昨年の夏に始まった「低未利用土地の譲渡に係る100万円控除制度」について、国土交通省はこのほど、利用状況および適用事例について調査しました。同制度は、地方部を中心に全国的に空き地・空き家が増加するなか、土地の譲渡を促進するために創設されました。個人が保有する低未利用土地を譲渡した場合の長期譲渡所得から100万円を控除することで、土地の有効活用を通じた投資の促進、地域活性化、さらなる所有者不明土地の発生の予防を図ることを目的としています。
2020年7月1日から22年12月31日までの間で、譲渡した個人が低未利用土地などを500万円以下で売った場合は、売主の長期譲渡所得から最大100万円を控除することができます。その譲渡所得の金額が100万円に満たない場合は、その譲渡所得の金額が控除額になります。また譲渡した年の1月1日に所有期間が5年を超えていなければなりません。
昨年7月から同年12月までに、自治体が低未利用土地等の譲渡に対して確認書を交付した件数は2060件で、すべての都道府県で交付実績があり、平均で約44件でした。1件当たりの譲渡額は平均231万円。また、譲渡前の状態は空き地が約6割で、譲渡後の利用は住宅が約6割でした。所有期間については、30年以上保有している土地が約6割となりました。
北九州市に住む所有者の事例では、両親が住んでいた山形・鶴岡市の空き家を解体して売却し、新たに住宅用地として譲渡したというケースがあります。所有者が管理のために定期的に現地を訪問するなど、交通費や宿泊費等の負担があったものの、この特例により、13万円ほど税負担が軽減され、解体後売却することができたそうです。
<情報提供:エヌピー通信社>