2020事務年度(20年7月~21年6月)の法人税実地調査の件数は、2万5千件で、前年度の7万6千件からは67.3%減となりました。さらに申告漏れ所得金額は5286億円で、こちらは前年度の7802億円から3割以上減少しています。コロナ禍前の18事務年度に比べれば調査件数が75%減、申告漏れ所得金額は72%減という数字になりました。
一方で実地調査以外の、書面や電話による連絡や来署依頼に基づく「簡易な接触」は6万8千件と、前年度の4万4千件から1.5倍に増加しました。申告漏れ所得金額で前年比前年比179.2%、追徴税額で228.7%と、大きく伸びています。実地調査の件数の減少を、簡易な接触の増加によって少なからずカバーした形です。
特筆すべきは、実地調査1件当たりの追徴税額が約781万円と、前年度の314万円より約1割増加していること。こうした1件当たり追徴税額の増加は今事務年度に始まった話ではありませんが、特に今事務年度に入って当局の「お尋ね爆撃」が功を奏していることが分かります。
国税庁は数年前から全体方針として、情報分析による調査の〝重点化〟を進めていて、いかに1件から多く追徴税額を取るかを重視しています。こうした効率化の流れが、コロナ禍で思うように実地調査を行えないなかで、さらに進行したのが今年度のポイントと言えます。
<情報提供:エヌピー通信社>