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税務トピックス 2026月07月21日

外貨同士の交換で得た為替差益で初判断

 外国通貨を別の外貨に交換した際に生じた「為替差益」は課税対象の所得となるのかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷はこのほど、「課税対象になる」との初判断を示しました。国税当局の実務に沿った判断だといえます。課税した国税側の勝訴が確定。日本円に戻さなくても、別の外貨を取得した時点で収入の権利が確定すると結論付けました。審理した裁判官5人全員一致の意見。

 判決によると、原告は2014年、スイスの銀行の口座に105億円を預けて運用を一任。銀行はこれを外貨に替え、さらに別の外貨などに交換しました。東京国税局は18年、円安の進行などで為替差益が生じているのに、原告が所得を申告していなかったと指摘。14、15年分の所得について約9億3千万円の申告漏れがあったと判断しました。

 原告は銀行に一任していた取引での所得はないという認識で確定申告。ですが、国税当局は為替差益が「雑所得」に当たると判断し追徴課税しました。原告は20年、課税処分の取り消しを求めて提訴。「取引後も、円に払い戻すまでは為替相場の変動リスクが残っており、最終的な利益は確定しない」と主張し、課税は違法だとして訴えました。

 最高裁は、「日本円との関係で為替相場が変動する外貨は、外貨同士の取引が行われた時点で経済的価値が固定化」されると判示し、円換算額が所得税法の「収入すべき金額」になると指摘。円換算額から経費相当分を控除した金額が所得に当たるとする初判断を示し、原告側の上告を棄却しました。一審、二審での判決も、国税側の更正処分は適法として原告側の請求を退けていて、国税側の勝訴が確定しました。

 外貨建てした金融資産を日本円に払い戻した際には、差益に課税されるのが一般的ですが、外貨同士の取引の場合は明確な基準がありません。所得税法には、為替差益の課税時期を具体的に定めた規定がないため、課税の是非が争われる事案が増えています。国税当局は課税対象とする運用を続けていて、実務を追認する司法判断になったといえます。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2026月07月21日

査察 告発82件、脱税総額84億円

 国税局査察部、通称「マルサ」は2025年度に着手した調査131件のうち、82件(62.6%)を告発しました。告発事案の脱税総額は84億円で、1件当たりの脱税額は1億200万円でした。
 着手件数は前年度から20件減り、告発件数も同16件減りましたが、脱税総額は同1億7千万円増、1件当たりの脱税額は同1800万円増となっています。

 消費税事案では、廃プラスチックの再生資源を輸出する会社が虚偽の見積書を作成し、海外から輸入した事業用の機械装置を国内事業者から過大な金額で取得したように装い、課税仕入額を過大に計上することで、不正に消費税の還付を受けた事例がありました。また、産業廃棄物処理・運送業の会社が、取引先に架空の見積書や請求書を作成させ、実在しない資産を取得したように装って課税仕入額を過大に計上することで、消費税の還付を受けるとともに、納めるべき消費税を免れていたケースも報告されています。

 国際事案では、営業コンサルタント会社のグループ各社が、それぞれ架空の仕入額を計上し、法人税や消費税を免れることで得た不正資金の一部を海外の銀行に預金して秘匿する手法などが報告されています。

 査察事案で年度中に下された一審判決は80件。そのすべてが有罪判決で、〝有罪率〟は例年通り100%となりました。このうち6人に実刑判決がいい渡されています。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2026月07月14日

相次ぐ固定資産税の課税ミス

 所有する土地・建物にかかる固定資産税の納付時期には、全国各地の自治体で過大徴収、過少徴収、誤徴収、課税漏れなどのミスが相次いで発覚します。主要な地方税のひとつである固定資産税は、納税者側が計算して納付する申告納税制ではなく、自治体側が税額を決定する「賦課税」。全員が税金のプロである国税当局の税務職員とは違い、地方税を課税・徴収する自治体の職員は、その多くが一般的な地方公務員で、決して税金の専門官ではありません。今年報告された主なミスについて振り返ってみましょう。

 福井県永平寺町では、分譲マンションの土地部分の固定資産税が正しく課税されていませんでした。過少に課税していたもので、町では納税者に追加納付を求める方針。本来課税対象とするべき分譲マンションの土地部分がシステムの不備で課税対象外として処理されていたことが判明したそうです。

 福井県大野市では、1963~2000年に建築された鉄骨造の家屋32棟で固定資産税と都市計画税を過大徴収していました。判明している過大徴収の期間は最長60年。構造を「鉄骨造」ではなく「鉄骨鉄筋コンクリート造」に区分し、誤った補正率を適用したため本来より高い評価額になっていたことが原因。市では直近20年間分を還付する方針だとしています。

 熊本市では、固定資産税の納税額や納税者の氏名を記した文書を別人に発送するミスが発生しています。合計14万7871件に誤送付した可能性があるそうです。納税者の領収書を別人向けの通知書と切り離さないまま発送していました。業務委託先の事業者の、機械の不具合が原因である可能性が高いとしています。

