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その他 2026月08月4日
では、中小企業において成長に向けた設備投資は具体的にどのように行われているのでしょうか。そこで「中小企業白書2026年版」において、思い切った大型設備投資を実施し、企業規模の拡大や、付加価値の向上を実現している企業の事例として紹介された有限会社いろは堂(本社:長野県長野市)の取組みについてみていきましょう。
長野県長野市の有限会社いろは堂は、長野県の郷土食「おやき」を製造・販売する企業です。おやきの認知度向上は事業成長のチャンスであったものの、同社は生産能力に課題を抱えていました。そこで同社は、生産能力の拡大を目指して新工場の設立を決断しました。
当時専務取締役だった現社長が投資計画を主導し、計画当時の年商の約2倍となる大規模な設備投資を実施し、新工場を2022 年に開業しました。新工場には最新の生産設備を導入することで生産能力は1.5 倍に増強されました。さらに、製造担当者と一丸となって業務フローや動線を見直すことで業務の効率化も実現しました。また、製造以外にもカフェやショップ、工場見学、おやき作り体験など様々なコンテンツをそろえ、幅広い世代に向けた「おやき文化の発信拠点」としての機能を持たせました。
新工場の開業により、売上高は同社計画を上回る実績で推移しています。想定を超える原材料価格高騰の影響を受けながらも、付加価値率を向上させ、かつ従業員の賃上げにも取り組んでいます。また、既存のおやきのイメージを覆す施設が反響を呼びおやき自体の知名度も上昇し、他社から商品開発等の引き合いが急増しました。
このように成長に向けた設備投資の取組によってプレゼンスが向上し、販路拡大の実現につながっているのです。(了)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)
その他 2026月08月4日
物価上昇や人手不足が進む中、中小企業においては、リスクを恐れず事業構造・組織構造を組み替える取組を行い、「稼ぐ力」を高めていくことが重要となります。「稼ぐ力」を高めるためには付加価値額を増加させることが有効であり、付加価値額を増加させる取組の一つに成長に向けた設備投資が挙げられます。
「中小企業白書2026年版」では、成長に向けた設備投資の取組状況についてアンケート調査を行っています。
まず、成長に向けた設備投資の取組状況別に、付加価値額の変化率(中央値)についてみると、「取り組んだ」と回答した事業者は、「取り組んでいない」と回答した事業者と比べて、付加価値額の変化率(中央値)が高くなっています。
また、成長に向けた設備投資に取り組んだ事業者に対して、足下の設備稼働率別に、付加価値額の変化率(中央値)について確認したところ、設備稼働率が高い事業者は、設備稼働率が低い事業者と比べて、付加価値額の変化率(中央値)が高くなっています。
次に、成長に向けた設備投資に取り組んだ事業者に対して、設備投資前に行った取組について確認したところ、収支計画策定状況については、「詳細に策定した」、「簡易的に策定した」と回答した事業者の合計が約8割を占めています。また、業務プロセス見直し状況について、「取り組んだ」と回答した事業者は約7割を占めています。
さらに成長に向けた設備投資前の収支計画策定状況や業務プロセス見直し状況別に足下の設備稼働率を確認したところ、「取り組んだ」と回答した事業者は、「取り組んでいない」と回答した事業者と比較して、設備稼働率が高い傾向にあります。(つづく)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)
コラム 2026月07月28日
◆ふるさと納税に上限設定
ふるさと納税の特例控除額は、個人住民税所得割額の20%に設定されていますが、所得に応じ際限なく増えることに歯止めをかけるため、新たに特例控除額193万円の上限が今年の税制改正で設定されました。
◆ふるさと納税最適額の算式変更
ふるさと納税での所得税と住民税での税額控除により自己負担額が2,000円で済む最適額の求め方は、最高税率の人の場合、(住民税所得割×0.2÷0.44055=A)で求められましたが、改正後は、(193万円÷0.44055=4,380,888=B)との比較が必要になりました。AとBとのいずれか少ない金額+2,000円が、自己負担額2,000円で済むふるさと納税の最高額ということです。
◆上限設定で規制される人
逆に、AとBが一致するような人とは、どんな人かというと、(住民税所得割=4,380,888×0.44055÷0.2=965万円)なので、住民税10%で割ると、課税所得が9,650万円となり、給与のみの所得だったら、給与所得控除195万円を足すと、9,845万円となり、これに所得控除額を加えた額が給与収入となります。概ね1億円前後の給与収入者です。
◆寄附金活用可能額の6割確保
寄附金活用可能額(=寄附金総額-募集費用)を6割以上にするという新ルールも設定されました。募集費用には、返礼品・送料・事務・広報などすべて含まれます。
