長期譲渡所得の100万円控除制度の利用状況について国土交通省が発表しました。制度が開始された2020年7月から21年12月までに、自治体が「低未利用土地等確認書」を交付した件数は5150件。全ての都道府県で交付実績があり、平均して約110件となります。また譲渡前の状態は、空き地が約5.5割、譲渡後は住宅としての利用が約6割。所有期間については30年以上保有している土地が約6割でした。
この控除制度は、個人が保有する低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の金額から100万円を控除するというもの。地方部を中心に全国的に空き地・空き家が増加するなか、新たな利用意向を示す者への土地の譲渡に関する税負担を減らすことで、土地の有効活用を通じた投資の促進、地域活性化、更なる所有者不明土地の発生の予防を図ることを目的としています。20年7月1日から開始していて、今年12月31日に終了します。
新たな特例措置は、土地とその上物の譲渡の対価の額の合計が500万円以下で、かつ都市計画区域内の低未利用土地という要件を満たす取引について、売主の長期譲渡所得から最大100万円控除できます。宅建業者が空き家となっている中古住宅を買い取って、一定の質の向上を図るリフォームを行った後売却する(買取再販)場合も含まれます。
自治体が低未利用土地等の譲渡に対して確認書を交付した5150件の平均の譲渡対価の額は247万円。都道府県別に確認書交付数をみると、北海道が351件でトップ、次いで茨城県325件、鹿児島県244件、静岡県239件と続きます。市町村別では、宮崎・都城市が94件で最も多く、山形・鶴岡市64件、三重・津市57件でした。
石川・輪島市の事例では、相続によって、老朽化した空き店舗を取得しましたが、相続人は遠方に居住していて、管理が負担になっていたそうです。宅建業者に空き家バンクの登録の相談をしたところ、宅建業者の紹介で購入者が現れたとのことです。特例措置により、譲渡による税金が減額されることから、これが売却価格交渉のきっかけとなり、売却額500万円で取引が成立。買主は購入後、改修し、ライダーのためのガレージハウスとして使用しているそうです。
<情報提供:エヌピー通信社>