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税務トピックス 2020月11月17日

(後編)新型コロナ感染症対策にかかる緊急税制改正要望を公表!

(前編からのつづき)

さらに、医療機関では新型コロナ感染症対策として、人工心肺装置等の設備投資やマスクや防護具、消毒薬等の支出が増加しているものの、これらは事前に計画された投資ではなく、新型コロナ感染症対策として喫緊の必要性に迫られて購入したものであり、資金的裏付けのないまま購入していることから、このような設備投資については即時償却又は税額控除、償却資産税の全額減免、消費税相当額の補助等の税制上の優遇措置を要望しております。

その他、新型コロナ感染症の影響により、税金等を一時に納付できない場合、税務署等への申請によって原則1年以内の期間に限り、税金や社会保険料の納付の猶予が認められますが、この納付猶予期間を1年以上とすることや欠損金の繰戻還付制度の適用対象法人の制限を撤廃し、全ての法人が制度の利用を可能とするとともに、遡って還付請求ができる期間を5年程度に大幅に拡大することなども要望しております。
今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
上記の記載内容は、令和2年10月5日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

コラム 2020月11月10日

《コラム》上場会社の監査だけではない!大会社の監査と会計監査人

◆代表取締役を誰が監督するのでしょうか
「監査」には、金融商品取引法に基づく有価証券に対する監査(上場会社)とは別に、会社法に基づく会計監査人の監査(大会社)があります。ご存じでない方も多いので、少し説明したいと思います。
大会社とは資本金が5億円以上又は負債総額が200億円以上の会社です。代表取締役は株主から会社経営についての大きな権限を委託されており、大会社ともなると会社の規模が大きいため、代表取締役の行動は特に大きな影響を与えます。
株主の代理として代表取締役や執行権限を持つ取締役を監督する役割は、取締役会や監査役会が担っております。
更に会計業務については会計監査人を置かなければなりません。また、近年ではこれらに加えて社外取締役や社外監査役の制度も制定されました。

◆監査役の監査業務とは
監査役の監査は、代表取締役や取締役がその職務を全うしているか等の業務全般を見る業務監査と、会計業務について適法に処理されているか、間違いや不正がないかを調査する会計監査に分けられます。
しかし、大会社の会計業務は海外取引や関連会社との取引等量も質も複雑で膨大になるため、会計の専門家に依頼しないと監査役では手に負えません。そこで会計監査人による監査が必要になります。

◆会計監査人による監査
会計監査人は公認会計士かその集まりである監査法人が選任されます。当然1人で行うのではなく、規模にもよりますが、数人から数十人の規模になる場合もあります。
会計監査人には計算書類とその附属明細書の調査を行い、取締役に報告を求め、帳簿を閲覧する等の権限が与えられています。
最終的には会計監査人は監査役に会計監査報告書を提出し、計算書類と附属明細書の適法性について意見を表明します。

◆会計監査人は賠償責任を負うことも
後で事実と異なる意見を表明したとなった場合には、会計監査人が会社や第三者に対して、賠償責任を負うこともあります。
そのため、会計監査人は、会社から報酬を貰ってはいますが会社に不利な意見を表明する場合もあります。

コラム 2020月11月10日

《コラム》判子レス社会は来るのか? 電子決裁はどこまで可能

◆生活の中の印鑑文化
私たち日本人の生活に、「印鑑」文化は深く根付いています。
日常生活では、銀行の登録印や申込書への押印、履歴書、役所への届出では婚姻届から転入・転出届、出生届等、ビジネス文書においては、見積書や、納品書、契約書、請求書、議事録、回覧板まで、とにかく多岐にわたる書類に押印が求められ、それが当たり前のこととして定着してきました。

◆コロナ禍で電子決裁の有用性見直し
しかし、今年はコロナ禍で在宅勤務を取り入れる企業が増えたことで、「押印のために出社する」という問題が発生し、今までその必要性が議論されることが少なかった日本の印鑑主義について考え直すきっかけとなりました。
政府関係では、4月の緊急事態宣言の最中、当時の河野防衛大臣が記者団に対し、防衛省内の決裁を全て電子化する旨の発言をしていますし、これを機に電子決裁の有用性について見直す企業も増えています。

