個人であれば年末、法人であれば事業年度末が近づくと、1年間のおおよその所得額が把握できるようになります。所得が多くて多額の納税が必要になりそうなら、経費(損金)や所得控除の対象になる支出を増やして税負担を抑える方法を考えないと損をしかねません。
年末や決算期の代表的な駆け込み節税策に、各種保険や共済に新たに加入する方法があります。生命保険のほか、取引先倒産リスクをカバーする「経営セーフティ共済」、火災保険とセットで加入する地震保険などの商品の1年間の保険料をこの時期に支払うと、来年分も含めて所得控除の対象になります。
必要経費をこの時期にたくさん支出するのもひとつの手です。事業用固定資産の修繕を考えているのなら、修繕費用は必要経費として処理できるので、儲けが多かった個人事業主は年をまたがずに年内に支出するようにしましょう。
所得税として徴収されるより、自分が望む地域に寄付をする「ふるさと納税」を使い、自治体からさまざまな返礼品を受け取る方法もあります。ふるさと納税を利用すると、寄付額のうち2千円を超えた金額が、住んでいる場所で納める所得税や個人住民税から差し引けます。使える枠は毎年リセットされます。
年内に結婚して扶養親族が増えれば今年から配偶者控除を使えますが、税額の多寡だけで駆け込み結婚をする人はあまりいません。ほかの駆け込み節税策にしても、税金面のお得度だけを考えて無駄な支出をしてしまえば本末転倒です。年末の本格的な慌ただしさが来る前におおよその課税所得額を確認し、また節税につながる複数の選択肢を洗い出したうえで、自分にあった節税策を選ぶことが大切です。
<情報提供:エヌピー通信社>