お知らせ/トピックスTOPICS

コラム 2026月06月30日

《コラム》退職年金の継続受給権に対する相続課税

◆退職年金は、みなし相続財産として課税
 退職年金を受給していた被相続人が死亡すると、残存期間の年金が相続人等に支払われます。年金は相続人等が固有の権利として取得したものですが、相続により取得したものとみなして相続税が課税されます。

◆継続受給権の財産評価
 退職年金の継続受給権は、「契約に基づかない定期金に関する権利」として、みなし相続財産に分類されます。
 相続人等が死亡するまで(相続人等が保証期間中に死亡した場合は保証期間が終了するまで)年金を継続受給する場合、受給権の評価額は、有期定期金、または終身定期金として算出した金額のいずれか多い金額とされます。

◆遺族年金の相続税は非課税
 ところで厚生年金、国民年金等の遺族年金は、厚生年金保険法、国民年金保険法など個別の法律によって受給者が被相続人に生計を維持されていたことを条件に非課税とする取扱いが定められています。
 一方、相続税の非課税財産の規定には、遺族年金を非課税とする旨の扱いはありません。その代わり、相続税法基本通達には遺族年金について、国民年金保険法、厚生年金保険法など個別法により相続税が課税されないことに留意するよう示されています。みなし相続財産であれば、契約に基づかない定期金に関する権利として課税されるのが原則です。

◆米国遺族年金は相続税が課税される
 それでは遺族年金に相続税を課税しない取扱いは、外国の遺族年金にも適用されるのでしょうか。米国遺族年金について相続税が課税されるか争われた事例があります。
 国税不服審判所の審判事例では、遺族年金が非課税となる取扱いは、個別法で国民年金、厚生年金等に設けられたものであり、米国の遺族年金をみなし相続財産として課税する取扱いを妥当とする裁決が出されています。
 令和8年2月には、地裁においても米国遺族年金の受給権について相続税の課税処分を妥当とする判決が出されました。

◆課税の公平は守られているか?
 司法判断は外国の遺族年金への課税は「合理性を欠くということはできない」として平等原則に違反しない旨を判示しました。しかし、遺族にとって国内の年金、海外の年金を問わず、生計維持のための経済的価値は変わらないとみることもできます。

税務トピックス 2026月06月30日

相続土地国庫帰属制度5252件申請

 法務省が公表した2025年度の「相続土地国庫帰属制度の運用状況」によると、23年4月27日の制度開始から今年3月末までの累計申請件数は5252件で、このうち国に帰属されたのは2605件でした。23年度の申請件数は運用開始から約11カ月間で1905件、2年目の24年度は年間1675件、3年目となる25年度は同1672件。申請件数はほぼ横ばいで、制度の利用は思いのほか進んでいないといえます。一方、国に帰属された件数は25年3月末時点までの累計で1486件だったことから、この1年間で1119件増えた計算となります。

 累計申請件数5252件を地目別の内訳でみると、「田・畑」が2042件で全体の39%を占めています。「宅地」は1828件で35%、「山林」は814件で15%、「その他」は568件で11%でした。国に帰属された件数2605件を種目別の内訳でみると、「宅地」が948件で全体の36%を占めています。「農用地」は849件で33%、「森林」は171件で7%、「その他」は637件で24%でした。
 申請が却下された件数は80件、不承認となった件数は81件、申請を取り下げた件数は980件でした。

 申請件数が思いのほか伸びていない理由としては、申請時の必要書類が多いこと、引き取り要件が多岐にわたることなどが挙げられます。申請の際には一筆当たり1万4千円の審査手数料が必要で、申請を取り下げた場合でも返還されず、再申請のたびに費用がかかります。国に帰属されたケースでも10年分の土地管理費相当額の負担金が必要になります。また、審査に時間がかかることも申請件数が伸びない要因だとされています。申請を受理する各地の法務局では審査に要する標準的な期間を「約8カ月」としています。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2026月06月23日

日税連税制審議会 寄附金税制で答申

 日本税理士会連合会(太田直樹会長)はこのほど、日税連会長の諮問機関である税制審議会が取りまとめた答申「寄附金税制のあり方について」を公表しました。昨年10月に2025年度の諮問事項として審議を付託したものです。

 答申では、これまでの寄附金税制について、「公共または公益のための寄附を奨励する効果があったのかと問われれば、ふるさと納税を除けば、現状では否定的な答えにならざるを得ない」としたうえで、「ふるさと納税に関しても、今後返礼品の割合が引き下げられるなどの措置が講じられれば、その利用が急激に減少する懸念もある」と指摘。寄附金についての一般的な課題としては①寄附に関する情報不足②手続の煩雑さ③寄附先の公益法人等の数が少ないこと――などを挙げています。答申では、これらの課題について①公益認定基準に厳格性が求められるのはある程度やむを得ないとしても認定基準の見直しやデジタル技術の積極的活用等によって手続の合理化をより一層進めること②寄附先の情報を集約した公的なポータルサイトの整備等によって寄附者が信頼性の高い情報に基づいて寄附先を選択できる環境を整えること――などを提言しています。