◆法律上の電子署名
決裁の電子化が進み、業務効率化に繋がるのなら喜ばしいことですが、一方でこれまで、「押印」によって本人の意思に基づいた文書であることの法的証明がなされていたことも事実です。電子決裁に変わることで法的効力に影響はあるのでしょうか。
実は、ビジネスにおいて身近な見積書や請求書、領収書、納品書などのほとんどの文書にはそもそも印鑑は不要です。便宜上本人確認の押印をするなら、簡易なデジタル印鑑や認印と同じ位置づけの「電子サイン」を使用する方法で充分でしょう。
e-Tax(国税の電子申告)や不動産取引など、より高い法的証明力が求められる文書は、第三者機関の認証局から発行された「電子証明書」が組み込まれることにより、利用者の「本人性」が確認できるようになっている「電子署名」が利用されます。
平成13年4月施行の「電子署名法」で、電子署名が手書きの署名や押印と同等に通用する法的基盤が整備されています。

◆法律上押印が必要な文書もある
ほとんどの文書に、印鑑と同じ効力がある電子サインや電子署名を使用できるものの、宅地建物取引業法上の不動産会社作成の書面や、銀行印、役所や法務局に届出する実印、不動産の登記申請(実印)など法的に印鑑が必要なケースもあります。

コラム 2020月11月3日

《コラム》健康診断と健康情報の取り扱い

◆健康診断は使用者の務め
使用者は従業員の健康を確保するため、労働安全衛生法で常時使用労働者の1年以内ごとに1回の健康診断受診義務が定められています。
従業員の健康情報を知り、安全配慮義務を行い健康管理、情報管理することは使用者の務めです。企業と労働者は労働契約を結んでいるので労働できる健康を有しているかを把握しておかなくてはならず、労務提供に関連した健康状態を取得しなくてはなりません。受診の結果の取り扱いは使用者に帰属するとされています。

◆適切な情報管理
使用者は健康診断の履行を通じて労働者の心身の状態に関する情報を取得・利用・保管することとなります。使用者には労働者の健康確保が求められるものの、当該情報は「要配慮個人情報」にあたります。労働者の個人情報を保護する観点から、現行制度においては使用者が心身の状態の情報を取り扱えるのは労働安全衛生法令及びその他の法令に基づく場合や本人が同意している場合の他、労働者の生命、身体の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき等です。秘密保持は重要ですがプライバシー問題とは別であり、使用者は個人情報を得るので情報管理をすることが求められ、情報は慎重な取り扱いが求められます。記録は5年間の保存義務があります。
就業規則には健康診断の受診義務が載っていると思いますが、結果が本人にしか届かない場合は受診結果を会社に報告する旨を規定しておくのがよいでしょう。

◆健診と費用、賃金
健康診断は使用者の義務なので、健康診断に掛かる費用は使用者が負担しなければなりませんが、しかし、健康診断を受診している間の時間に賃金が発生するかは、健康診断の種類によって異なります。
まず、雇用時の健康診断や、定期健康診断は業務に関連して行われるものではないため、支払ってもよいけれど、支払い義務はありません。特定業務に従事する者は業務に関連して行うものであるため、賃金を支払う必要があります。

税務トピックス 2020月11月3日

年末調整の電子化対応スタート

年末調整の電子化に対応した国税庁のソフトが10月に公開されました。従業員が作成する保険料控除申告書などを作成するソフトでは、質問に答えることで作成すべき控除申告書が分かる「控除ナビ」の機能のほか、控除額の自動計算や扶養親族の生年月日入力で特定扶養親族の有無を自動判定する機能もあります。ソフトは、①Windows版、②Mac版、③Android版、④iOS版があり、①と②は国税庁ホームページか公式アプリストアで、③と④は公式アプリストアから無料でダウンロードできます。

このほか、マイナポータルと連携することで控除証明書などの必要書類データを一括取得して各種申告書を自動入力できる仕組みも始まりました。マイナポータルは政府が運営する個人サイトで、マイナンバーの取得が前提のサービスです。2万円の買い物で5千円分のポイントがつくマイナポイント制度と同様、マイナンバーカードの普及に向けた施策の一環で、低迷する取得率を上げるための必死さが伝わってきます。

さらに10月28日からは、AIによる税務相談が始まります。「チャットボット」と呼ばれるもので、これは「チャット(会話)」と「ロボット」を併せた造語です。質問内容を入力すると、チャットボットの「税務職員ふたば」が年末調整の相談に応じます。24時間いつでも質問可能です。来年1月中旬からは所得税の確定申告の相談も開始する予定ということです。

なお年調ソフトやマイナポータル連携、チャットボットの詳細については、国税庁のホームページの「令和2年分からの年末調整の簡便化について」で解説されています。

<情報提供:エヌピー通信社>

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