中小企業においては、採用し育成した人材が定着し自社の企業活動に貢献し続けてもらうことが重要になります。
中小企業庁編「中小企業白書2024年版」では、中小企業を対象としたアンケートに基づいて、中小企業における人材の定着に向けた取組みの現状について分析しています。
まず、人材の確保・定着に向けた人事関連施策への取組状況についてみると、「積極的に行っている」及び「ある程度行っている」と回答した割合の合計は、「賃上げ」で8割以上、「専門性に応じた業務分担・配置」で6割以上となっている一方、「キャリアプランの明確化」では、3割程度となっています。
次に、働き方改善に向けた取組状況についてみると、「積極的に行っている」及び「ある程度行っている」と回答した割合の合計は、「休暇制度の充実」、「労働時間の見直し」では、7割を上回っている一方で、「テレワークの推奨」では、「行っていない」と回答した企業が過半数を占めています。
さらに、従業員満足度を確認するための取組状況についてみると、従業員規模が大きい企業ほど、社内調査を行って従業員満足度を確認している傾向にあり、とくに「301人以上」の企業では、過半数が自社での社内調査を「行っている」ことがわかります。
また、従業員満足度を確認するための取組みとして日常のコミュニケーションにどの程度取り組んでいるかについてみると、従業員規模の小さい企業ほど「積極的に行っている」と回答する割合が高い傾向にあります。その一方で、「行っていない」と回答する企業も従業員規模の小さい企業ほど多く、日々のコミュニケーションの必要性の有無が企業によって分かれている可能性があります。(つづく)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)