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税務トピックス 2020月12月22日

親子会社間の配当で無駄な還付金

会計検査院の調査で、本来は課税の対象ではない完全子会社などから親会社への配当金を源泉徴収し、税金から利子を加算して還付したケースが2017~19年度にのべ888社で見つかりました。加算金は約3億6500万円超に膨らんでいて、税金を確実に取るはずのシステムが巨額の無駄につながっていることが明らかになっています。事態を重く見た検査院は、財務省に改善を要求しました。

 

国は10年以降の税制改正で、完全子会社や関連会社からの配当は原則全額を課税の対象外にしましたが、源泉徴収は実務上すべての配当金を対象としてきました。必要以上に徴収していれば後に還付し、利子を付けることもあります。会社の規模が大きければ、還付金や加算金の額も膨らむ仕組みになっています。

 

検査院は、完全子会社から配当金を受け取っていた親会社などのべ1667社のうち、実際に還付金が支払われた1262社を調べました。その結果、還付金額は計8898億円に上っていて、利子として支払われた加算金は888社に対して計3億6563万円もありました。このうち423社は、源泉徴収した全額が課税対象外の配当金でした。

 

ソフトバンクグループ(SBG)は18年、傘下の中間持ち株会社が保有していたSB株を約16億株売り、利益として19年に約2兆円を配当金から受領。この際、約4千億円の所得税を源泉徴収で支払いましたが、最終的に同額を還付されました。SBG側への還付加算金は1億3千万円だったそうです。

 

検査院は「そもそも課税対象外の配当金から源泉徴収しなければ、還付金や加算金は発生していない」とみて、財務省に「源泉徴収制度の効率性や有効性を高める検討」を求めています。

 

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2020月12月15日

《コラム》役員変更登記

◆役員と任期

会社法上、役員とは取締役、監査役、会計参与となります。取締役及び会計参与の任期は、原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとなりますが、非公開会社は定款で定めることにより、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとすることができます。
一方、監査役の任期は原則として選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとなります。定款によって選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとすることができるのは取締役及び会計参与と同様です。
また、任期を定款に定めることによって選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までと伸ばせる非公開会社とは、定款において全ての株式に譲渡の制限が付されている株式会社のことをいいます。なお、有限会社は、譲渡の制限の定めがあるとみなされています。

 

◆役員の任期の実情

公開会社であるメリットはあまりないため、上場会社であるような大きな会社を除き、新たに設立する会社のほとんどが非公開会社です。そうなると役員の任期は、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までと定款で定めている会社が多いはずです。
平成18年5月1日に会社法が施行され、非公開会社の役員の任期が、10年まで伸ばせるようになりましたが、平成18年の会社法の施行後に役員の任期を伸長した会社は、任期を伸長した定款変更から10年を経過していれば、役員の任期は満了しており、役員の変更登記をしなければなりません。平成28年で会社法の施行から10年が経過しました。よって、役員の任期も満了している会社は多いのではないでしょうか。

 

◆確認してみて下さい

株主総会を開催し役員の改選を行い、役員変更登記まで完了している会社は問題ありませんが、もし気になれば、この機会に定款や任期を伸長した議事録を見返してみてはいかがでしょうか。

税務トピックス 2020月12月15日

金密輸が厳罰化とコロナで6割減

金密輸による脱税額が、前年から6割減少しました。近年、金密輸を利用した脱税は著しい増加傾向にありましたが、今年に入ってのコロナ禍による旅客の急減に加えて、昨年から罰金が引き上げられるなど厳罰化したことが背景にあるとみられています。

 

財務省が11月上旬に発表したデータによれば、昨年7月から今年6月までの1年間に発覚した金密輸による消費税の脱税は199件。脱税額は3億6071万円で、前年同期比で62%減少しました。

 

金の価格は世界共通ですが、日本国内で売買をしようとすると消費税がかけられます。1億円の金塊を国内の貴金属店が買い取ろうとすると、売り主に対して消費税10 %を上乗せした1億1千万円を支払わなければなりません。これを踏まえ、国外から日本に金を持ち込む場合には、税関であらかじめ消費税10%分を納めることが義務付けられています。

 

しかし密輸すれば税関を通らないため、消費税分を納める必要がありません。そうして持ち込んだ金を国内で売却すれば、たとえ外国で正当な価格を払って金を入手していたとしても、消費税分がまるまる儲けになります。昨年10月に消費税が10%に引き上げられたことで、金密輸の〝旨味〟が増したため密輸による脱税の増加が懸念されていました。

