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税務トピックス 2023年7月11日

固定資産税の過徴収、5年超の賠償認めず

 固定資産税などを約20年間も過大に徴収されたとして、土地所有者が約1億円の返還を大阪市に求めた裁判で、大阪地裁は5月下旬、原告らの訴えを退ける判決を下しました。多くの自治体では過大徴収が発覚したときの返還時効を5年と定めていますが、固定資産税の過大徴収は長期間にわたることが珍しくないことから、5年超の賠償を求めて争う納税者は少なくありません。過去には国家賠償法の時効である20年を超えて賠償を命じた判決もあり、司法判断も一様ではないようです。

 訴状によれば、今回の裁判で争われた大阪市のケースでは、ひとつの土地に異なる容積率が混在する場合、土地の評価額を最大で34%減額補正できるとする特例が設けられていました。しかし原告らの土地では少なくとも20年にわたり特例が適用されず、過大に固定資産税や都市計画税を徴収されていました。所有者らが2018年以降に大阪市に申し出たところ、市は地方税法が定める還付の時効に従って5年分を返還しましたが、土地所有者らが「市が調査を怠っていたことが原因である」として、国家賠償法の時効である20年分の返還を求めたものです。

 大阪地裁は判決で、「市の規定は、容積率が混在する土地について価格の差が著しい場合にのみ適用されるもので、本件はこの場合に該当することが明らかとは言えない」とした上で、「大阪市に明確な注意義務違反があったとは言えない」と述べ、原告らの訴えを棄却しました。

 過大に納めた税金の還付に関する時効規定では、原則的に「5年」と定められています。ただし多くの自治体では「過徴収金返還要綱」などと呼ばれるルールを定め、5年を超える過徴収についても返還する方針を採用しています。要綱に規定する時効は自治体にもよりますが、7年、10年、20年などまちまちで、近年多発している固定資産税の過徴収事例では、この要綱に従って返還期間を決めるケースが少なくありません。

<情報提供:エヌピー通信社>

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