贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住の用に供し、かつ、その後、引き続き居住の見込みであるときに適用されます。適用を受けた後、事情が変わり居宅を売却したときは、居住用財産の譲渡所得3,000万円控除のほか、所有期間が10年超であれば、軽減税率の特例(譲渡所得金額6,000万円まで、所得税10%、住民税4%)を適用できます。

◆おしどり贈与を選択しない場合
①相続人の争いが見込まれないとき
 配偶者が子供夫婦と良好な関係ができているときは、おしどり贈与を選択せず、家族会議で夫婦の希望を子に伝えて遺産分割で配偶者に居宅を取得させることもできます。また、遺言書を作成して夫婦の意思を示しておくこともできます。
②税制上のメリット
 おしどり贈与を選択せず、相続や遺贈で配偶者が居宅を取得する場合、居宅の宅地に小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)を適用でき、居住用宅地の課税価格の80%(330㎡まで)が相続税の課税価格から減額され、相続税を大幅に圧縮できます。
 また、相続税の算出時には配偶者の税額軽減が適用されるので、課税価格1億6,000万円又は配偶者の法定相続分のいずれか大きい金額まで相続税は課税されません。
 配偶者が居宅を売却する場合には、譲渡所得3,000万円控除の特例や所有期間10年超の軽減税率の特例も利用できます。

お知らせ 2026月09月8日

《コラム》カスハラ対策事前準備とは

◆10月から企業側にカスハラ防止対策義務
 近年、カスタマーハラスメント(以下カスハラ)が社会問題で取り上げられています。駅や飲食店、タクシーの中などポスターやシールで注意を喚起しているのを目にした方も多いでしょう。外部から発生するという特徴があり今までのハラスメントとは違います。
 令和8年10月から企業側にはカスハラ防止のため、雇用管理上必要な措置を講じることが義務付けられます。
 企業の行う具体的内容については法律に基づく指針で定められています。

◆カスハラに該当する事例
 カスハラは従来のクレーム事案と重なる部分もありますが、クレーム対応では済まない社会通念上許容される範囲を超えた言動が従業員に被害に及ぶのかどうかを問われます。一般消費者を対象にする業種に起こりやすく、商品やサービスを販売する側に不当な要求や不可能な要求などを執拗に迫るなどして、従業員に威圧的な言動、精神的攻撃、身体的攻撃などをしてきます。その典型例が次のようなものです。
①要求に理由のない、商品やサービス
と全く関係のない要求
②契約などにより想定しているサービスを著しく超える要求
③対応が著しく困難又は対応が不可能な要求
④不当な損害賠償要求
⑤身体的な攻撃
⑥殴る、ける、たたくなどの暴行
⑦威圧的な言動

◆企業としての対応策
 まず自社が今までカスハラと思える行為を受けたことがあった場合、どのように対処していたか社内で話し合ってみましょう。

◆カスハラを想定した事前準備
1.カスハラには毅然とした態度で対応、労働者を保護する
2.突発的に起こることも多いのでカスハラの内容と対処方法を従業員に周知させる。また悪質な場合では素早く上司に報告させ事実関係を確認する
3.個人攻撃防止で労働者の名札を変更する
4.相談窓口を定める。担当者も適切に対応
 厚労省では業種別カスタマーハラスメント対策マニュアルを作成しているので参考にしてください。

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