毎年この時期の恒例行事と言っていいかもしれませんが、生命保険協会が税制改正要望で、生命保険の死亡保険金を受け取ったときの相続税の非課税枠(法定相続人数×500万円)の上限引き上げを求めています。相続増税で国民の生活が脅かされないよう、何らかの対策を講じる必要があるなかで、非課税枠拡大は有効な選択肢となるのでしょうか。
相続増税の影響で生命保険の加入者が増加しています。生命保険協会の統計によると、平成26年度末の個人保険の契約件数は1億5173万件で、8年連続で増加しているそうです。
生命保険に加入する大きな税メリットとして挙げられるのは、受け取った死亡保険金の一部が非課税になることです。相続税の基礎控除額とは別に、相続人が受け取る死亡保険金は「法定相続人の数×500万円」を相続財産から差し引けます。
生保協会は「非課税措置として十分な状況にあるとは言えない」と指摘し、現行の非課税枠に「配偶者分500万円+未成年の被扶養法定相続人数×500万円」を加算することを要望しました。
生命保険文化センターの調査によれば、30代と40代の世帯主が加入している普通死亡保険金額は2千万円〜2500万円となっており、この金額が最低限必要な遺族の生活資金相当額であるとしています。しかし、母と未成年の子1人の母子遺族世帯を想定すると、現行の非課税限度額は1千万円にしかなりません。非課税枠拡大は国が講じるべき選択肢のひとつと言っていいのかもしれません。
<情報提供:エヌピー通信社>