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税務トピックス 2023月07月25日
確定申告をする人がコロナ禍で密を避けようとした結果、電子申告が急激に普及拡大していることが明らかになりました。コロナ前の2019年からの推移をみると自宅から電子申告をした人は5倍超に増え、スマホ申告は申告環境が整ったこともあって4年で200倍以上に増加しています。
国税庁が公表した2022年分の所得税・贈与税等の確定申告の状況によれば、確定申告をしたのは2295万人で前年から0.4%微増しました。特筆すべきは、e-Taxを利用する人の増加。国税庁によれば、国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーや会計ソフトなどで自宅から申告をした人は592万人で、前年から約1.3倍、コロナ禍前の18年からは約5倍に増加しています。かつては税務署などの会場まで行って職員のサポートを受けながら申告をする人が多かったのですが、昨年に両者の割合は逆転し、1年でその差は約2倍にまで拡大しました。
さらにパソコンではなくスマートフォンから申告をする人の増加も著しい状況となっています。22年分にスマホ申告をしたのは249万人で、前年比1.6倍、4年前に比べると200倍以上に増えています。スマホ申告を巡る納税環境は年々向上していて、それに併せてコロナ禍で自宅から申告したいと考える人が増えたことが背景にあるとみられます。
スマホ申告の普及の一因となっているのが、マイナンバー制度。最大2万円分のポイントを還元するキャンペーンもあり、マイナンバーカードの普及率は急増しました。そのマイナンバーカードを使って確定申告をした人は387万人に上り、前年から1.8倍増。マイナンバーカードとスマホを組み合わせて申告した人は179万人で、こちらは前年比2倍、4年前に比べると約30倍に激増しました。また各種控除証明書をマイナポータル経由で取得した人も増え、こちらは132万人と前年比4倍に伸びています。
<情報提供:エヌピー通信社>
コラム 2023月07月18日
◆原則規定
消費税においては、その課税期間の基準期間における課税売上高が1000万円以下の事業者については、納税義務を免除することとされています。
新規設立法人については、設立1期目および2期目の基準期間はありませんので、原則として納税義務が免除されます。なお、設立3期目以後の課税期間における納税義務の有無の判定については、原則どおり、基準期間における課税売上高が1000万円を超えるか否かで行うこととなります。
◆特例1 特定期間に係る納税義務
但し、その課税期間の基準期間における課税売上高が1000万円以下であっても、その課税期間の前課税期間開始の日以後6ヶ月の期間(特定期間)における課税売上高が1000万円を超える場合、その課税期間の納税義務は免除されず、課税事業者となります。(なお、特定期間における1000万円超か否かの判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます)。これは、特定期間に係る納税義務の免除の特例と言われています。
◆特例2 新設法人の納税義務
さらに但しですが、新設法人(社会福祉法人等を除きます。)のうち、その事業年度開始の日における資本金の額または出資金の額が1000万円以上である場合は、その設立1期目及び設立2期目の納税義務は免除されず、課税事業者となります。これは、新設法人の納税義務の免除の特例と言われています。
◆特例3 特定新規設立法人の納税義務
さらにさらに但しですが、資本金1000万円未満の新規設立法人(社会福祉法人を除きます)のうち、その事業年度開始の日において、その法人の株式・出資の5割超を直接又は間接に保有する法人及び完全支配関係法人グループの中に、その新規設立法人のその事業年度の基準期間に相当する期間の課税売上高が5億円を超える法人がある場合は、その設立1期目及び設立2期目の納税義務は免除されず、課税事業者となります。これは、特定新規設立法人の納税義務の免除の特例と言われています。
これらの納税義務免除の特例に該当する場合には、これらに「該当する旨の届出書」を所轄税務署長に提出することとされています。
コラム 2023月07月18日
◆インボイスが始まるけれど
2023年10月から、インボイス制度(適格請求書保存方式)がスタートします。インボイス番号の確認や取得状況についての問い合わせが来ている、との話をよく耳にするようになりました。
平成28年度 与党税制改正大綱 (参考資料②-2)では、国内823万の事業者のうち、513万者余(63%)が免税事業者で、うち435万が個人の免税事業者、77万が法人の免税事業者とされていました。すなわち、インボイス制度導入により、日本国内の63%もの事業者が影響を受けるのです。
ただし、免税事業者と言えど、消費税を請求する権利が消費税法上ありますし、また、仕入消費税分を転嫁しないで自己負担とする義務などありません。インボイス制度が消費税請求の権利、転嫁の権利を踏みにじるのだとすると、それは由々しきことです。
◆8割特例を用意して損の緩和と受容奨励
免税事業者のままでは、インボイスを発行できないので、免税事業者と取引する課税事業者は、消費税の仕入税額控除が適用されなくなり、損をすることになる、と言われています。
その損を緩和せんとするのが、8割特例です。インボイスのない免税事業者との取引額の消費税10%消費税について、8割にする、というものです。