 香川県綾川町でも固定資産税の課税ミスが発生しています。25年度に新システムへデータを移行した際、本来課税していない都市計画税に関する処理が一部で有効になり、それを参照して固定資産税が非課税として処理されていました。

 山口県光市でも固定資産税の納税通知書を誤って別人に送付するミスがありました。誤送付されたのは納税者名や納税額などの個人情報が記載された納税通知書。封入業務を委託していた事業者の確認作業が不十分だったことが原因だとしています。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2026月07月14日

《コラム》遺産分割で考慮すべき特別受益

 被相続人から生前贈与を受けていた場合、相続財産の分割だけでは課税の公平が保てないため、一定の配慮が行われます。

◆相続人の特別受益を相続財産に持ち戻す
 相続人に遺贈または婚姻、養子縁組、生計の資本としての贈与がされた場合、これらは特別受益とされます。特別受益の額は相続時の価額で相続財産の価額に加算(持戻しといいます)し、民法に規定する相続分で按分した額から遺贈または贈与の額を控除した額が各相続人の相続分となります。
 被相続人が持戻しの免除を意思表示したときは、その意思に従います。婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産の遺贈または贈与、配偶者居住権の遺贈も持戻し免除の意思を表示したものと推定されます。

◆持戻しの対象となる贈与の範囲
 子の結婚に際し、新生活を援助するためのまとまった金銭の贈与は特別受益に該当すると考えられます。生計の資本としての贈与は生活の基盤となる財産を指し、夫婦間の生活保持義務や親族間の扶養義務の範囲を超えるものは特別受益に該当します。子の学費は扶養義務の範囲であれば該当しませんが、住宅資金の贈与は非課税となるものであっても特別受益となります。

◆生命保険金の持戻しの扱い
 相続で受け取る生命保険金は、相続人固有の財産とされ、原則、持戻しの対象となりません。ただし、生命保険契約が保険金を受け取った相続人に対する被相続人からの贈与と同視され、相続人間の公平さを著しく欠くとされた場合は、特別受益となることが裁判で示されています。

◆未分割のときは持ち戻して相続税額を計算
 相続人に特別受益があったとき、これを持戻して相続税額を計算するのは、遺産分割協議が調わず、未分割となる場合です。遺産分割協議が調う場合は相続人間で任意に分割できます。

◆生前贈与加算と異なる加算期間
 被相続人から生前贈与があった場合、相続開始前7年以内に贈与された財産の価額を相続財産の価額に加算して相続税額を計算します(生前贈与加算)。加算対象期間は令和5年度税制改正により、相続開始前7年以内となりました。令和6年1月1日以後の暦年課税贈与により取得した財産について適用されます。
 一方、特別受益については受益の時期にかかわらず、全ての期間に行われた贈与が持戻しの対象となります。

コラム 2026月07月7日

《コラム》相続税の連帯納付義務

◆相続税の納税は相続人全員の連帯責任
 遺産分割が終わり、申告書を提出して自身の相続税の納税は済んでいるのに、共同して申告した者に相続税の滞納が生じると、あなたにも滞納者の相続税の納付義務があると通知されることをご存知ですか?
 相続税の扱いでは、各相続人等が相続や遺贈で取得した財産の価額から相続税額を控除した残額を相続人等の受けた利益として、その範囲内で各相続人等が相互に連帯して相続税を納付する義務を負っています。
 例えば、兄弟3人の相続人で、次男が相続税を滞納すると、長男、三男には、自身の受けた利益の範囲内で次男の滞納相続税について納付義務が生じます。

◆連帯納付義務者に届く納付通知書
 滞納している相続人が税務署から督促を受けた後、1か月経過すると、税務署は連帯納付義務者となる相続人、受遺者に、相続税が完納されていない旨のお知らせを送付します。その後、連帯納付義務者に納付を求める場合、連帯納付義務者に納付通知書を送付します。納付通知書には①相続税が完納されていない旨②相続人、受遺者には連帯納付義務がある旨③その相続に係る被相続人の氏名等が記載されています。

◆未納の連帯納付義務者に督促状を送付
 連帯納付義務者が納付通知を受けた後、2か月以内に完納されない場合は、連帯納付義務者に督促状が送付されます。
 なお、申告期限から5年以内に通知がない場合、相続人が延納や納税猶予を受けている場合は、連帯納付義務は生じません。納付されるまでの間、連帯納付義務者には利子税が課されます。

◆相続人に連帯納付義務を課す理由
 相続税は、相続財産の総額に課税され、これを相続人、受遺者が取得した財産の価額に応じて各人の納付税額が算定されます。
 税務署が財産を取得した全ての相続人、受遺者に連帯納付義務を課すのは、徴収漏れを防ぐことにあります。実務と異なりますが、遺産分割の前に相続税を先に納付し、残った財産を遺産分割すると考えれば、連帯納付義務に納得しやすいかもしれません。

◆遺産分割協議は納税義務を含めて合意する
 相続財産のうちに売却困難な不動産があるときは、相続税の納税資金を確保できるよう事前に検討しておくことが大事です。また、遺産分割の際は、相互に相続税の連帯納付義務があることを合意しておくことが必要と言えそうです。

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