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税務トピックス 2018月02月6日

《コラム》消費税 新規設立は少し慎重に

 法人の新規設立にあたっては、特別な事情がない限り、なるべく長く期間をとる方向で事業年度、いわゆる決算期を決めます。その方が、設立から早めに決算期が到来する煩わしさから解放され、落ち着いて経営に専念できるといったメリットがあります。

●思わぬ落とし穴
 消費税では、新規設立の場合(資本金又は出資金1,000万円以上の法人は除く)には、基準期間がないので設立時の事業年度と翌事業年度は、原則、免税事業者となります。
 なお、基準期間とは、その事業年度の前々事業年度で、免税事業者とは、消費税の納税義務のない事業者を言います。
 しかしながら、消費税の課税事業者を判定するのは基準期間だけでなく、特定期間の課税売上高等で判定する場合もあります。
 特定期間とは、原則、その事業年度の前年事業年度(設立一期)で、前事業年度開始から6か月の期間を言い、そして、その期間の課税売上高が1,000万円を超え、かつ、給与等の支払いが1,000万円を超えていれば、その事業年度は課税事業者となり、消費税の納税義務を負うことになります。
 設立一期目から好業績が予想される法人の場合、この特定期間があることで、本来、翌期は免税事業者であると予期されていたにもかかわらず、課税事業者となってしまう可能性があります。

●特定期間の回避策
 そこで、それを回避するにはどうしたらよいか、ですが、特定期間の要件を外すこと、すなわち、設立一期の事業年度を「短期事業年度」になるように設定することです。
 短期事業年度とは、(1)設立一期の事業年度が7か月以下の場合、又は(2)設立一期の事業年度が7か月を超え8か月未満の場合であって、設立一期開始の日以後6か月の期間の末日の翌日からその事業年度終了の日までの期間が2か月未満の場合で、これらの期間は、特定期間から除外されています。
 なお、設立一期の後半で、特定期間の存在に気づいたときは、上記(2)の要件を満たすように決算期を変更することで翌期に課税事業者となることを回避できる場合もあります。

税務トピックス 2018月01月30日

《コラム》重複適用の可否 投資促進税制と圧縮記帳

平成29年度税制改正で中小企業投資促進税制の一部が見直しされました。その概要は次のとおりです。
 対象資産から器具備品が除かれ、また、上乗せ措置としてあった特定生産性向上設備等については、新たに創設された中小企業経営強化税制に移行されました。

◆中小企業投資促進税制の税額控除
 特定中小企業者等が特定の機械装置等(以下、設備)をした場合には、その資産の取得価額の7%に相当する金額について税額控除の適用があり、当該控除額が法人税額の20%を超えるときは、法人税額の20%相当を限度として、法人税額から控除することができます。
 なお、特定中小企業者等とは、中小企業者等のうち、資本金の額又は出資金の額が3,000万円を超える法人(農業協同組合等を除く)以外の法人をいいます。

◆国庫補助金等に係る圧縮記帳
 事業者は、国又は地方公共団体等からの補助金等の交付を受けて固定資産を取得した場合、法人税法上、当該補助金等で取得した固定資産については圧縮記帳の特例が適用できます。この特例の概要は、次のとおりです。
 その取得した固定資産の帳簿価額を補助金相当額(圧縮限度額)の範囲内で損金経理により直接減額し、当該金額をその事業年度の損金の額に算入するものです(積立方式も可)。

◆重複適用の可否
 特定中小企業者等も自治体からの補助金を受けて投資促進税制の対象となる特定の設備を取得することがあります。この場合、「税額控除」と「圧縮記帳」どちらか一方しか適用できず重複適用ができないのでは、と思ってしまいます。
 しかし、法人税上の圧縮記帳と租税特別措置法上の税額控除との重複適用については、それを禁止する規定がありませんので、重複適用は可能です(特別償却も可)。
 その適用に当たっては、損金算入された国庫補助金等の交付金額(予定額も含む)を控除した金額を取得価額として税額控除限度を計算することになります。
 なお、国庫補助金等交付予定額を控除しない金額を取得価額として税額控除限度額を計算して申告したときは、固定資産の取得の後に国庫補助金等を受けても圧縮記帳はできません。

税務トピックス 2018月01月23日

小規模宅地特例に照準

貸付用不動産にかかる相続税を最大5割減らせる「小規模宅地の特例」の適用条件が厳しくなりそうです。会計検査院は特例が本来の趣旨に沿わないかたちで利用されていることを指摘し、国に制度の見直しを求めました。

 会計検査院が公表した資料には、小規模宅地の特例を利用して税負担を大幅に減らした相続人の事例が紹介されています。Aさんは不動産貸付業に使われていた約200平方メートルの土地の半分を相続。特例を利用して課税価格を半額の2579万9800円に減らし、その土地にかかる相続税額を大幅に圧縮。そしてAさんは、申告期限の1カ月半後に土地を6450万円で売却しました。

 Aさんの一連の行為は現行制度の枠内で行われているものですが、会計検査院は「問題あり」という判断を下しています。Aさんの利用法は制度の本来の趣旨にそぐわないと見ているためです。

