長野県諏訪市が、マイナンバーを同姓同名の別人に交付していたことが分かりました。不十分な本人確認などを原因とするマイナンバーやマイナンバーカードの交付ミスは全国で起きていて、2018年度にはマイナンバー法に違反する流出や紛失が279件報告されています。制度普及のために国が様々な施策を打ち出す一方で、制度の前提となる情報管理に不安が生じている状況です。
諏訪市によれば今年4月、転入届を出すために市役所を訪れた外国人男性に対して、名前、性別、生年月日を確認したところ、すべてが一致する別の男性の別自治体での住民登録データが該当しました。データが本人のものであるか確認したところ、明確に否定しなかったため、同一人物だと認定して別の男性のマイナンバーで住民登録を済ませたそうです。しかし8月になり、もう一方の男性が年金などの申請のために役所を訪れたことで、同じマイナンバーを持つ男性が諏訪市にいることが判明し、ミスが発覚しました。
個人情報保護委員会によれば、マイナンバーなどの漏えい事案は制度が開始した16年度には165件でしたが、翌18年度には374件に倍増。19年度は減少したものの、それでも279件が報告されています。そのうち、漏えい規模の大きい「重大な事態」は行政機関から1件、事業者から2件あり、昨年12月に東京・大阪国税局からデータ入力を委託された業者がマイナンバーを含む個人情報70万件を漏えいさせていた事案などが含まれるとみられます。
こうした情報漏えいへの懸念もあってか、任意申請のマイナンバーカードの取得率は今年8月末までで13.9%にとどまっているのが現状です。低迷する取得率を引き上げるため、国は来年6月以降、キャッシュレス決済と連携させることで25%を還元する施策を検討していますが、カードの取得者が増えれば、個人情報の漏えい事案も今以上に増加することが予想されます。
<情報提供:エヌピー通信社>