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その他 2024月07月23日

【時事解説】日本経済を甘やかす低金利政策 その2

 金融には産業の新陳代謝を促す機能も期待されています。金利負担に耐えられない低収益の企業には退出してもらい、新しい成長性の高い企業が参入し、人的、物的資源を低収益企業から高収益企業に移動することにより、経済は成長することができます。ただ、新陳代謝機能を十分に発揮させるためには、金融の量的制限とある程度の金利が必要です。しかし、現在のような大量の低金利融資が蔓延すると、低収益企業が温存されてしまい、成長企業への資源移転がうまくいきません。もし、ここで急に金利が上昇すれば、人的、物的資源の受け皿になるべく成長企業が十分に存在しないまま、低収益企業が退出しなければならなくなってしまいます。

 このように、日本経済は低金利のぬるま湯の中で、厳しい選択を迫られることなく、何となく生存できている、といってもいい状況です。本来アベノミクスでは、金融緩和で時間稼ぎをしているうちに、成長戦略を実行するはずでした。しかし、肝心の成長戦略が起動しない中で、時間稼ぎであるはずの低金利の金融緩和だけが継続し、経済全体がそれに甘える体質となってしまいました。

 金融緩和が続く限り、現状維持は可能でも、いつまでもこの状況を続けることはできません。今の金融緩和は病巣を膨らませながら、解決を先送りにしているに過ぎません。今は日銀が主体的に金融政策を判断できていますが、国債発行が累増し国内貯蓄を食い潰してしまうとか、あるいはその前に個人貯蓄が海外に流出するキャピタルフライトが本格化すれば、資金不足になり、マーケットに追い込まれる形で利上げせざるをえなくなる可能性もあります。そうなると、より厳しい選択を迫られるようになることも想定しておかなければなりません。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

その他 2024月07月23日

【時事解説】日本経済を甘やかす低金利政策 その1

 高まるインフレへの警戒感から、アメリカを筆頭に多くの欧米諸国が金融政策を転換し、利上げに転じています。一方、日銀は、我が国のインフレは欧米ほどではないこと、及び経済状況が一向に好転しないことなどを理由に、かたくなに金融緩和姿勢を崩しません。円安を阻止するためには金融引き締め、すなわち利上げが必要との意見も根強いのですが、この状況で利上げをすれば、日本経済に深刻な打撃を与えることは間違いありません。つまり、今の日本経済は低金利でしか生きていけなくなっている状況にあるといえます。

 低金利・大量資金供給の恩恵を最も受けているのは国家財政です。国債発行残高は1,000兆円を突破、国家債務の対GDP比率は250%を超え、先進国ではダントツの水準にあります。そうした状況でも、財政を組むことが出来るのは低金利のおかげです。ただ、それが逆に放漫財政を許容しているともいえます。

 財政を考えるときに、よく出てくるのは「大砲かバターか」という言葉です。大砲は防衛の、バターは民生の象徴です。不穏な国際情勢から防衛予算の増大が求められ、一方、依然向上しない国民生活支援も必要になります。財政はそのどちらかを選択しなければならないというのです。しかし、それは財源に限りがあるからこその話です。金利がほとんどゼロに近く、しかも最終的には日銀がその購入を約束している国債を財源にすることができれば、無理に「大砲かバター」を選択する必要はなく、「大砲もバターも」どちらも手にすることができます。こうした財政制約が緩い状況だから、バラマキ型の無駄な支出が可能となり、日本の財政は肥大化してしまっています。この状態が永遠に続くのであればそれでもいいのですが、いつかは必ず限界が来ます。資金が不足し金利が上昇する事態となれば、「大砲かバター」を今よりももっと厳しい環境下で、より苛烈な形で選択せざるを得なくなります。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

税務トピックス 2024月07月16日

(後編)2025年4月からプラットフォーム課税を導入へ!