 小規模宅地の特例の趣旨は、居住用または事業用の建物がある土地に重い税金をかけられてしまうと、納税資金を確保するためにその不動産の売却を迫られ、生活や事業のための場所から離れることを余儀なくされるおそれがあるため、税負担を軽減するというものです。検査院が特に問題視したのは、不動産貸付業に使われていた土地を相続して特例を利用した人が、その事業を短期で辞めてしまっている点です。宅地を手放さずに済むようにする目的の特例が、相続後すぐに売却した人に適用されていることを検査院は問題と見ているわけです。

 検査院の指摘は国の施策に多大な影響を与えます。これまでどおりの制度内容だと趣旨にそぐわないケースでも使われていると国に判断され、来年以降の税制改正で新たな適用条件が付け加えられる可能性は十分あります。
<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2018月01月23日

《コラム》年金受給開始70歳超えも選択肢に

◆年金受給開始を70歳超まで選択可能に? 
 内閣府の「高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会」は、公的年金の受給開始年齢を70歳以降まで繰り下げることを可能にする仕組みつくりを盛り込んだ案をまとめました。これをもとに年内に長期的な高齢者施策の「高齢社会対策大綱」の改正案を閣議にはかる予定です。
 現在は年金の受給開始年齢は原則65歳です。現行法では60歳から70歳の間で開始年齢について「繰り上げ」もしくは「繰り下げ」ができます。開始年齢を早めれば65歳から開始するのに比べて最大30%減額、遅くすれば1年ごとに0.7%ずつ増え、最大42%増える仕組みになっています。今回の提案では希望すれば70歳を過ぎてからの受給開始が可能になり、その分年金額が増える制度を導入しようと考えています。

◆年内に「高齢社会対策大綱」策定
 骨子案として「すべての高齢者の意欲・能力を活かして活躍できるエイジレス社会を目指す」とし「年齢区分で人々のライフステージを画一的にくくることを見直すことが必要」としています。「意欲ある高齢者が働き続けられ、また就業ができる仕組みを構築できることが基本」であり、併せて「高齢者の低所得を防止」する視点も望まれるとしています。60歳の定年後に再雇用される仕組みだけではなく、新たな職域としてそれまでの経験や知識を生かした仕事や社会活動、地域社会のコミュニティ作り、資産活用等も盛り込まれています。

◆高齢者の定義が変わる?
 日本老年学会などは昨年の1月に現行法で65歳と定められている「高齢者」の定義を「75歳」以上に引き上げ65歳から74歳は、准高齢者として区分すべきと提言しました。同学会は10年前に比べると現在の65歳以上の人の知的・身体能力は5歳から10歳若返っていると判断したということです。准高齢者年齢とされた人々は近い将来働くことが通常な年齢となるかもしれません。少子高齢化で人口が減る中、政府は多くの高齢者に働き続けてもらいたいとのことでしょう。そうすれば年金の財源の安定にもつながるということかもしれません。

税務トピックス 2018月01月16日

《コラム》やむを得ない役員給与の改定・変更 臨時改定事由・業績悪化改定

◆やむを得ない役員給与の改定・変更
 法人税法上、損金算入ができる「定期同額給与」「事前確定届出給与」は、職務執行前(定時株主総会)に「あらかじめ支給時期・支給額が定められているもの」に基づき支払われることを前提としています。
 ただ、給与を「先決め」した後に経営環境が変化することは、よくあること。そこで、次の「臨時改定事由」「業績悪化改定事由」による改定・変更が認められています。

◆「臨時改定事由」とは
 「臨時改定事由」とは、次の①や②に類する役員給与を変更せざるを得ないやむを得ない事情をいいます。
①役員の職制上の地位の変更
②役員の職務の重大な変更
 ①は役員の分掌変更があったケースです(例えば、社長が任期途中で退任したことにより副社長に就任した場合)。この「役員の職制上の地位」とは定款や総会決議等により付与されたものをいい、「自称専務」などは該当しません。
 ②は組織再編成があったケースなどが該当します(例えば、合併法人の取締役で、その職務内容に大幅な変更がある場合)。
 会社の不祥事に当たり役員給与を一定期間減額するケースも、社会通念上相当であれば、定期同額給与の減額改定・増額改定とも臨時改定事由に当たるとされています。

◆「業績悪化改定事由」とは
 「業績悪化改定事由」とは、その事業年度において会社の経営状況が著しく悪化したことその他これに類する事由をいいます(減額改定のみ)。財務諸表の数値が相当程度悪化したことや倒産の危機に瀕したことのほか、次のような場合が該当します。
(業績悪化改定事由の例)
①株主との関係上、業績悪化等について経営上の責任を問われ減額した場合
②取引銀行との借入金返済のリスケジュール協議で要請され減額した場合
③経営悪化の状況下で取引先等からの信用確保のため、経営改善計画が策定され、役員給与減額が盛り込まれた場合
 これらは、会社の経営上、役員給与を減額せざるを得ない「客観的な事情」(例 主要取引先の倒産やリコール発生により業績悪化が不可避)があるかどうかにより判定します。裁決では経常利益6%減の会社が行った減額改定が否認された例があります。

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