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税務トピックス 2022年5月31日

賃上げ税制、活用意欲の企業1割未満

2022年度税制改正に盛り込まれ4月1日から施行されている「賃上げ促進税制」について、活用する意向のある中小企業が1割未満にとどまるという調査結果を、会計ソフト開発のフリーウェイジャパンが公表しました。政府は法人税に対する優遇措置の拡充により賃上げを促すものの、赤字の企業はそもそも納める必要がなく、利益の少ない事業者にとってはメリットが小さいのが実情です。実際に制度を利用するのは多額の利益を計上している少数の企業に限られると見られます。

 調査は中小企業の従業員や経営者599人を対象に実施。賃上げ税制を「活用する」と答えた企業は8.4%と10社に1社を割り、「わからない」(49.9%)、「活用しない」(41.7%)が多数を占めました。制度を利用しない理由としては、そもそも法人税を納める必要がない赤字経営の中小企業は賃上げをしても恩恵を受けられないことなどから、「効果が期待できない」との指摘が目立ったそうです。また、一度賃金を上げると引き下げにくくなるため、賃上げ後の業績悪化も懸念事項として指摘されました。

 賃上げ税制の内容そのものについての周知が進んでいない実態も浮かびました。賃上げ税制について「詳細まで知っている」と答えた企業は7.22%と1割未満にとどまりました。一方で「制度自体は知っているが詳細は知らない」が50.7%、「知らない」は42.1%に上り、内容を把握していない企業がほとんどを占めました。

 賃上げ税制では、雇用者の給与増に応じて法人税から最大40%を控除します。中小企業では、雇用者全体の給与を前年度比で2.5%以上増やすと増加額の30%が控除となり、教育訓練費を前年度比10%上昇させると控除率が10%上乗せされます。中小企業庁は従来の最大値である25%と比較して「かつてない高い控除率」と強調します。なお、大企業の控除率は最大20%から最大30%に引き上げられています。

<情報提供:エヌピー通信社>

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