(前編からのつづき)

 具体的には、国外事業者がデジタルプラットフォームを介して行う電気通信利用役務の提供のうち、国税庁長官の指定を受けた「特定プラットフォーム事業者」を介してその対価を収受するものは、特定プラットフォーム事業者が行ったものとみなします。

 国税庁長官は、プラットフォーム事業者のその課税期間に電気通信利用役務の提供に係る対価の合計額が50億円を超える場合には、その事業者を特定プラットフォーム事業者として指定します。
 上記の要件に該当する者は、その課税期間に係る確定申告書の提出期限までに、その旨を国税庁長官に届け出なければなりません。

 国税庁長官は、特定プラットフォーム事業者を指定したときは、その特定プラットフォーム事業者に対してその旨を通知するとともに、特定プラットフォーム事業者に係るデジタルプラットフォームの名称等についてインターネットを通じて速やかに公表します。
 なお、上記の改正は、2025年4月1日以後に行われる電気通信利用役務の提供について適用されます。
 今後の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、令和6年6月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

税務トピックス 2024月07月16日

(前編)2025年4月からプラットフォーム課税を導入へ!

 2024年度税制改正において、国内外の事業者間の競争条件の公平性や適正な課税を確保するため、プラットフォーム課税が導入されます。

 デジタルサービス市場の拡大により、プラットフォームを介して多くの国外事業者が国内市場に参入しているなか、国外事業者の納めるべき消費税の捕捉や調査・徴収が課題となっておりますが、諸外国では、すでに事業者に代わってプラットフォーム事業者に納税義務を課すプラットフォーム課税が導入されております。
 上記のプラットフォーム課税とは、国外事業者がプラットフォームを介して行うモバイルアプリの配信等につき、プラットフォーム事業者が行った取引とみなして、消費税の納税義務を課すことをいいます。

 なお、導入にあたり、国内の事業者に影響が出ないよう、国外事業者が提供するデジタルサービスを対象とし、また、対象となる事業者は、高い税務コンプライアンスや事務処理能力が求められること等を考慮して、一定の規模を有する事業者とします。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和6年6月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

コラム 2024月07月9日

《コラム》代表取締役等住所非表示措置の創設-10月から非公開可能に!

◆登記の社長住所を非公開にできる制度創設
 令和6年4月16日の商業登記規則等の一部を改正する省令(令和6年法務省令第28号)により、代表取締役等住所非表示措置が令和6年10月1日から施行されることとなりました。この措置は、株式会社の代表取締役、代表執行役又は代表清算人(以下「代表取締役等」といいます)の住所の一部を登記事項証明書や登記事項要約書、登記情報提供サービス(以下「登記事項証明書等」といいます)に表示しないこととする措置です。
 平たくいうと、これまで登記簿謄本で表示されていた社長の自宅住所を、一定の要件の下、表示しないようにする制度です。ただし、最小行政区画=市区町村まで(東京都においては特別区まで、指定都市においては区まで)は記載されます。

◆代表取締役等住所非表示措置の要件
 代表取締役等住所非表示措置を講ずることを希望する者は、登記官に対してその旨申し出る必要があります。この申出は、設立の登記や代表取締役等の就任の登記、代表取締役等の住所移転による変更の登記など、代表取締役等の住所が登記されることとなる登記の申請と同時にする場合に限りすることができます。そのため、住所の非表示だけを求めての申し出はできません。なお、申し出に際しては、株式会社が受取人として記載された書面がその本店の所在場所に宛てて配達証明郵便により送付されたことを証する書面等の添付が必要となります。

◆非表示のデメリットも事前考慮が必要です
 代表取締役等住所非表示措置が講じられた場合には、登記事項証明書等によって会社代表者の住所を証明することができないこととなるため、金融機関から融資を受けるに当たって不都合が生じたり、不動産取引等に当たって必要な書類(会社の印鑑証明書等)が増えたりするなど、一定の支障が生じることが想定されます。
 そのため、代表取締役等住所非表示措置の申出をする前に、このような影響があり得ることについて、慎重かつ十分な検討が必要です。
 顧問の税理士や司法書士などと今後の事業展開とその際の非表示の影響をよく話し合っての検討をお勧めします。

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