物価高や円安で上昇したコストの価格転嫁を実現した企業のうち、4割超が「原価を示した価格交渉が功を奏した」としているとの調査結果を帝国データバンクが公表しました。調査は全国の中小企業1335社を対象に実施したもの。各社が価格転嫁を実現した手法をランキング形式でまとめています。
最も多かったのは「原価を示した価格交渉」で45.1%(複数回答)に上りました。回答者からは「エネルギー関連の値上がり幅を取引先に提示して説得した」(みそ製造業)との声や、「取引先に依存しているというイメージを持たれないよう、さまざまな企業と取引していると情報発信したうえで交渉している」との工夫も聞かれました。
続いて「取引先への価格改定の通知」が28.7%。アンケートに回答した自動車整備業者は、「部品や材料、電気料金が上がるタイミングで細かく価格変更し、『緩やかな値上げになっている』と印象付ける」よう気を配っているそうです。以下、「業界全体における理解の進展」(25.8%)、「発注者とコスト関連の情報を共有」(24.2%)、「業界全体における価格調整」(13.9%)などが続きました。
ただ、価格転嫁を実現した企業の割合はまだ低いのが現状です。帝国データバンクの調査によれば、自社商品・サービスのコスト上昇分を価格転嫁できている企業の割合は39.9%にとどまります。コスト上昇分の多くは販売側の企業が負担している状況で、同社は「サプライチェーン全体で価格の底上げを行えるよう、政府や行政は支援を打ち出すべきだろう」としています。
<情報提供:エヌピー通信社>