国税庁がこのほど公表した2020事務年度の所得税調査の実績によれば、個人の1件当たりの申告漏れ所得金額が最も高額だった業種は、プログラマーでした。コロナ禍で実地調査件数が減少するなかで、当局が1件当たりの〝成果〟を重視した結果、上位の顔ぶれががらりと変わる結果となっています。
20事務年度にトップだったプログラマーの1件当たり申告漏れ所得金額は4927万円。以下、2位が畜産産業(肉用牛)の3515万円、内科医の3339万円と続きます。プログラマーについては、暗号資産などの自動売買プログラムといったソフトの開発を手がけたプログラマーが約2億円の所得隠しを指摘されたケースもあり、こうした数字も反映されました。
例年であればトップ3の常連だった「夜の職業」関連では、キャバクラが2834万円で4位に名を連ねましたが、23年連続で上位5位に入っていた風俗業はランキングから外れました。風俗業はコロナ禍の影響を最も受けた業種の一つであり、利益が激減したため調査先に選ばれにくかったことが影響したとみられます。
業種ごとの1件当たりの追徴税額を前年度と比べてみると、前年はランクインしていた土木工事、ダンプ運送、タイル工事、冷暖房設備工事などはいずれも1件当たり100万円台にとどまりました。一方、今年度に新たにランクインした業種をみると、太陽光発電825万円、建築士624万円、小売業・犬456万円、不動産代理仲介614万円など前年より高額化が目立ちます。コロナ禍で実地調査の件数を減らさざるを得ないなかで、1件当たりの〝取れ高〟を重視した当局の姿勢が表れたものといえそうです。
<情報提供:エヌピー通信社>