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コラム 2026月06月9日

《コラム》弁護士が相談前に関係者名を聞く訳(士業における利益相反)

◆弁護士に相談する際の第一手順
 弁護士に相談する際に、トラブルとなっている相手方や関係者などがいる場合には、相談開始前に、その関係者名(会社などの法人・団体の場合はその名称)を聞かれます。この手続きを法律事務所の利益の相反(コンフリクト)チェックといいます。なぜ、報酬の説明ではなく、先にこの手順(=コンフリチェックと呼ばれます)を踏むのでしょうか。

◆弁護士法と職務規程でのコンフリチェック
 これは、相談や依頼の内容が、法律事務所がすでに受任している別の顧客(過去を含む)と「利益相反」の関係にないかを確認する作業です。弁護士法や職務基本規程で禁止されている「敵対する両者から依頼を受けること」を回避し、相談者の利益と職務の公正を守るために必ず実施されます。

◆その他士業のコンフリチェック
 弁護士以外の士業でも、守秘義務違反や公平性の欠如を防ぎ、倫理的・法的に適正な業務を行うためにコンフリチェックが必要な場面があります。
(1)公認会計士・監査法人
 監査業務とコンサルティング業務の並行です。クライアントへの監査と利害が伴うコンサルティング(非監査業務)を同一法人が行う場合に利益相反となります。
 そもそも法定監査は、会社法や金融商品取引法などに基づき、大企業や上場企業が作成した財務諸表(計算書類)が適正かどうかを公認会計士・監査法人が調査することです。主な目的は、株主、債権者、投資家などの利害関係者を保護し、財務情報の信用性を担保することにあります。企業の利益を目的にするコンサルティング業務とは対極的なものであり、同時に引き受けることはできません。
(2)社会保険労務士
 一方の利益となる行為が他方の不利益になる状態です。たとえば、顧問企業の従業員からの労働相談(解雇、未払い賃金など)を受ける場合などが該当します。
(3)行政書士
 双方代理の禁止(同じ事件で、利害関係が対立する両当事者から依頼を受けること)、利益相反の禁止(依頼者の利益と行政書士自身の利益がぶつかること)の場面で受任してはなりません。これは公正な職務遂行を妨げるためであり、離婚協議や遺産分割協議、契約書作成業務などで注意が必要となります。

税務トピックス 2026月06月9日

取引相場のない株式の評価を議論

 国税庁はこのほど、「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(佐藤英明座長=慶応大学大学院教授)」の2回目の会合を開きました。有識者会議は13人の委員で構成され、中小企業庁と全国商工会連合会がオブザーバーとして参加しています。この日の会合では渋谷雅弘委員(中央大学法学部教授)、弥永真生委員(明治大学専門職大学院会計専門職研究科教授)、熊谷秀幸委員(日本M&Aセンター取締役常務執行役員)から提出された資料をもとに議論を展開しました。

 被相続人の財産は「時価」で評価することが相続税法で定められています。しかし、非上場株は取引相場がないため、国税庁では「財産評価基本通達」というルールを設けて評価額を算定しています。ただ、配当や決算期を調整したり、故意に「赤字化」したりするなどの手法で意図的に評価額を下げ、税負担を過度に軽減しているとみられるケースがあります。

 2024年11月の会計検査院の検査報告では、①各評価方式の間で評価額に乖離が生じていること②類似業種比準価額を適用する割合が高い規模の大きな会社ほど、株式の評価額が相対的に低く算定されること③配当還元方式の還元率が、近年の金利の水準と比べて相対的に高い率となっているおそれがあること――などが示され、評価制度のあり方について「異なる規模の会社間での公平性や社会経済の変化を考慮し、より適切なものとなるよう検討を行っていくことが肝要」と指摘していました。会計検査院は「評価の公平性が必ずしも確保されているとはいえない」として、国税庁に見直しを求めていました。

 この日の会合では渋谷委員が「相続税における財産評価」と題した自身のレポートを提示。これまでの判例などをもとに、取引相場のない株式の評価がどのようになされているかを解説しました。また、弥永委員は会社法の観点から「裁判所による価格決定」の現状を報告。熊谷委員は「M&A実務における企業価値評価」についての資料を提示しました。

<情報提供:エヌピー通信社>

その他 2026月06月2日

【時事解説】中小企業における組織運営の透明化 その2

 では、中小企業における組織運営の透明化の取組みは具体的にどのように行われているのでしょうか。そこで中小企業庁編「中小企業白書2025年版」において、従業員を主役としたミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の策定や人事制度改革などを通して組織活性化を実現した企業の事例として紹介された側島製罐株式会社(本社:愛知県海部郡大治町)の取組みについてみていきましょう。

