原材料費やエネルギー費、労務費等が上昇する中、多くの中小企業が価格交渉・価格転嫁できる環境整備が求められています。
中小企業庁が2025年6月に公表した「価格交渉促進月間フォローアップ調査結果(2025年3月)」の内容に沿って、中小企業の価格交渉の状況をみると、「価格交渉が行われた」割合は前回調査(2024年9月)から約3ポイント増の89.2%となっており、価格交渉が行われていることがわかります。また、「発注側企業から申し入れがあり、価格交渉が行われた」割合は、前回調査から約3ポイント増の31.5%となっており、発注企業からの申し入れが浸透しつつあることがわかります。
次に、価格転嫁率の推移を見ると、2025年3月のコスト全体の価格転嫁率は52.4%であり、前回調査(2024年9月)より約3ポイント上昇しています。
コスト要素別の価格転嫁率をみると、2025年3月労務費の転嫁率は48.6%となっており、前回調査(2024年9月)から約4%ポイント上昇したものの、原材料費の転嫁率54.5%と比較して約6ポイント低い水準となっています。また、エネルギー費の転嫁率は47.8%となっており、前回調査から約3%ポイント上昇したものの、コスト全般の転嫁率より低い水準となっています。
さらに2025年3月の価格転嫁率の状況について、受注側企業の取引段階別にみると、「1次請け」から下流に行くほど、価格転嫁率を「0割」と回答した割合が高まっており、価格転嫁が進みづらい傾向にあることがわかります。特に、4次請け以上の階層においては、「全額転嫁できた」企業の割合は15%程度にとどまっています。
このように受注側企業の取引段階が深くなるにつれて、価格転嫁割合が低くなる傾向がみられるのです。(了)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)