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コラム 2025月09月2日

《コラム》中小企業白書を読み解く 金利・物価の影響

◆政策金利引上げとその実感
 2024年度、日本銀行はマイナス金利を解除し、政策金利を段階的に引き上げました。これにより、中小企業の借入金利水準は直近で前回の利上げ水準に並び、多くの企業が金利の上昇を実感しています。借入金利水準判断の数値も上昇し、大企業・中小企業共に利払い負担が増しています。特に、宿泊業・飲食業など借入れ依存度の高い業種では影響が大きく、支払利息の増加は経常利益の圧迫要因となっています。

◆円安と物価上昇の継続
 2024年度も歴史的な円安基調が続き、輸入物価は高止まりしています。特に従業員規模の小さい企業では、輸入比率が輸出比率を大きく上回っており、円安による仕入れコストの増大が経営を直撃しています。また、消費者物価指数や企業物価指数の上昇により、原材料やエネルギーコストも上昇しています。今後の購買計画や価格戦略においても、為替リスクを加味した柔軟な対応が求められます。

◆利上げが収益を押し上げる可能性も
 中小企業庁は、政策金利が段階的に1.0%まで上昇するシナリオで経常利益の推計を実施。その結果、インフレ下で価格転嫁が可能な状況では、限界利益の増加が人件費や利払いのコスト上昇を上回り、収益向上につながるケースもあると示されています。特に、製品やサービスの価格改定を積極的に行える業種では、金利上昇局面を成長機会に転換できる可能性があります。価格交渉力を高めるためにも、差別化された付加価値提供が重要です。

◆経営者に求められる対応
 今後の経営戦略として、単なるコストカットではなく、価格改定・生産性向上・新規投資の3点を同時に進めることが鍵となります。業種・地域別に物価上昇や円安の影響度を見極めた上で、サプライチェーンの見直しや調達先の多様化、金融機関との金利交渉も不可欠です。また、補助金や税制措置を活用して資金負担の平準化を図ることも検討すべきでしょう。社内では原価管理体制を強化し、経理部門と連携して収支見通しを柔軟にアップデートすることが重要です。

税務トピックス 2025月08月29日

(後編)国税庁:デジタルの利活用により課税・徴収事務を効率化へ!

(前編からのつづき)

なお、BIツールとは、大量のデータを分析・可視化し、迅速な意思決定を補助するツ―ルをいいます。
BAツールとは、蓄積された大量データから統計分析・機械学習等の高度な分析手法を用いて、法則性を発見し、将来の予測を行うツールをいいます。
BIツール・BAツール・プログラミング言語を用いて、滞納者の過去の接触事績、申告書データ等を基に、滞納者ごとに接触できる可能性の高い方法(電話催告、臨場催告、文書催告)を予測し、効率的な滞納整理を実施しております。

集中電話催告センター室では、滞納者の情報や過去の架電履歴等を分析し、曜日・時間帯ごとの応答予測モデルを構築した上で、応答予測の観点を追加したAIコールリストに基づき、架電する等によって、応答率の向上を図っております。
そして、「事業者の業務のデジタル化の促進」では、経済取引のデジタル化につながることによって、事業者が日頃行う事務処理の一貫したデジタル処理を可能とし、生産性の向上等を図っております。
今後の動向に注目です。

(注意)
上記の記載内容は、令和7年7月7日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

税務トピックス 2025月08月29日

(前編)国税庁:デジタルの利活用により課税・徴収事務を効率化へ!

 国税庁では、近年、税務行政においてデジタルの利活用に力を入れております。
 具体的には、税務行政のデジタル・トランスフォーメーション(以下、DX)として、「納税者の利便性の向上」、「課税・徴収事務の効率化・高度化等」、「事業者のデジタル化促進」の3つが挙がっております。

 「納税者の利便性の向上」では、日常使い慣れたデジタルツール(スマートフォン、タブレット、パソコンなど)から、簡単・便利に手続きを行うことができる環境構築を目指すなど、納税者目線を大切にし、各種施策を講じるとしております。
 「課税・徴収事務の効率化・高度化等」では、AI・データ分析の活用が注目され、AIも活用しながら幅広いデータを分析することにより、申告漏れの可能性が高い納税者等を判定し、調査を効率化させております。

 税務署等が収集した様々なデータを、BIツール・BAツール・プログラミング言語を用いて、統計分析・機械学習等の手法で分析し、申告漏れの可能性が高い納税者等を判定します。
 その分析結果を活用して、効率的な調査・行政指導を実施し、調査必要度の高い納税者には深度ある調査を行う取組みを進めております。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和7年7月7日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

税務トピックス 2025月08月18日

(後編)親子間の使用貸借の税務上の注意点

(前編からのつづき)

 親の借地権を子どもが無償で使用する場合、その使用権の価額はゼロとして扱われるため、子どもに贈与税はかかりません。
 しかし、もし借地権の貸し借りが使用貸借ではないと税務署に判断された場合、実態に応じて借地権や転借権の贈与とみなされ、贈与税が課税される可能性があります。

 親の借地に子どもが家を建てた際に贈与税を課されないためには、「借地権の使用貸借に関する確認書」を税務署に提出する必要があります。
 この確認書は、借地権を使用する子ども、借地人である親、そして地主の三者が連名で、借地権を無償で又借りしていることを確認するものです。

 なお、この使用貸借されている借地権は、将来、親から子どもが相続する際に相続税の課税対象となり、その借地権の評価額は、他人に賃貸している借地権ではなく、自分で使用している借地権の評価額となります。
 また、上記の使用貸借されている土地の相続税の計算の価額も、他人に賃貸している土地ではなく、自分が使用している土地として評価されます。
 つまり、貸宅地としての評価額ではなく、更地としての評価額となりますので、該当される方はあわせてご注意ください。

(注意)
 上記の記載内容は、令和7年6月16日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

税務トピックス 2025月08月18日

(前編)親子間の使用貸借の税務上の注意点

 土地の貸し借りでは、通常、借り手が地主に対し地代を支払います。
 地域によっては地代に加え、権利金などの一時金を借地権設定の対価として支払います。
 しかし、親の土地に子どもが家を建てる場合、通常、地代や権利金を支払わないことがほとんどです。
 このように、地代も権利金も支払わずに土地を借りることを「土地の使用貸借」といいます。

 親の土地を無償で借りて子どもが家を建てた場合、子どもが親から借地権相当額の贈与を受けたことになるのでは?という疑問が生じるかもしれません。
 しかし、使用貸借においては、土地を使用する権利の価額はゼロとして扱われるため、子どもに借地権相当額の贈与税が課税されることはありません。
 ただし、この使用貸借されている土地は、将来、親から子どもが相続する際に相続税の課税対象となりますので、該当されます方はご注意ください。
 また、親が借りている土地(借地)に子どもが家を建てる際にも、通常は地代や権利金を支払いません。
 このように、親の借地権を子どもが無償で使用することを「借地権の使用貸借」といいます。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和7年6月16日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

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