帝国データバンクの調査によると、全国の後継者不在率は2020年時点で65.1%となり、後継者不在による事業承継問題はこれまで以上に深刻化しているようです。そうした状況を受け、政府は21年度予算に事業承継支援として100億円近くを計上し、事業承継とM&A支援をワンストップで行う体制を4月より開始しています。
同社が1万1170社から回答を集めた調査によると、事業承継を行う際の後継者への移行期間は、「3~5年程度」とする企業が26.9%で最も高いという結果が出ています。次いで「6~9年程度」が13.8%で続き、「1~2年程度」が11.3%、「10年以上」が11.2%と続きました。移行期間に「3年以上」を要する割合は51.9%となり、半数を上回っています。「移行期間を必要としない」は8.9%でした。
企業からは、「後継者は決定しているが自社は技術系のため、3~5年の育成期間が必要」(電気通信工事、鹿児島県)や「建設業は人材が資本で、中小では特に人材育成が課題」(はつり・解体工事、千葉県)、「スキルだけでなく経営者としての思考性が大事で、10年以上はじっくりと時間をかけたい」(電気機械器具卸売、愛知県)といった声が聞かれます。
昨年2月以降、国内では新型コロナウイルスの感染が拡大し、社会情勢は大きく変化しました。そうしたなかでの自社の事業承継に対する意識の変化の有無は、「意識が変化した」とする企業は8.7%。一方で「特に変化なし」は79.8%に及びました。「意識が変化した」という企業の内訳をみると、新型コロナの影響で「事業承継の時期を延期」と考えているのは4.3%で、意識が変化した様態としては最も高い状況でした。「事業承継の時期を前倒し」は3.5%、「事業承継予定から廃業予定に変更」は0.5%、「廃業予定から事業承継に変更」は0.4%でした。
<情報提供:エヌピー通信社>