(前編からのつづき)
海外取引に係る脱税や租税回避を防ぐために各国の税務当局と金融口座情報を交換する新制度(CRS)も積極的に活用しております。
2020事務年度においても、外国税務当局から受領した金融口座情報を端緒に取引の全貌を解明し、海外の代表者名義口座を利用して売上を除外していた事案が挙がっております。
調査対象は、製造業を営むA法人で、代表者が海外で保有する預金口座情報をX国からのCRS情報により入手し、その口座に多額の残高があることを把握しました。
A法人の申告上は、国内売上のみとされているにもかかわらず、税務調査で確認したところ、海外関連費用の計上が認められました。
この事実に基づき代表者を追及したところ、海外グループ法人に対する役務提供の対価を海外の個人口座で回収することにより、売上を除外していた事実が判明しました。
調査の結果、A社に対して、5年分の法人税の申告漏れ所得金額1億2,000万円について重加算税を含む追徴税額3,300万円が課されました。
(注意)
上記の記載内容は、令和4年6月6日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。