 

そこで2018年4月からは、それまで金密輸に対する罰金が1千万円以下だったところを、密輸によって脱税された額が100万円を超える時には脱税額の10倍を罰金に引き上げられました。1億円の金を密輸して1千万円の儲けを得るケースであれば、従来なら最大でも1千万円の罰金で済んでいましたが、見直し後は1億円を科されることとなっています。こうした厳罰化により金密輸の〝旨味〟を減らし、脱税額の激減につながったものとみられます。

 

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2020月12月8日

《コラム》扶養の「壁」を超えた時、目指す収入額と使える制度

◆「扶養内で働く」とは

共働きの世帯では、夫・妻ともに正社員のフルタイマーで働いているケースもあれば、片方が会社員としてフルタイムの勤務をし、片方がパートやアルバイト等の短時間労働をしながら家事や育児、介護等を担っているケースもあります。
ところで、会社員やアルバイト・パートの勤務経験がある方ならば、夫や妻の扶養控除を受けてパート等で働く際に「扶養内で働く」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。
これは、「扶養控除が受けられる範囲の中で働く」という意味で、収入が一定額を超えると税金や社会保険料の負担が発生し家計全体の手取り額が減ることがあるため、その一定額以下の収入となるよう勤務時間や収入を調整して働くことを指しています。

 

◆税金の「壁」、社会保険の「壁」

扶養控除には、「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2つがあります。
税金や保険料が発生する一定収入のラインを年収の「壁」と呼ぶことがあります。
年収が103万円を超えると、税制上の扶養から外れて、超えた額に対する所得税を自分で納める義務が発生します。
また、従業員が501人以上の会社で働く人は年収106万円、500人以下の会社では年収130万円以上になると、社会保険上の扶養から外れて、健康保険料や年金保険料を負担する必要が出てきます。
ただし、社会保険の加入には条件があり、年収で被扶養者から外れても、労働時間が短い等の理由で自分の職場の厚生年金と健康保険に加入できない場合は、国民年金と国民健康保険に加入することになります。

 

◆「壁」を超えても損しない収入のラインは

では、配偶者控除の「壁」を超えて勤務をするとしたら、具体的にはどのくらいの収入ならば税金や社会保険料を支払ってでも勤務をしたほうが、家計全体の収入が増加するのでしょうか。
結果的には130万円の収入を超えて、自分で社会保険料や年金保険料を払い、所得税や住民税の負担もあると考えると、目安として180万円以上働かないと、家計の手取りは減ってしまいそうです。
ただ、保険料の負担は大きくとも、会社の社会保険と厚生年金に加入できれば将来受け取る年金が増え、病気で休職した際に健康保険の傷病手当金の給付、会社を辞めても雇用保険の失業給付が受け取れるなど大きなメリットもあります。

税務トピックス 2020月12月8日

住宅ローン減税の特例が延長へ

財務省と国土交通省は、住宅ローン減税の特例措置の適用対象となる入居期限を2年延長する方針を決めました。もともと消費増税対策として講じたものですが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う支援でも「住宅販売の維持に必要不可欠な施策」(国交省幹部)と位置づけ、当面維持することにしたものです。両省の意向を受けて12月にまとめる税制改正大綱に盛り込まれる予定です。

 

住宅ローン減税は、10年間にわたってローンの年末残高の1%を所得税から控除する制度で、国税庁によると18年の住宅ローン控除の適用者は24万8千人に上りました。
政府は住宅ローンについて、19年に消費税率を10%に引き上げた際に特例措置を導入し、20年12月までに入居すれば控除期間を13年間に拡大することにしました。一方で新型コロナを受けた措置でも、今年9月末までの契約などを条件に、21年末までの入居者に対して同じ措置を認めています。

 

両省はこうした対応について、21年9月末までに契約し、22年末までに入居した場合でも13年間の控除を適用する考えです。また住宅の床面積が50平方メートル以上という要件についても緩和し、夫婦だけで住むような小さな物件でも対象に含めることを検討します。

 

消費増税時の特例を延長するのは異例。しかし新型コロナの感染拡大により住宅販売はしばらく低迷する見通しで、契約から入居までは一定の時間がかかることもあり、国交省や住宅業界で税制優遇の延長を求める声が高まっていました。さらに自民党の税制調査会も延長の賛成に回ったことで、当初は消極的だった財務省も折れざるを得なくなった状況です。

 

<情報提供:エヌピー通信社>

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