新型コロナウイルス対策の「ゼロゼロ融資」を受けたにもかかわらず倒産に追い込まれた企業が、ついに1千件の大台を超えました。東京商工リサーチによると、8月の関連倒産は57件で4カ月連続の50件超えとなり、初めてゼロゼロ倒産が確認された2020年7月からの累計が1025件となりました。
ゼロゼロ融資は、コロナ禍で急減な業績悪化に見舞われた中小・零細企業の資金繰り支援策として実施され、倒産抑制に効果をみせました。しかし副作用として過剰債務に陥った企業は多いのが実状です。ゼロゼロ融資の民間金融機関の返済がピークを迎え、「業績回復の目途が立たず息切れする企業が増えている」と東商リサーチは見ています。
「ゼロゼロ融資」を利用した8月の倒産を業種分類別にみると、「飲食店」が7件で最多。コロナ禍で弱体化した経営状態に、材料や光熱費の高騰が追い打ちをかけました。また「社会保険・社会福祉・介護事業」も5件で2番目に多い業種となりました。コロナ禍でサービスの利用減少が損失拡大につながったとみられます。このほか、「総合工事業」が5件で同率2位に並び、「職別工事業」が4件で続きます。資材価格や外注費の高騰に加え、人手不足に伴う工期遅れや失注などが響きました。
政府は今年1月、ゼロゼロ融資返済を見据えてコロナ借換保証を創設したほか、8月には金融庁が金融行政方針を発表し、資本性劣後ローンの活用などを含めた事業者支援の徹底を金融機関に促しました。ただ、こうした施策がどの程度の効果を発揮するのか、東商リサーチは「経営の疲弊した中小・零細企業に残された時間は少ない」とみています。
<情報提供:エヌピー通信社>