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コラム 2019月12月10日

《コラム》働く高齢者の年金増額か?

◆在職老齢年金の見直し案
最近のニュースで働く高齢者の年金を減額する在職老齢年金制度の見直しが行われていることが発表されていました。現在、在職老齢年金は65歳以上の場合年金と賃金を合わせた金額が月収47万円を超えると年金が減額されます。これを62万円程度に引き上げ、年金減額、停止の対象者を減らす方向です。
60歳から64歳の人は月28万円を超えると減額されることになっています。これも基準を62万円に引き上げるか、60代前半の受給開始がなくなる男性2025年、女性2030年に自動的に終了するまで現行のままでいくという案もあります。

◆70歳まで働くことを前提に
年金財政の危機を言いながらなぜ年金増額を言うのでしょうか?
それは働くと年金が減る仕組みが高齢者の就労を抑える可能性があること。厚労省の調査では「年金が減らないように就業時間を調整する」方が65歳から69歳でも4割近くいたことです。政府は70歳までの就労機会の確保を企業の努力義務とする方針を立てており長寿社会に備えようと考えています。保険料を納める人を増やしたい、年金受給開始を75歳まで先送りできるようにしたい、基礎年金の支払期間を40年から45年にしたいという考えがあります。高齢で働く人が増えれば年金や医療の保険料を納める社会保障の担い手も増えることになります。

◆世代間バランスも課題
一方で制度の廃止や縮小には反対意見もあります。年金財源の厳しさが増す中で給付を増やすことへの疑問や、企業が高齢雇用者の給与を決める際その人の年金受給額を勘案して賃金を決める慣行が一般的であり裁判でも年金をもらいながらの働きは現役時より減額されることに一定の合理性があるという考え方をしています。年金を上げると会社は給与を下げるかもしれません。
65歳以上で厚生年金の支給が停止されている人は現在36万人、受給者の1.4%です。このような高齢者は収入面では恵まれた方といえるでしょう。在職老齢年金の財源もさることながら、現役世代の将来の給付水準が下がってしまう懸念もあります。
どこまで就労促進が実現するのか今後の動向が気になります。

 

コラム 2019月12月3日

個人保証の「二重取り」禁止へ

 中小企業の事業承継の際に金融機関が旧経営者と後継者の両方に個人保証を求める〝二重取り〟を原則禁止とする指針を、日本商工会議所と全国銀行協会が事務局を務める研究会が年内に策定します。個人保証の二重取りは後継者が事業引き継ぎを躊躇する要因になっていて、原則禁止とすることで事業承継の円滑化を進めることを狙いとしています。

日商と全銀協の研究会は、個人保証を伴わない融資を金融機関に促す「経営者保証に関するガイドライン」を2013年に策定しています。ガイドラインでは、法人と経営者の資産関係が明確に区分・分離されていること、返済能力に問題のない財政基盤があること、財務状況を適時適切に開示する経営の透明性を確保することの3要件を満たした企業には、金融機関が経営者保証を外すことを求めていました。法的拘束力はありませんが、金融機関に自主的な順守を求めているものです。

今回新たに策定する指針は、ガイドラインを補完する特則と位置付けられるもの。全銀協などの金融関係組織と日商などの事業者組織、弁護士が年内をめどに指針を策定し、来年度からの施行を目指します。二重取りを原則禁止としたうえで、例外的に必要な場合の具体例を制限的に列挙する見通しとなっています。

金融機関が中小企業に融資する際には、融資額の回収可能性を少しでも高めるために、経営者に個人保証を求めることが少なくありません。会社の資産で返済不可能となった場合は経営者が個人資産で返済します。個人保証によって私財が危険に晒されるおそれがあることから、後継候補者が引き継ぎに難色を示すこともあり、改善が求められていました。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2019月12月3日

《コラム》パワハラ防止法への対応はできていますか? ~事業主にパワハラ防止措置を義務付け~

◆パワハラ防止法とは?
いわゆるパワハラ防止法、「労働施策総合推進法」が2019年5月29日に成立し、大企業には2020年春にも施行される見込み(中小企業は2022年)となりました。
「雇用管理上の措置」として、事業主にパワハラ防止措置が義務づけられます。罰則はありませんが、企業名が公表されるリスクがあり、対応が求められます。

