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その他 2025年10月21日

【時事解説】運送業界規制で悪化する資本効率 その2

 2024年4月以降、トラックドライバーの年間の時間外労働時間の上限が960時間に制限されるようになりました。運送業界がこれまで行ってきたような過剰なサービスができなくなると、ジャストインタイムの精密度は下がらざるを得なくなります。運送業界の負担に配慮すれば、在庫は多めに持たなければなりませんし、物品を保有するスペースも必要になりますから、相応の資金負担がかかります。資金負担を手持ち現預金でカバーできなければ、借入金が増えますから、資産、負債が増加することになります。それは結果的に利益の減少を招きますから、ROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)は低下することになります。

 当然のことではありますが、資本市場は各企業に資本効率の向上を求めます。それに対応し、これまで、企業は資産のスリム化や利益率の上昇に努めてきました。ところが、運送業界の労働規制に対応すると、そうした方向性に逆行します。しかし、だからといって、それが間違っているわけではありません。社会の安定性を考えれば、各企業が資本の効率性を犠牲にしても、資産等に余裕を持つことは社会的に望ましいことであるはずです。

 効率性のあくなき追求は、社会や市場が安定しているときには、是認されます。しかし、今回のような社会的要請に止まらず、昨今では温暖化の影響による地球環境の限界も議論されており、効率性を犠牲にしての企業行動が求められるケースが増加することが予想されます。そうした企業行動は社会や環境の持続可能性という点では評価すべきものです。その意味から、資本市場もそうした動きをマイナスに捉えるのではなく、応援できるような形の評価基準を持つことが求められているように思われます。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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