お知らせ/トピックスTOPICS

税務トピックス 2022月09月6日

(後編)2020事務年度における消費税還付申告法人の実地調査結果を公表!

(前編からのつづき)

 不正計算があった件数は同▲57.9%の5千件、その追徴税額も同▲11.6%の178億円でしたが、不正1件あたりでは同110.1%増の331万円となりました。
 消費税不正還付の主な手口は、国内で架空仕入れを計上するとともに、免税となる国外への売上を架空計上し、売上に係る消費税から仕入れに係る消費税を控除するとマイナスになることを利用して還付を受けるもので、国税庁では、法人から税務署に提出された消費税還付申告書について、申告内容に応じて、還付事由の確認のため還付金の支払手続きを保留した上で厳正な審査を行い、行政指導や実地調査を行う方針です。

 調査事例では、輸出物品売上制度を悪用し、国内事業者に対する課税売上を免税売上に仮装したケースが挙がっております。
 ドラッグストアを複数店舗経営するA社は、消費税の還付金を不正に受領するため、自社とは全く無関係の外国人旅行者等のパスポートの写しを利用し、店頭で外国人旅行者に販売したように装って、免税売上に仮装していました。
 A社に対しては、3年分の消費税の不正還付について、重加算税を含む追徴税額4,500万円が課されました。

(注意)
 上記の記載内容は、令和4年8月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

税務トピックス 2022月08月30日

迫る火災保険の大幅値上げ

 住宅にかける火災保険の実質的な〝値上げ〟が今年10月に迫っています。地域や築年数によっては保険料算出の基礎となる参考純率の引き上げ幅が最大4割近くに達するところもあるそうです。さらに契約期間の上限見直しも行われ、これまでは最長10年の契約を結べたところが、5年が最長となります。現在加入している保険をいったん解約し、値上げ前のおトクな契約を結び直すなら今がチャンスです。

 値上げの背景にあるのは、近年相次ぐ自然災害による保険金支払額の増加があります。毎年のように発生する風水害によって多大な支払いを余儀なくされている保険会社は、値上げや契約期間の短縮によって風水害のリスク増大に対応していこうという考えです。

 留意したいのは、引き上げ幅は構造や地域によってかなりバラツキがあり、なかには引き上げどころか今回の改定によって〝値下げ〟になっているエリアもある点。例えば築5年未満のマンション構造の住宅を見てみると、宮崎県では参考純率が30.5%も引き上げられる一方、山形県ではマイナス4.7%と、実質的な値下げとなっています。

 自分のマイホームや収益物件があるエリアの保険料を確認した上で、現行の契約を維持するか、10月までに10年間の契約に加入し直すか、保険料が値下げとなる地域では10月以降に改定後の内容で加入し直すか、最善の選択をしたいところです。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2022月08月30日

《コラム》子の口座への入金は誰からの贈与?

 かわいい子には、たくさんお金をあげたいものですが、子供の将来の生活を思って、早めに資金移動を考えることがあります。相続の際、子を遺産分割争いに巻き込みたくない気持ちも働くかもしれません。

◆名義預金の帰属
 子の名義で預金口座を別に作って、少しずつ貯金しておくことも一つの方法です。
 未成年の子に、新たに預金口座を開設して母親に現金を渡し、その口座に子の将来のための資金を振り込むよう指示していた場合、被相続人からの贈与は贈与財産か相続財産かが問題になることがあります。
 このような場合は、贈与書面を作成しておき、預金通帳、印鑑を被相続人から託されていれば、贈与財産として認められるものと思われます。
 なお、子が成人したときは、通帳と印鑑は子に引き渡すことが肝要です。成人の後は、贈与していた預金を子の管理のもとにおくことが本来の姿といえます。

◆贈与契約書を作成する。
 民法では、贈与書面がなくても贈与の意思表示と受諾があれば贈与契約は成立していますが、税務の場面では、預金の原資を誰が負担しているか、管理・運用はどのように行われているか、利息は誰に帰属しているか、被相続人と管理者、名義人との関係などから実質的に贈与契約が成立していたかなどが総合的に判断されます。そして贈与契約の存在を説明するため、贈与契約書面を作成し、申告書の添付が必要です。

◆相続財産となる場合
 反対に、贈与書面がなく、預金通帳、印鑑は被相続人が保管したままで、基礎控除を超える額について贈与税の申告も行っていないとしたら、預金に預け入れた資金は相続財産とされます。相続税が課されるばかりか、遺産分割協議によっては、財産の帰属先も不確定なものとなるかもしれません。

