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税務トピックス 2026月06月30日

相続土地国庫帰属制度5252件申請

 法務省が公表した2025年度の「相続土地国庫帰属制度の運用状況」によると、23年4月27日の制度開始から今年3月末までの累計申請件数は5252件で、このうち国に帰属されたのは2605件でした。23年度の申請件数は運用開始から約11カ月間で1905件、2年目の24年度は年間1675件、3年目となる25年度は同1672件。申請件数はほぼ横ばいで、制度の利用は思いのほか進んでいないといえます。一方、国に帰属された件数は25年3月末時点までの累計で1486件だったことから、この1年間で1119件増えた計算となります。

 累計申請件数5252件を地目別の内訳でみると、「田・畑」が2042件で全体の39%を占めています。「宅地」は1828件で35%、「山林」は814件で15%、「その他」は568件で11%でした。国に帰属された件数2605件を種目別の内訳でみると、「宅地」が948件で全体の36%を占めています。「農用地」は849件で33%、「森林」は171件で7%、「その他」は637件で24%でした。
 申請が却下された件数は80件、不承認となった件数は81件、申請を取り下げた件数は980件でした。

 申請件数が思いのほか伸びていない理由としては、申請時の必要書類が多いこと、引き取り要件が多岐にわたることなどが挙げられます。申請の際には一筆当たり1万4千円の審査手数料が必要で、申請を取り下げた場合でも返還されず、再申請のたびに費用がかかります。国に帰属されたケースでも10年分の土地管理費相当額の負担金が必要になります。また、審査に時間がかかることも申請件数が伸びない要因だとされています。申請を受理する各地の法務局では審査に要する標準的な期間を「約8カ月」としています。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2026月06月23日

日税連税制審議会 寄附金税制で答申

 日本税理士会連合会(太田直樹会長)はこのほど、日税連会長の諮問機関である税制審議会が取りまとめた答申「寄附金税制のあり方について」を公表しました。昨年10月に2025年度の諮問事項として審議を付託したものです。

 答申では、これまでの寄附金税制について、「公共または公益のための寄附を奨励する効果があったのかと問われれば、ふるさと納税を除けば、現状では否定的な答えにならざるを得ない」としたうえで、「ふるさと納税に関しても、今後返礼品の割合が引き下げられるなどの措置が講じられれば、その利用が急激に減少する懸念もある」と指摘。寄附金についての一般的な課題としては①寄附に関する情報不足②手続の煩雑さ③寄附先の公益法人等の数が少ないこと――などを挙げています。答申では、これらの課題について①公益認定基準に厳格性が求められるのはある程度やむを得ないとしても認定基準の見直しやデジタル技術の積極的活用等によって手続の合理化をより一層進めること②寄附先の情報を集約した公的なポータルサイトの整備等によって寄附者が信頼性の高い情報に基づいて寄附先を選択できる環境を整えること――などを提言しています。

 また、寄附金税制の課題に対して、寄附をする側の利便性の観点から①所得税に関しては繰越控除制度を創設すること②長期にわたり継続的に行われる寄附を推奨する制度を検討すること③相続税に関しては申告期限後であっても一定期間内の寄附について更正の請求を認める制度を検討すること――を提言。

 ふるさと納税制度については、「過度な返礼品競争や過剰な仲介業者への依存を早急に改め、地域間の財政格差の拡大などの課題について丁寧に検証しつつ、寄附文化の醸成につながるような制度として改善していくべきである」と提言しました。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2026月06月23日

《コラム》名義預金の相続課税

◆見落としやすい名義預金
 遺産分割で見落としやすいのが名義預金です。親族名義で預金口座がつくられるので被相続人が生前、自分にプレゼントしてくれたものと思い込み、相続財産となる場合があることに気づかない。しかし、その場合でも相続財産として申告の要否を検討しなければなりません。
帰属者の判定要素
 税務署が相続財産に該当するかチェックするポイントは、次のものとなります。
①預金の原資は、誰が出捐したか
②預金口座は誰が開設し預入れしたか
③預入者の意思はどのようなものであったか
④通帳と印鑑を保管し、預金の預入れ、払出しをしたのは誰か
 被相続人が預金の原資を出捐し、親族名義の口座を開設し、通帳と印鑑を被相続人で保管し、預金の出し入れをしていれば、被相続人の名義財産とされる可能性が高まります。
 反対に、被相続人が親族に贈与の意思を示し、親族も受け取る意思を表示していたことが書面等で明確に確認できる場合は、贈与税の課税対象となります。
 国税庁の「誤りやすい事例 ⑥申告書第11 表の付表3関係」では、被相続人以外の名義財産(預貯金)について、名義にかかわらず、被相続人が取得資金を拠出していたことなどにより被相続人の財産と認められるものは相続税の課税対象となることが解説されています。

