改正電子帳簿保存法の猶予期間が終わり、1月から電子取引のデータ保存が義務化されています。紙で授受した領収書などはそのまま紙で保存しても問題ありませんが、メールやクラウドサービスなどを介した電子取引の場合は、データで保管しなければなりません。ただ、制度開始まで1カ月もない時点でも対応済みの企業は3割弱にとどまり、確定申告時の混乱や業務負担の増加が懸念されています。
メールやEDI(電子受発注)システムなどの「電子取引」は2022年1月から請求書などのデータをデータのまま保存することが必要になりました。業務ソフトの新規導入や改修など企業が準備するための猶予期間として23年末までは出力した紙での保存も認められていましたが、24年1月から完全義務化されています。
訂正や削除などの履歴を残したり、日付や取引先、取引金額を検索したりする機能を備え、仕訳帳や総勘定元帳など各帳簿間に相互関連性を持たせる要件などがあります。要件を満たす電子帳簿は「優良」と判断され、納税額を過少申告した場合に課される「過少申告加算税」が5%軽減される優遇措置が設けられています。軽減措置を受けるには24年の申告期限までに税務署に届け出る必要があります。データの改ざんや隠蔽、適切に保存されていなかった場合は10%の重加算税や100万円以下の過料が科されます。
ただ、企業の対応は思うように進んでいません。帝国データバンクの12月8日~12日の調査では、有効回答数1023社のうち対応が完了したのは28.5%にとどまりました。大企業は約4割が対応済みですが、中小企業以下は3割に満たない結果となっています。対応への懸念や課題があると回答した967社のうち96.8%が「業務負担の増加(他業務への影響含む)」を挙げました。
23年10月には消費税のインボイス制度が始まり、ただでさえ企業の業務負担は増えています。帝国データバンクは「人手不足に対応できるなどのメリットはあるが、定着までに一定の時間を要する。中小企業を中心にシステムなどの導入コストや運用面でのサポートといった負担軽減につながる施策が求められる」と指摘しています。
<情報提供:エヌピー通信社>