沖縄が米国占領下から日本本土に復帰をしてから、5月15日で50年となりました。占領時は米国の税率が適用されていたため、税率が大きく異なる酒税に関しては、1972年の復帰から今も、沖縄県内では消費者や製造者への影響を抑えるといった観点で、税率が軽減されています。しかし、その措置もあと10年で廃止が決まっています。県内では特産の泡盛離れが進んでおり、製造業者は岐路に立たされています。
沖縄県内で製造、出荷する酒類は、泡盛などのアルコール30度の蒸留酒は35%、オリオンビールなどの県産ビールは20%といったように、それぞれ沖縄県外より酒税が軽減されています。この軽減措置の廃止が、2022年度の与党税制改正大綱に盛り込まれ、泡盛は段階的に引き下げて32年に、ビールは26年で廃止されることが決まりました。
税率軽減は本土復帰当初、5年の時限措置でしたが、製造業の少ない沖縄において主要な産業である酒類製造業の振興と保護、県民の負担軽減として、税率を変えて繰り返し延長してきた背景があります。
軽減措置の対象となる事業者数は、21年3月時点で約50社で、ほとんどが泡盛の製造業者。復帰後から19年までの軽減額は累計で約1370億円となります。
泡盛はインディカ米と黒麹を原料とした蒸留酒で、歴史は琉球王朝時代に始まります。しかし、県内では泡盛の消費量は減少傾向にあるのが現状です。
沖縄県酒造組合によると、出荷量は04年の2万7688キロリットルをピークに減少を続けていて、21年はピーク時から半減の約1万2600キロリットルと過去最低を記録しました。県外への出荷量はそのうち2割程度で、県や酒造組合は、販路拡大のため海外への輸出に向けたプロジェクトにも取り組んでいます。
新型コロナウイルスの影響も響き、20年は泡盛製造業45社のうち30社が赤字でした。軽減措置の廃止で事業者は今後さらなる苦境に追い込まれる可能性が高く、生き残りをかけた模索が続きます。
<情報提供:エヌピー通信社>