ようやく我が国もインフレが到来しました。ただ、日銀は、今のインフレは「悪いインフレ」であり、それを「良いインフレ」に転化できるようにしたいとして金融緩和を維持しています。
インフレはその発生の違いにより、以下の2種類に大別されます。強い需要が物価を引き上げる「デマンドプル型」と、供給側の商品の原材料価格上昇が物価を押し上げる「コストプッシュ型」です。
デマンドプル型は需要が需要を呼ぶ形でインフレを起こします。その結果、経済が拡大し、更なる物価上昇を呼ぶという、経済の好循環を引き起こします。
一方、コストプッシュ型は原材料価格上昇が物価を押し上げます。原材料等の仕入価格が上昇すると、企業の利益を圧迫します。利益確保のため、まずは経費削減に努力しますが、それも限界となり、やむをえず商品価格を引き上げます。コストプッシュ型インフレでは経済の好循環は期待できません。
デマンドプル型は経済の成長過程で生じる「良いインフレ」ですが、コストプッシュ型は国民生活が一層苦しくなる「悪いインフレ」となります。
日銀はマネー流通量を飛躍的に増加させることでマネーの相対的価値を減少させ、モノの需要を活性化させることにより、デマンドプル型インフレを惹起させようとしてきました。しかし、今のインフレはコストプッシュ型です。原油を筆頭に、鉄、木材などの資材価格は上昇傾向にあり、さらに円安は輸入原材料価格の上昇に拍車をかけます。
これは明らかに悪いインフレとなりますが、当初は悪いインフレでも、それを良いインフレに転化できればいいのではないかという議論も見受けられます。良いインフレと悪いインフレを分かつポイントは、物価の上昇に伴い賃金が増加するかどうかです。その点を会計的視点から見ていきましょう。(つづく)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)