国税庁は2022年分の相続税路線価を公表しました。全国平均は前年分を0.5%上回り、コロナ禍でマイナスに落ち込んだ前年から上昇に転じました。コロナ禍の影響から回復しつつある状況です。ただインバウンド需要が戻りきっていない観光地やテレワーク増加でかげりの見えるオフィスエリアなどでは下落が続く地点も多く、今後の動向は見通せません。
都道府県別では、地方を中心に27県で下落した一方、前年より13都府県多い20都道府県で上昇しました。最も伸び率が高かったのは北海道のプラス4.0%で、福岡3.6%、宮城2.9%と続きます。東京や大阪、愛知など前年はマイナスだった都市圏も多くが上昇に転じました。
また都道府県庁所在地の最高路線価をみても、前年より7都市多い15都市で上昇しています。最も上昇幅が大きかったのは駅周辺の再開発が進む千葉市のプラス5.1%。以下、札幌市4.8%や広島市3.5%が続きました。
路線価の全国1位は、37年連続で東京都・銀座5丁目の文具店「鳩居堂」前にある銀座中央通り。ただし価格は1平方メートルあたり4224万円で、9年ぶりに下落した昨年からさらに1.1%下落しました。
相続税路線価は、毎年1月1日時点での一定の範囲内の道路(路線)に面した土地を評価するもので、国税庁が1年に1度公表しています。国土交通省が毎年3月に発表する「公示地価」の8割程度の価額が目安とされ、今年1月1日から12月31日までの間に相続や贈与で受け取った土地に、今回発表された路線価を基にした税額が適用されます。相続税路線価の上昇は、そのまま相続財産としての価値の増加につながるため、全国的な上昇傾向は土地所有者の税負担増を意味しているとも言えるでしょう。路線価には、各市町村が原則3年ごとに発表して固定資産税の算定基準とする「固定資産税路線価」もありますが、一般的に「路線価」と言えば、相続税路線価を指すことがほとんどです。
<情報提供:エヌピー通信社>