ビジネス上のほとんどの収益(リターン)はリスクを取る対価として発生します。銀行の本業である貸出収益に対するリスクは、大きくクレジットリスクと期間リスクとに分解することができます。
クレジットリスクとは貸出先の個別の信用状態に起因する貸し倒れに対するリスクです。100%安全な貸出先というのはありません。どんな貸出先にも、大なり小なり破綻するリスクが存在します。その対価として金利を受け取ります。したがって、信用度が高い貸出先の融資は金利が低く、信用度が低いと金利は高くなります。
信用度に応じて金利が変わるということは、銀行が資金を調達する場合にもあてはまります。現在、銀行が預金者から預かる金利には大きな差はありませんが、銀行が市場から資金を調達する場合は、信用度が高い銀行ほど低い金利で資金を集められます。
もし、銀行が預金ではなく、すべて市場から資金を調達して、その資金を原資に貸出を行うとしましょう。市場では銀行も一般企業も同様に信用による格付けが行われ、金利は段階的に差がついています。そのため、銀行が貸出により利ザヤを確保するためには、自らが市場で調達した金利より、高い金利を付けることができる信用力が劣る企業に貸出を行わなければなりません。つまり、銀行が自分より使用力の高い企業、例えばトヨタ、あるいは国にカネを貸しても逆ザヤになるだけで、儲かるわけはないのです。(つづく)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)