◆「パワハラ」の定義
パワハラとは「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」と、はじめて法的に定義されました(労働施策総合推進法第30条の2)。
なお、優越的な関係とは、上司部下の関係だけでなく、例えば、業務経験が長い部下の新しい上司に対する悪質な言動なども、パワハラに該当する可能性があります。

◆事業主や労働者に求められること
パワハラに対する事業主と労働者の責務が明確化され、事業主には「研修の実施その他の必要な配慮」、労働者には「パワハラへの理解を深め、他の労働者への言動に注意する努力義務」が課されることになりました(同法第30条の3)。
つまり、事業主はパワハラに関する研修を実施し、雇用する労働者にパワハラ防止教育を行うことが必要となります。その他、相談窓口の設置や周知、就業規則の変更なども必要になります。

◆準備はお早目に
今回、パワハラ事案も都道府県労働局による調停の対象に加わりました。
労働者の申告を恐れて、業務上必要な指導ができなくなれば、企業活動に影響を与えます。指導をパワハラと誤解されないためにも、日頃から指導記録を残すなどの対策が望まれます。
パワハラ防止法への対応について、早めに準備に着手されることをお勧めします。

その他 2019月11月26日

【時事解説】倒産耐久力は貸借対照表の対角線で判断する その2

そこで出てくるのが流動性を生み出した原因を明確にする自己資本比率(自己資本÷総資産)です。流動性を支える現金の発生原因が債権者に返済不要の自己資本であれば、その流動性には永続性があると判断できます。自己資本は会社外部からの資金流入である払込資本と、会社が事業を行うことにより生み出した利益の蓄積である内部留保からなります。内部留保の比率が高いほど、会社自身が生み出す現金創造力が高いということになり、安定性は高まります。

つまり、倒産耐久力を判断するのは、貸借対照表の左上を中心に表示される現金及び現金類似資産と、右下に表示される純資産の内部留保になります。倒産耐久力という点では貸借対照表の左上から右下に流れる対角線が重要になるのです。資産のほとんどが現金及び現金類似資産で、その発生原因が内部留保という会社は倒産耐久力という点では申し分のない会社ということになります。

そういう会社はつぶれにくい会社であることは間違いありませんが、だからといって、それが即、いい会社というわけではありません。というのは、会社が生んだ利益を現金で持っているということは、成長を生む資産に利益を再投資できていないことになるからです。成長性という点では明らかにマイナスです。

また、そういう会社は現金が豊富ですから、投資をしようとするとき銀行借入に頼らなくてもいいということも銀行にとっては悩みの種です。貸したい先ほど借りたくないというジレンマに陥ります。こうした融通の利かない融資姿勢が銀行批判を招く一因となっているのですが、最近の状況を見ていると、銀行がそこから脱却することはそれほど簡単なことではなさそうです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

 

その他 2019月11月26日

【時事解説】倒産耐久力は貸借対照表の対角線で判断する その1

銀行員は決算書を受け取ったときに、まずどこに着目するのでしょうか。銀行の融資担当者が最も恐れるのは融資先の貸倒であり、そのため、決算書を受け取ったときに、真っ先に着目するのは倒産しない会社かどうかを見極めることになります。いわば、「倒産に対する耐久力」にすぐ目が行きます。ですから、分析の中心は損益計算書より貸借対照表となり、さらにその中でも流動性と自己資本比率の二つに注目することになります。

倒産とは、一般的に、契約した債務の支払いを期日通りに行えない状況(債務不履行)を言います。債務の支払いは原則的に現金で行いますから、現金及び現金に近い資産(主として流動資産にあります)が、短期に支払期日が来る債務(主として流動負債にあります)と比べてどのくらいあるかが重要になります。現金や市場性のある有価証券などの流動資産が、流動負債に比べて豊富にあれば(こうした状況を「流動性が高い」といいます)、債務不履行になる確率は低いと判断できます。

ただ、流動性だけで倒産耐久力を判断することはできません。というのは、現金及び現金類似資産を生み出した原因が重要になるからです。たとえば、長期借入金や社債などの有利子負債により生み出した現金で流動性を高く保っていれば、その流動性は危険です。有利子負債には償還期日がありますし、場合によっては期日以前に債権者に返済しなければならない場合もでてくるからです。有利子負債の返済を迫られたら、流動性は一気に落ち込み、資金繰りに詰まります。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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