新型コロナウイルスの流行を受けて上限や助成率が引き上げられている「雇用調整助成金」について、厚生労働省は10月以降、助成金の上限額を引き下げることとしました。
雇用調整助成金は、景気の変動や産業構造の変化などの経済的な理由によって事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的に雇用調整を実施して従業員の雇用を維持した時に受け取れる助成金のこと。「休業」、「教育訓練」、「出向」の3つのタイプがあり、新型コロナウイルスの流行を受けて、「休業」タイプの利用が増加しています。
コロナ禍で、同助成金の助成内容は大幅に拡充されています。改定前の助成額の上限は中小企業であれば従業員1人1日当たり9千円で、助成率は10分の9。さらに「業況特例」として、最近3カ月の売上高が前年・前々年・3年前との同期比で30%以上減少していれば、助成額の上限は1日1万5千円、助成率は10分の10まで引き上げられることとなっていました。
しかし厚労省が開いた審議会で、コロナ禍からの経済の回復が進み雇用情勢も改善しているとして、これらの上限額を引き下げることを決定しています。業況特例では、1日当たり1万5千円となっている上限を、1万2千円に引き下げ。またそれ以外では1日9千円となっている上限を、8355円に引き下げました。一方、助成率は現行基準を維持しています。
上限の引き下げについて審議会では、委員から「第7波のなかではあるが、以前と比べ雇用への影響は抑えられている」など理解を示す声が上がった一方、「まだ影響が残る産業もあり、引き続き状況を注視し、必要に応じて対応していくべき」といった意見もありました。
引き下げ後の基準は10月・11月の2カ月間運用し、12月以降については改めて検討するそうです。
<情報提供:エヌピー通信社>