 また、寄附金税制の課題に対して、寄附をする側の利便性の観点から①所得税に関しては繰越控除制度を創設すること②長期にわたり継続的に行われる寄附を推奨する制度を検討すること③相続税に関しては申告期限後であっても一定期間内の寄附について更正の請求を認める制度を検討すること――を提言。

 ふるさと納税制度については、「過度な返礼品競争や過剰な仲介業者への依存を早急に改め、地域間の財政格差の拡大などの課題について丁寧に検証しつつ、寄附文化の醸成につながるような制度として改善していくべきである」と提言しました。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2026月06月23日

《コラム》名義預金の相続課税

◆見落としやすい名義預金
 遺産分割で見落としやすいのが名義預金です。親族名義で預金口座がつくられるので被相続人が生前、自分にプレゼントしてくれたものと思い込み、相続財産となる場合があることに気づかない。しかし、その場合でも相続財産として申告の要否を検討しなければなりません。
帰属者の判定要素
 税務署が相続財産に該当するかチェックするポイントは、次のものとなります。
①預金の原資は、誰が出捐したか
②預金口座は誰が開設し預入れしたか
③預入者の意思はどのようなものであったか
④通帳と印鑑を保管し、預金の預入れ、払出しをしたのは誰か
 被相続人が預金の原資を出捐し、親族名義の口座を開設し、通帳と印鑑を被相続人で保管し、預金の出し入れをしていれば、被相続人の名義財産とされる可能性が高まります。
 反対に、被相続人が親族に贈与の意思を示し、親族も受け取る意思を表示していたことが書面等で明確に確認できる場合は、贈与税の課税対象となります。
 国税庁の「誤りやすい事例 ⑥申告書第11 表の付表3関係」では、被相続人以外の名義財産(預貯金)について、名義にかかわらず、被相続人が取得資金を拠出していたことなどにより被相続人の財産と認められるものは相続税の課税対象となることが解説されています。

◆配偶者の名前で預金した場合
 夫婦が婚姻中、給与所得や事業所得等で得た財産は、夫婦の一方が単独で有する財産(特有財産)として夫婦それぞれに帰属します。夫が自身で稼得した財産を妻名義で預金した場合、帰属者の判定要素に照らして名義財産となる可能性があります。
 なお、贈与となることが明らかとなり、婚姻期間中に夫婦が拠出した資金を生活で消費するとき、贈与税は非課税となります。

◆子や孫に財産を残すための意思表示
 被相続人が生前に子、孫の名義で預金口座をつくるのは、相続税を減らす動機もあるでしょうが、自分の意思で財産を渡したい願いもあるのではないでしょうか。親族名義の預金口座が見つかったときは、被相続人の生前の意思を尊重して遺産分割すれば協議が円滑に進むかもしれません。

その他 2026月06月16日

【時事解説】逆効果となる含み益 その2

 「含み益」には「益」という言葉が入っているので、「損」に比べるとプラスのイメージがありますが、実態はそうでもありません。「益」という字が入っている用語には「営業利益」とか「当期利益」という言葉があり、含み益もそれらと同類ではないかという感覚を持つかもしれませんが、営業利益等と含み益には決定的な違いがあります。それはキャッシュフローを伴っているかどうかです。営業利益等は原則的にキャッシュフローを伴った利益ですが、含み益はキャッシュフローを伴っていません。ですから、営業利益等が毎年発生すればキャッシュが蓄積されていきますが、含み益は毎年あってもキャッシュは増加しません。「もし、今売れば利益として計上される」という仮定の下での利益に過ぎません。それどころか、利益が出ればそこに課税されキャッシュアウトが生じますから、同じ時価100万円の株式を売却するなら、含み益のある株式より含み益のない株式の方がキャッシュフロー的には有利になります。

 では、含み益が表示しているものは何なのでしょうか。含み損益は取得価格と現在価格(時価)の差額ですから、含み益が大きいということは取得価格より時価が大きく値上がりしているということ、つまり過去の投資行動の正しさを表現しているものといえます。「過去の自分の投資は間違っていなかった」という満足感に浸りたい人にとっては含み益は格好の精神安定剤になるでしょう。しかし、それは将来の利益を約束しているものではないことに注意しなければなりません。

 投資の目的は将来キャッシュフローの最大化です。将来キャッシュフローの最大化において過去の価格は無関係です(前述の税額のキャッシュフロー効果は除く)。大切なのは、現在の価格と将来の価格です。会計用語でいえば、過去の価格は今後の意思決定に影響を与えない埋没原価(サンクコスト)になります。なまじ含み益が大きいと、含み益を大切に思う余り、将来キャッシュフローを最大化する投資行動をとれなくなる恐れがあります。過去の成功体験にこだわりすぎることによる弊害といってもいいでしょう。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

お問い合わせCONTACT

お気軽にご連絡ください。初回のご相談は無料です。

確定申告・相続税対策、起業・経営支援まで
大森駅より徒歩6分 品川区・大田区で税理士をお探しの方へ

〒140-0013 東京都品川区南大井6丁目26番1号 大森ベルポートA館9階
JR京浜東北・根岸線快速「大森駅」北口より徒歩6分/京浜急行線「大森海岸駅」より徒歩6分

03-5471-0751平日10:00~17:00 無料相談窓口