公表データによると、ふるさと納税の年間総件数は、5,879万件、受入額1兆2,728億円、1件当たり約2万円で、自治体当たり平均3.3万件です。上位自治体では100万件規模と言われています。
そして、現行の外部委託費の平均は、受入額の46.4%です。これを40%以下にする規制の施行は、令和8年10月ですが、47.5%→45%→42.5%→40%と4年にわたる段階導入とされています。
◆ふるさと納税産業
ふるさと納税は、低単価大量通信販売のようで、人海戦術+システム化+季節産業+マーケティング商品企画力等々が要求されます。これを、自治体の職員の仕事にすることは不可能で、外部委託が合理的です。
そして、そういう前提での産業分野が成立してしまっている、ということです。
コラム 2026月07月28日
◆中小企業の「監査役」の設置傾向
現在の会社法では、中小企業(株式譲渡制限会社・大会社でない会社)は、監査役の設置は義務ではありません。任意で設置することは可能ですが、人材確保やコスト面から、監査役を置かないケースが多く見られます。ただし、次のような場合には、監査役を設置する必要があります。
(1) 取締役会を設置している株式会社
中小企業でも取締役会設置会社は、原則として監査役を置かなければなりません(会計参与を置く非公開会社など例外はあります)。
(2) 会計監査人を設置する会社
会計監査人を置く場合も監査役の設置が必要です。上場準備や貸借対照表公告会社など、企業が一定規模へ移行する段階で、監査役の設置が増えます。
このため、金融調達ルートが広い中堅企業、ベンチャーキャピタル出資企業、IPO志向の企業、公共サービス関連法人(社会的信頼性が重視される法人)は、一般企業より設置率が高くなる傾向があるようです。
◆「会計限定監査役」とは?
一方、中小企業(株式譲渡制限会社・大会社でない会社)は、監査役の職務範囲を「会計」に限定した「会計限定監査役」を設置することができます。
通常、監査役は「会計監査」に加え、取締役の職務が法令や定款に違反していないかを確認する「業務監査」も行います。
会計限定監査役は「業務監査」の権限を持たず、「会計監査」に専念します。計算書類等を監査し報告書を作成、株主総会提出書類を調査・報告します。責任範囲が限定されるため適任者を確保しやすいというメリットがあります。
◆「会計限定監査役」を導入するには
「会計限定監査役」を設置する場合には、次の手続が必要となります。
(1) 定款変更(株主総会の特別決議)
株主総会で「監査役の権限を会計に限定する旨」の条文追加を決議します(特別決議・2/3以上)。
(2) 法務局での登記
定款変更日から2週間以内に管轄法務局で登記申請が必要です。
会計限定となった監査役は、取締役会の出席義務もなくなりますので、社内のガバナンスも変化することになります。
税務トピックス 2026月07月21日
外国通貨を別の外貨に交換した際に生じた「為替差益」は課税対象の所得となるのかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷はこのほど、「課税対象になる」との初判断を示しました。国税当局の実務に沿った判断だといえます。課税した国税側の勝訴が確定。日本円に戻さなくても、別の外貨を取得した時点で収入の権利が確定すると結論付けました。審理した裁判官5人全員一致の意見。
判決によると、原告は2014年、スイスの銀行の口座に105億円を預けて運用を一任。銀行はこれを外貨に替え、さらに別の外貨などに交換しました。東京国税局は18年、円安の進行などで為替差益が生じているのに、原告が所得を申告していなかったと指摘。14、15年分の所得について約9億3千万円の申告漏れがあったと判断しました。
原告は銀行に一任していた取引での所得はないという認識で確定申告。ですが、国税当局は為替差益が「雑所得」に当たると判断し追徴課税しました。原告は20年、課税処分の取り消しを求めて提訴。「取引後も、円に払い戻すまでは為替相場の変動リスクが残っており、最終的な利益は確定しない」と主張し、課税は違法だとして訴えました。
最高裁は、「日本円との関係で為替相場が変動する外貨は、外貨同士の取引が行われた時点で経済的価値が固定化」されると判示し、円換算額が所得税法の「収入すべき金額」になると指摘。円換算額から経費相当分を控除した金額が所得に当たるとする初判断を示し、原告側の上告を棄却しました。一審、二審での判決も、国税側の更正処分は適法として原告側の請求を退けていて、国税側の勝訴が確定しました。
外貨建てした金融資産を日本円に払い戻した際には、差益に課税されるのが一般的ですが、外貨同士の取引の場合は明確な基準がありません。所得税法には、為替差益の課税時期を具体的に定めた規定がないため、課税の是非が争われる事案が増えています。国税当局は課税対象とする運用を続けていて、実務を追認する司法判断になったといえます。
<情報提供:エヌピー通信社>
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