国土交通省は3月下旬、今年1月1日時点の地価を公表しました。2020年初頭からの新型コロナウイルスの感染拡大が影響して6年ぶりにマイナスとなった前年から一転、2年ぶりの上昇となっています。住宅地、商業地、工業地などを含む全用途の全国平均はプラス0.6%。ただしインバウンド需要の消滅を受けて前年に大打撃を受けた大阪圏では下落が続くエリアも多いなど、コロナ禍前の水準までには回復していません。継続的な回復基調に乗せられるかは、今後の経済対策次第といえそうです。
住宅地では、コロナ禍による在宅勤務の長期化から、住宅購入意欲が強まりました。前年0.4%の下落だったところから、0.5%上昇。コロナ禍が直撃した前年に上昇を保った札幌、仙台、広島、福岡の地方中枢4都市は9年連続の上昇をみせ、前年はマイナスになった三大都市圏などでも上昇に転じています。特に都心の高級物件のあるエリアや、交通の便の良い郊外などで著しいプラスを示しました。
コロナ禍が最も影響したのが商業地。訪日客がほぼゼロになったことに加え、国内でも外出自粛の動きにより旅行や外食が打撃を受け、前年は観光地や繁華街などで特に下落が目立ちました。今年はそこから持ち直し、全国平均で0.4%のプラス。ただ、近所で買い物を済ませる傾向が強まり、駅に近い地域などで回復が目立つ一方、訪日客のインバウンド需要によって地価上昇していたエリアでは下落が続く場所も多い状況です。東京圏と名古屋圏がプラスに転じた一方で、大阪圏は横ばいにとどまっています。
地価が最も高かったのは、16年連続で東京都中央区銀座の山野楽器本店。しかし5300万円と前年からは60万円下落し、9年ぶりにマイナスに転じていた前年からマイナスを継続しています。
<情報提供:エヌピー通信社>