消費税込みで110万円の取引とすると、仕入税額控除は10万円の8割80,000円となり、控除除外された20,000円は経費として損金算入され、法人税等の負担税率が30%だったとすると、6,000円の法人税額等の減少効果を生み、合わせて86,000円の税負担軽減となるので、免税事業者との取引で損をする額は、10万円-86,000=14,000円です。消費税率10%の中の14%部分です。税抜取引額の1.4%です。
◆2割特例では免税事業者が損を被る
免税事業者がインボイス発行事業者となった場合には、2割特例が用意されていて、負担する消費税額は、消費税額10万円の場合、その2割の2万円です。法人税負担まで考慮すると上記と同じく1.4%です。
免税事業者が2割特例を適用すると、その取引相手は仕入税額控除100%可能です。
どちらかに1.4%の税負担を負わせようとするインボイス制度ですが、そんなに大きな金額の負担ではないので、当面は、いずれの選択になろうと、取引への変化などはなさそうに思われます。
税務トピックス 2023月07月11日
固定資産税などを約20年間も過大に徴収されたとして、土地所有者が約1億円の返還を大阪市に求めた裁判で、大阪地裁は5月下旬、原告らの訴えを退ける判決を下しました。多くの自治体では過大徴収が発覚したときの返還時効を5年と定めていますが、固定資産税の過大徴収は長期間にわたることが珍しくないことから、5年超の賠償を求めて争う納税者は少なくありません。過去には国家賠償法の時効である20年を超えて賠償を命じた判決もあり、司法判断も一様ではないようです。
訴状によれば、今回の裁判で争われた大阪市のケースでは、ひとつの土地に異なる容積率が混在する場合、土地の評価額を最大で34%減額補正できるとする特例が設けられていました。しかし原告らの土地では少なくとも20年にわたり特例が適用されず、過大に固定資産税や都市計画税を徴収されていました。所有者らが2018年以降に大阪市に申し出たところ、市は地方税法が定める還付の時効に従って5年分を返還しましたが、土地所有者らが「市が調査を怠っていたことが原因である」として、国家賠償法の時効である20年分の返還を求めたものです。
大阪地裁は判決で、「市の規定は、容積率が混在する土地について価格の差が著しい場合にのみ適用されるもので、本件はこの場合に該当することが明らかとは言えない」とした上で、「大阪市に明確な注意義務違反があったとは言えない」と述べ、原告らの訴えを棄却しました。
過大に納めた税金の還付に関する時効規定では、原則的に「5年」と定められています。ただし多くの自治体では「過徴収金返還要綱」などと呼ばれるルールを定め、5年を超える過徴収についても返還する方針を採用しています。要綱に規定する時効は自治体にもよりますが、7年、10年、20年などまちまちで、近年多発している固定資産税の過徴収事例では、この要綱に従って返還期間を決めるケースが少なくありません。
<情報提供:エヌピー通信社>
コラム 2023月07月11日
被相続人が死亡するまでの間に受けるべきであった年金で支給されていなかったもの(未支給年金といいます)には相続税が課されません。相続税法の非課税財産と規定されているわけでもないのに、課税されないのは何故でしょうか。
国税庁のサイトには、遺族の未支給年金請求権に相続税を課さない理由を次のように解説しています。
①最高裁が未支給年金の相続性を否定
国民年金や厚生年金等の公的年金では、年金受給者が死亡した場合、被相続人と生計を一にしていた3親等内の親族の中から、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、それ以外の者の順に未支給年金の受取人を定めています。
未支給年金の請求について、最高裁は、その相続性を否定し、民法の相続とは別に遺族の生活保障を目的とした立場から遺族に未支給年金の支給の請求を認め、その請求権は相続の対象とはならないと判示したため、国税庁も本来の相続財産として相続税の課税対象とならないと解しています。
②定期金を受給する権利に該当しない
個人年金や退職年金の受給権については、継続受取人に対し、みなし相続財産として相続税が課されます。年金で受給するか一時金で受給するかは、年金受取人の選択で決めることができ、課税上は年金も一時金も同様に、みなし相続財産となります。
これに対し、国民年金や厚生年金等の未支給年金は、法律で受給権者と受給する順位が定められ、一方的に付与されるものであり、最初から一時金のみを支給するため、みなし相続財産に該当しません。
なお、未支給年金の受取人には一時所得として所得税が課されます。
◆遺族への年金には相続税を課さない
国民年金、厚生年金等の公的年金で支給される遺族年金には、相続税も所得税も課さず、未支給年金にも相続税を課さないことが、それぞれの法律で規定されています。
相続税では、通達で遺族年金は課税しない旨が示され、未支給年金は質疑応答事例により、課税しない旨が示されています。
個人年金や退職年金は、公的年金に上乗せして老後の生活を補てんするので遺産分割の対象となり、相続税が課されるのに対し、遺族年金や未支給年金は、遺族の生活保障のために支給されるので遺産分割の対象とならず、相続税を課さないと考えると理解しやすいかもしれません。
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