文部科学省は、2018年度税制改正において、国立大学法人等へ財産を寄附した場合の譲渡所得税の非課税承認を受けるための要件緩和を国立大学法人等へ通知しました。
個人が土地などの現物資産を国立大学法人等に寄附し、この寄附に対するみなし譲渡所得税の非課税措置を受けるには、その資産が2年以内に公益目的事業の用に直接供される等について国税庁長官の承認を必要とする要件があります。
これまで、この要件を満たすための国立大学法人、大学共同利用機関法人、公立大学法人及び(独法)国立高等専門学校機構内での手続きに時間がかかることから、その間に寄附者から寄附の提案を取り下げられるケースがあり、現物寄附が増えていかないとの指摘がありました。
このため、2018年度税制改正において要件の緩和を導入し、一定の要件を満たす場合で、国税庁長官の非課税承認の決定が寄附者の申請から1月以内に行われなかったときは、自動的に承認があったものとみなす「承認特例」を国立大学法人等にも適用しました。
国立大学法人等の承認特例で規定された一定の要件は、国立大学法人等が所轄庁の確認を受けた基金の中で寄附財産を管理することなどにより、その寄附資産が公益目的事業の用に直接供されると判断されることになります。
また、非課税承認を受けた寄附財産を譲渡し、買換資産を取得する場合、これまでは公益目的事業の用に2年以上直接に供し、買換資産も公益目的事業に利用するとの要件を満たさなければ非課税承認の継続はできませんでしたが、2年以上の利用がなくても基金の中で寄附財産を管理し公益目的事業に利用している場合には、国税庁長官に必要書類を提出することで「特定買換資産の特例」として非課税承認の継続ができるようになりました。
同省では、「今回の拡充によって、寄附者にとっては非課税措置が受けられるかどうかの判定が早くなり、寄附を行いやすくなる。また、国立大学法人等にとっても寄附された資産の構成を組み替えることが可能となり、資産の有効活用ができるようになる」としています。
なお、上記の承認特例及び特定買換資産の特例は、2018年4月1日以後の財産の贈与等、財産の譲渡から適用されます。