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税務トピックス 2025月06月10日

特殊詐欺と税金

 特殊詐欺のニュースが毎日のように報道されています。こうした詐欺と税金の関係を考えてみましょう。

 所得税には、さまざまな被害に対する損失額を雑損控除として所得から減らす仕組みがあります。被害の対象は、震災・風水害といった自然災害、火災・火薬類の爆発など人為による被害、害虫など生物による被害、または盗難・横領です。

 この制度で控除の対象外となっているのが「詐欺」です。「恐喝」も同様に対象外。災害や盗難が予期せず受ける被害であるのに比べて、恐喝や詐欺は、自分が判断する余地があったうえで受けた被害とされるからだそうです。

 この「自己責任論」は、2011年5月23日、国税不服裁判所で審理された振り込め詐欺事件でも適用され、「救済できない」とされました。

 しかし振り込め詐欺グループが仕掛ける巧みな詐欺は、実態からすると人によっては自己責任では防げない悪質な犯罪であり、「盗難」や「横領」と同等としてもよいのではないかと思われるものも多いのが現状です。そのため、制度の見直しを求める声も少なくありません。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2025月06月10日

《コラム》小規模宅地等特例の適用可否

◆核家族社会の老人の選択
 高齢化社会になり、親が老人ホームに入所するケースが増えており、寿命の内、健康寿命を超える要介護期間が、男性9~10年、女性12~13年程度とされているので、最近の傾向としては、介護が必要となってからの入所よりも、元気なうちから入所を決める傾向になっています。

◆居住用小規模宅地の相続特例
 平成25年度の税制改正において、老人ホームへの入所まで居住していた自宅の敷地に係る相続税の小規模宅地等の特例の適用について、一定の要件の下、その自宅の敷地は、相続開始直前における被相続人の居住供用宅地等の概念に該当することになる旨が法令に明記されました。
 一定の要件とは、次の2つの要件です。
①被相続人が要介護等認定者に該当(認定申請中に相続開始で事後認定も可)
②入居老人ホームが老人福祉法等規定該当

◆小規模宅地の取得者要件
 なお、宅地等の取得者ごとに係る要件もあります。具体的な判定としては、次の各場合には小規模宅地等の特例が使えます。
①配偶者が自宅に引続き居住の場合の配偶者が相続
②夫婦で老人ホーム入所後、留守宅の自宅を配偶者が相続
③被相続人が老人ホームに入所後、引続き居住をする同居親族が相続(生計一は要件ではない)
④②の物件を③の同居親族が相続
⑤③の引続き居住の同居親族が対象の自宅を建替えた後に引続き居住継続して相続
⑥被相続人が老人ホームに入所後、留守宅を別居の親族の「家なき子」が相続
 なお、③の同居親族については、以下の3要件の具備が必要です。
①相続開始直前に被相続人の居住用敷地に居住している
②相続税の申告期限まで当該宅地等の所有継続
③相続税の申告期限まで当該宅地等での居住継続

◆ついでに言えば
 ちなみに、被相続人が老人ホームに入所後の留守宅に生計一親族が入居した場合は、要件不要で適用です。また、留守宅を賃貸した場合、特定居住用宅地等としての特例は使えませんが、貸付事業用宅地としての小規模宅地等の特例を使うことができます(3年以上の期間貸付けが条件)。

その他 2025月06月3日

【時事解説】中小企業におけるローカルベンチマークの活用 その1

 中小企業の成長に向けた支援においては、自社の経営状況や課題などを的確に把握することが求められます。
 こうした中、企業の経営状態を把握するためのツールとしてローカルベンチマーク(以下、「ロカベン」)への期待が高まっています。

 ロカベンとは、企業の経営者と支援機関等が同じ目線で経営に関する対話を行うことができるよう作成されたツールである「ローカルベンチマーク・シート」を作成・活用することで、企業の経営改善等を目指すものです。財務情報としては、①売上増加率、②営業利益率、③労働生産性、④EBITDA有利子負債倍率、⑤営業運転資本回転期間、⑥自己資本比率の6つの指標が用いられています。そして非財務情報としては、「業務フロー」、「商流」、「4つの視点(①経営者への着目、②事業への着目」、③企業を取り巻く環境・関係者への着目、④内部管理体制への着目)が用いられており、これらの内容を整理することで企業の抱える課題や強みを把握できる点が特徴です。