◆配偶者の名前で預金した場合
 夫婦が婚姻中、給与所得や事業所得等で得た財産は、夫婦の一方が単独で有する財産(特有財産)として夫婦それぞれに帰属します。夫が自身で稼得した財産を妻名義で預金した場合、帰属者の判定要素に照らして名義財産となる可能性があります。
 なお、贈与となることが明らかとなり、婚姻期間中に夫婦が拠出した資金を生活で消費するとき、贈与税は非課税となります。

◆子や孫に財産を残すための意思表示
 被相続人が生前に子、孫の名義で預金口座をつくるのは、相続税を減らす動機もあるでしょうが、自分の意思で財産を渡したい願いもあるのではないでしょうか。親族名義の預金口座が見つかったときは、被相続人の生前の意思を尊重して遺産分割すれば協議が円滑に進むかもしれません。

その他 2026月06月16日

【時事解説】逆効果となる含み益 その2

 「含み益」には「益」という言葉が入っているので、「損」に比べるとプラスのイメージがありますが、実態はそうでもありません。「益」という字が入っている用語には「営業利益」とか「当期利益」という言葉があり、含み益もそれらと同類ではないかという感覚を持つかもしれませんが、営業利益等と含み益には決定的な違いがあります。それはキャッシュフローを伴っているかどうかです。営業利益等は原則的にキャッシュフローを伴った利益ですが、含み益はキャッシュフローを伴っていません。ですから、営業利益等が毎年発生すればキャッシュが蓄積されていきますが、含み益は毎年あってもキャッシュは増加しません。「もし、今売れば利益として計上される」という仮定の下での利益に過ぎません。それどころか、利益が出ればそこに課税されキャッシュアウトが生じますから、同じ時価100万円の株式を売却するなら、含み益のある株式より含み益のない株式の方がキャッシュフロー的には有利になります。

 では、含み益が表示しているものは何なのでしょうか。含み損益は取得価格と現在価格(時価)の差額ですから、含み益が大きいということは取得価格より時価が大きく値上がりしているということ、つまり過去の投資行動の正しさを表現しているものといえます。「過去の自分の投資は間違っていなかった」という満足感に浸りたい人にとっては含み益は格好の精神安定剤になるでしょう。しかし、それは将来の利益を約束しているものではないことに注意しなければなりません。

 投資の目的は将来キャッシュフローの最大化です。将来キャッシュフローの最大化において過去の価格は無関係です(前述の税額のキャッシュフロー効果は除く)。大切なのは、現在の価格と将来の価格です。会計用語でいえば、過去の価格は今後の意思決定に影響を与えない埋没原価(サンクコスト)になります。なまじ含み益が大きいと、含み益を大切に思う余り、将来キャッシュフローを最大化する投資行動をとれなくなる恐れがあります。過去の成功体験にこだわりすぎることによる弊害といってもいいでしょう。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

その他 2026月06月16日

【時事解説】逆効果となる含み益 その1

 NISAとは株式、投資信託等にかかる譲渡益、配当金、分配金が非課税になる少額投資非課税制度です。2024年1月に開始された新NISAは半永久的に継続するような制度設計になっていますが、それ以前の旧NISAは時限立法として、期限が来ると非課税の恩典がなくなることになっていました。そして、最終期限において評価益があった場合には、評価益に課税されることなく、実際に取得した価格にその評価益を上乗せした価格を帳簿上の取得価格とし、その後は通常の税制が適用されることになっています。この措置により、旧NISA期間中に生じた評価益には課税されない仕組みになっているのです。

 私はこの旧NISAの下で購入した株式がありました。購入した時点では株価が安かったことから、ネット上にそれなりの含み益(評価益)が表示され、一人ほくそ笑んでいました。ところが、旧NISA終了に伴い、表示方法が変わりました。たとえば、50万円で購入した株式の時価が100万円に値上がりしていたとします。すると、その表示は次のように変わりました。

  以前(旧NISA適用)/現在(旧NISA終了)
取得価格: 50万円 / 100万円
時 価 : 100万円 / 100万円
評価益 : 50万円 / 0

 旧NISA時代にあった評価益50万円は新NISAでは取得価格に上乗せされ、新取得価格が100万円になり、評価益は0となりました。このように表示されると、昨日まであった50万円の評価益がなくなってしまい、何かとても損をしたような気分になったのです。それと同時に、この評価益を後生大事に守ろうとして投資行動が保守的になっていたことにも気がついたのです。所有している株式は同じであるにもかかわらず、どうしてそうした気持ちの相違が生じるのか。そこには含み益(本稿では評価益と同義です)という言葉の持つある種の錯覚があるような気がします。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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