◆定期の贈与に注意!
 その年の1月1日から12月31日までの間の1年間に贈与を受けた財産の合計額から基礎控除110万円を控除した残額に贈与税が課税されます。110万円以下であれば、申告手続きは不要となります。
 なお、毎年、定額を贈与する場合、複数年の贈与にまたがる贈与契約書を作成すると、全体が一つの贈与契約として課税される可能性がありますので、贈与契約書は毎年、作成するようにしましょう。

コラム 2022月08月23日

《コラム》交際費と社内飲食費

◆交際費制度はそのまま延長
 令和4年度税制改正で、交際費の損金不算入制度および接待飲食費に係る特例については令和2年度の改正内容を踏襲し、そのまま2年間延長することとなりました。

①支出する交際費等の額のうち接待飲食費(1人当たり5,000円を超える分)の額の50%相当額は損金算入
②資本金又は出資金の額が1億円以下の中小企業は支出する交際費の額のうち年800万円までは損金算入
※中小企業はどちらかを選択適用
 「①について、資本金の額等が100億円を超える法人を除外」も据え置きです。

◆飲食費は社内・社外で対応が異なる
 資本金1億円超の企業であっても、社外への接待飲食費については1人当たり5,000円以下の飲食であれば税務上交際費に含めず、全額を損金にできます。また、自社の役員・従業員・親族に対する接待等のために支出するものは、5,000円以下であっても交際費に該当します。ただし、社内の「(参加の可否はともかく)社員全員を対象とした忘年会等」の飲食費については、社会通念上妥当な金額であれば、福利厚生費として扱います。
 「社内飲食費」なのかが微妙な判定も、国税庁のQ&Aで例示されています。親会社の役員や、グループ内の他社の役員等に対する飲食費、同業者同士の懇親会等で支出する自己負担分の飲食費については、「社内飲食費」には該当しません。こういった場合は1人当たり5,000円以下であれば税務上交際費には該当せず、全額損金算入が可能です。

◆では、出向者の飲食費はどうなる?
 出向者の場合は、その出向者が出向先法人の立場で飲食等の場に出席したか、出向元法人の立場で出席したかにより、判断することになります。
 例えば、親会社からの出向者が出向先の子会社の役員等を接待する会合に、子会社の役員等の立場で出席しているような場合に支払う飲食代は、「社内飲食費」には該当しません。他方、出向者が親会社の懇親会の席に、あくまで親会社の社員等の立場で出席しているような場合に支払う飲食代は、社内飲食費に該当することとなります。

税務トピックス 2022月08月23日

相続税路線価が2年ぶりに上昇

 国税庁は2022年分の相続税路線価を公表しました。全国平均は前年分を0.5%上回り、コロナ禍でマイナスに落ち込んだ前年から上昇に転じました。コロナ禍の影響から回復しつつある状況です。ただインバウンド需要が戻りきっていない観光地やテレワーク増加でかげりの見えるオフィスエリアなどでは下落が続く地点も多く、今後の動向は見通せません。

 都道府県別では、地方を中心に27県で下落した一方、前年より13都府県多い20都道府県で上昇しました。最も伸び率が高かったのは北海道のプラス4.0%で、福岡3.6%、宮城2.9%と続きます。東京や大阪、愛知など前年はマイナスだった都市圏も多くが上昇に転じました。
 また都道府県庁所在地の最高路線価をみても、前年より7都市多い15都市で上昇しています。最も上昇幅が大きかったのは駅周辺の再開発が進む千葉市のプラス5.1%。以下、札幌市4.8%や広島市3.5%が続きました。
 路線価の全国1位は、37年連続で東京都・銀座5丁目の文具店「鳩居堂」前にある銀座中央通り。ただし価格は1平方メートルあたり4224万円で、9年ぶりに下落した昨年からさらに1.1%下落しました。

 相続税路線価は、毎年1月1日時点での一定の範囲内の道路(路線)に面した土地を評価するもので、国税庁が1年に1度公表しています。国土交通省が毎年3月に発表する「公示地価」の8割程度の価額が目安とされ、今年1月1日から12月31日までの間に相続や贈与で受け取った土地に、今回発表された路線価を基にした税額が適用されます。相続税路線価の上昇は、そのまま相続財産としての価値の増加につながるため、全国的な上昇傾向は土地所有者の税負担増を意味しているとも言えるでしょう。路線価には、各市町村が原則3年ごとに発表して固定資産税の算定基準とする「固定資産税路線価」もありますが、一般的に「路線価」と言えば、相続税路線価を指すことがほとんどです。

<情報提供:エヌピー通信社>

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