 2023 年4月には、ロカベンの記入事例や解説、対話例などを盛り込んだ作成ガイドである「ローカルベンチマーク・ガイドブック」が改定され、SDGsやDXへの取組事例等が追加されました。同ガイドブックは企業編と支援機関編に分かれており、企業・支援機関双方の視点から、事業についての理解を深めることができるようになっています。

 ロカベンの活用は、企業の経営者が自社の業界内における位置付け等を客観評価しつつ自社の事業について理解を深めることができるだけでなく、金融機関・支援機関等とともに経営課題を解決し、新事業の展開に向けて踏み出すことにもつながるのです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

その他 2025月06月3日

【時事解説】中小企業におけるローカルベンチマークの活用 その2

 では、ローカルベンチマーク(以下、「ロカベン」)は具体的に中小企業においてどのように活用されているのでしょうか。そこで中小企業庁編「中小企業白書2024年版」において、ロカベンを活用した企業の事例として紹介されたわさび屋株式会社(本社所在地:岐阜県郡上市)の取組みについてみていきましょう。

 わさび屋株式会社は、わさびの栽培からわさび加工食品の製造・販売を行う企業です。同社ではコロナ禍により経営環境が悪化したことを受け、民間金融機関による実質無利子・無担保融資を活用しました。その一方で、今後の元金返済開始に備えて、経営改善の取組みを行う必要がありました。
 こうした状況下で、現社長は、岐阜県信用保証協会よりロカベンの活用について提案を受けました。その後、実際にロカベンを作成するにあたり、「業務フロー」、「商流」の内容に沿って保証協会や同社の従業員と対話しつつ、自社の業務を5つに分けて業務内容と差別化のポイント(強み)をまとめました。

 こうした取組みにより、他社との差別化ポイントに気づくことができたことに加え、ロカベンの「4つの視点」を作成する中で、「後継者の育成」、「在庫管理・取引先管理のデジタル化」などの課題も明確になりました。また、全従業員が業務全体を把握し情報を共有することができるなど、従業員の意識改革にもつながりました。その後、同社では、ロカベン作成により気付いた自社の強みや知的資産を活かしつつ、大学と連携し新商品の開発に成功しました。

 このように、ロカベンの活用は、企業の経営者が自社の事業への理解を深めるだけでなく、経営課題を改善し新事業展開に向けて踏み出すことにもつながるのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

コラム 2025月05月30日

《コラム》外国株式配当金の外国税額控除

 個人の外国株式の配当金には外国の所得税が課されるほか、日本においても日本の所得税、住民税が課されます。同じ所得について二重課税となりますが、外国税額控除制度を利用して外国税額の全部又は一部を取り戻すことができます。

◆確定申告が必要となる場合
 外国株式が日本の証券会社に預託される場合、外国の所得税と日本の所得税、住民税が源泉徴収されますが、外国の証券会社に預託される場合は、外国の所得税の源泉徴収しか行われません。このため、源泉徴収される給与所得や退職所得以外で所得金額20万円を超える居住者には確定申告が必要となり、配当所得を総合課税又は申告分離課税で申告します。

◆外国税額控除額の算出
 外国税額控除は原則、その年に納付義務の確定する外国所得税に適用します。その年の所得税額のうち国外所得金額に対応する部分の金額を控除限度額とし、外国所得税額を所得税、復興特別所得税、道府県民税、市町村民税から順に控除します。
 その年の外国所得税額が控除限度額以下となる場合は、余った控除限度額(控除余裕額)を翌年以降3年間繰り越して、それぞれの年の控除限度超過額に充当できます。また、その年に控除しきれなかった外国所得税額(控除限度超過額)は、翌年以降3年間繰り越してそれぞれの年の控除余裕額から控除できます。

◆所得税の外国税額控除限度額の算定式
 所得税の外国税額控除限度額=所得税額 × A/B
 A:その年分の調整国外所得金額
 B:その年分の所得総額

◆外国税額控除の確定申告
 外国税額控除を受ける場合、確定申告書に「外国税額控除に関する明細書」と「外国所得税が課税されたことを証する書類」を添付します。「外国税額控除に関する明細書」は国税庁の書式に、所得の種類(株式の配当)、納付日(配当金の支払日)、課税標準額(配当金額、外貨と円換算額)、外国所得税額(源泉徴収税額、外貨と円換算額)等を記入します。外国証券会社の場合は年次報告書等から把握でき、配当日の為替相場(TTM)を乗じて円換算額を求めます。
 なお、e-Taxで申告すると「外国所得税が課されたことを証する書類」は第三者作成書類として手元に保管することで申告書の添付を省略できます。

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