新型コロナウイルス感染拡大の対応策として導入された「納税猶予の特例措置」の適用が、1月下旬の時点で約42万件、金額で1兆4千億円にのぼっていることが国税庁の調べでわかりました。納税猶予の特例は2月1日で終了していて、中小事業者からは今後のしかかる税負担への不安が聞こえてきます。
国税庁によると、猶予された税目別では消費税が最多の8千億円で約6割を占め、次いで法人税が4千億円、所得税が1千億円でした。既存の納税猶予と比較すると、2018年度は1年間で4万1871件、695億円だったため、今回の利用は件数で約10倍以上、金額で約20倍に達したことになります。
特例措置は、収入が前年同期比で2割以上減少した場合が対象で、既存制度と異なり担保不要、延滞税免除で1年間納税猶予できるというもの。昨年末の税制改正の議論では、特例について今年1月末に設定された期限の延長の求める意見も少なくありませんでしたが、当初想定より利用件数が少なかったことなどもあり、予定通り締め切られることとなりました。
ただ、与党税調などでは延長しなかった理由として、事業者側の「預かり金」である消費税と源泉所得税で利用件数が多かったことなどを挙げますが、制度の建前はどうあれ、業績にかかわらず納付を余儀なくされる消費税などが事業者にとって重負担となっていることは確かです。猶予実績の6割を消費税が占めていることからも、直近の運転資金に苦しむ事業者にとって猶予が助けとなったことは事実で、特例を延長しない以上は、猶予に代わる実効性ある支援策が政府には求められます。
<情報提供:エヌピー通信社>