 側島製罐株式会社は、1906年創業の製缶会社で、小ロット・短納期で製造する強みを持っています。
 同社の現代表は2020年に金融機関を退職し、家業に入社したときから実質的に経営者となりました。同社は2000年以降減収が続き、現代表が入社した2020年12月期には過去最低の売上高の状態にありました。現代表は社員間の雰囲気が悪く組織として機能していなかったこと、よりどころとなる経営理念がないことに強い問題意識を抱いていました。

 そこで組織改革の原点とすべく、全社員を巻き込んで、自身が働く意味、同社の存在意義・価値を定義するMVV策定に着手しました。現代表自身の役割は取りまとめと言語化にとどめ、策定のオーナーシップは社員に任せる形とし、約1年を掛けて作り上げました。その後、現代表は全員が経営を自分事と捉える自律型組織の構築に取り組みました。組織づくりにおいては、社長を含む役職、評価などは全て撤廃したほか、各自がやるべきミッションを自ら考え、報酬を宣言・決定する自己申告報酬制度も導入しました。

 MVVの策定以降、売上高は2020年12月期を底に20年ぶりに増収に転じ、その後は3年連続増収を達成しました。
このように 従業員を主役としたMVVの策定等など通して、企業の成長を実現することが可能となるのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

その他 2026月06月2日

【時事解説】中小企業における組織運営の透明化 その1

 経営計画プロセスにおいては、従業員に経営理念・ビジョンを共有することや、経営計画の内容や進捗を全社に周知徹底することが重要となります。
 「中小企業白書2025年版」では、従業員に対する情報開示や業務の脱属人化、経営状態を可視化できる経営管理を「透明性」と定義し、アンケート調査に基づき組織運営の透明性に向けた取組状況と取組効果について分析しています。

 まず「従業員への経営理念・ビジョンの共有」、「従業員への業績・財務内容・議事録など経営情報の共有」、「業務の属人化・ブラックボックス化の防止」のそれぞれについて「取り組んでいる」と回答した割合は、「従業員への経営理念・ビジョンの共有」が70.2%「従業員への業績・財務内容・議事録など経営情報の共有」が57.0%、「業務の属人化・ブラックボックス化の防止」が51.5%となっています。

 次に「従業員への経営理念・ビジョンの共有」、「従業員への業績・財務内容・議事録など経営情報の共有」への取組状況別に人材の定着率をみると、いずれの取組みについても「取り組んでいる」事業者のほうが、定着率が高い傾向にあることが分かります。

 さらに「従業員への経営理念・ビジョンの共有」、「従業員への業績・財務内容・議事録など経営情報の共有」、「業務の属人化・ブラックボックス化の防止」への取組状況別に付加価値額の変化率(中央値)についてみると、いずれの取組みについても、「取り組んでいる」事業者のほうが付加価値額の増加率が高いことが分かります。

 このように従業員への経営理念・ビジョンや業績・財務内容等の共有は、従業員の主体性の醸成につながり、業績の向上や人材の定着に資する可能性が示唆されているのです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

税務トピックス 2026月05月26日

非上場株、評価ルール見直しへ

 国税庁はこのほど、「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」の初会合を開きました。この有識者会議は、会計検査院から指摘を受けたことを踏まえて設置されたもの。取引相場のない株式の相続税評価について、相続税法の時価主義のもとで適正な評価制度のあり方を検討するとしています。抜本的に見直されることになれば、現行の評価ルールを定めた1964年以来の大幅な改正。有識者会議では2027年度税制改正大綱に反映させることを目指して、議論を進めていくものとみられます。

 被相続人の財産は「時価」で評価することが相続税法で定められています。しかし、非上場株は取引相場がないため、国税庁では「財産評価基本通達」というルールを設けて評価額を算定しています。ただ、配当や決算期を調整したり、故意に「赤字化」したりするなどの手法で意図的に評価額を下げ、税負担を過度に軽減しているとみられるケースがあります。

 24年11月の会計検査院の検査報告では、①各評価方式の間で評価額に乖離が生じていること②類似業種比準価額を適用する割合が高い規模の大きな会社ほど株式の評価額が相対的に低く算定されること③配当還元方式の還元率が近年の金利の水準と比べて相対的に高い率となっているおそれがあること――などが示され、評価制度のあり方について「異なる規模の会社間での公平性や社会経済の変化を考慮し、より適切なものとなるよう検討を行っていくことが肝要」と指摘されていました。会計検査院は、評価方式によって評価額に4倍の差が出るケースもあると指摘。「評価の公平性が必ずしも確保されているとはいえない」として、国税庁に見直しを求めていました。

 有識者会議では、非上場株の評価を適正にすることを念頭に議論される見通し。ただ、大規模非上場企業の株式評価額が上がる方向で議論が進めば、一部で相続税の負担が増す可能性もあります。

<情報提供:エヌピー通信社>

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