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コラム 2025月11月11日

《コラム》相続取得株式の自己株化 みなし配当課税なし

◆非上場自己株取得の場合の課税原理
 会社の自己株式取得は、資産の取得ではなく、減資と同じ株主資本の部分清算と解するのが税務原則であり、取得自己株数に対応する出資元本を超える払戻し部分について清算配当とみなす扱いになります。その所得は、累進税率の総合課税の配当所得として課税されます。

◆税引き手取りがマイナスとなる過酷な場合
 ところで、非上場株式を相続したため、相続税の納税資金に困り、発行会社に株式買取りを要請することがあります。その場合、相続税と所得税の二重の課税で手取りの著しい減少となる場合があります。最大で、相続税55%、所得税と住民税55.945%(所得税45%+住民税10%+復興特別所得税)です。そういう状況に、全負担の緩和をもたらしてくれる特例があります。

◆過酷を緩和してくれる特例
 以下の条件を満たす場合、その株式譲渡対価の全額を非上場株式の譲渡所得の収入金額とし、その収入金額から取得費および譲渡に要した費用を控除して計算した譲渡所得金額は、申告分離課税で一律20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税)の課税になる、というものです。
 最大のケースで、35.63%(55.945%-20.315%)の税負担が軽くなります。
 なお、取得費を計算する際には、その財産に対応する相続税額を取得費に加算できる特則もあるので、その適用を受けることもできます。

◆対象者・対象物・手続き
①相続または遺贈により取得した財産の中に非上場株式があり、その相続または遺贈について納付すべき相続税額がある個人
②相続取得した非上場株式をその発行会社に相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡し、この特例に係る「届出書」を発行会社に提出する必要があります。
③発行会社は、譲り受けた日の属する年の翌年1月31日までに本店または主たる事務所の所轄税務署長に届出書を提出する必要があります。

◆高税率でない場合にはみなし配当のまま
 ただし、いつでも配当課税より譲渡課税が有利というわけではありません。所得が低い場合には、総合課税+配当控除の方が有利になることもあります。

その他 2025月11月4日

【時事解説】中小企業における価格交渉・価格転嫁 その1

 原材料費やエネルギー費、労務費等が上昇する中、多くの中小企業が価格交渉・価格転嫁できる環境整備が求められています。

 中小企業庁が2025年6月に公表した「価格交渉促進月間フォローアップ調査結果(2025年3月)」の内容に沿って、中小企業の価格交渉の状況をみると、「価格交渉が行われた」割合は前回調査(2024年9月)から約3ポイント増の89.2%となっており、価格交渉が行われていることがわかります。また、「発注側企業から申し入れがあり、価格交渉が行われた」割合は、前回調査から約3ポイント増の31.5%となっており、発注企業からの申し入れが浸透しつつあることがわかります。

 次に、価格転嫁率の推移を見ると、2025年3月のコスト全体の価格転嫁率は52.4%であり、前回調査(2024年9月)より約3ポイント上昇しています。

 コスト要素別の価格転嫁率をみると、2025年3月労務費の転嫁率は48.6%となっており、前回調査(2024年9月)から約4%ポイント上昇したものの、原材料費の転嫁率54.5%と比較して約6ポイント低い水準となっています。また、エネルギー費の転嫁率は47.8%となっており、前回調査から約3%ポイント上昇したものの、コスト全般の転嫁率より低い水準となっています。

 さらに2025年3月の価格転嫁率の状況について、受注側企業の取引段階別にみると、「1次請け」から下流に行くほど、価格転嫁率を「0割」と回答した割合が高まっており、価格転嫁が進みづらい傾向にあることがわかります。特に、4次請け以上の階層においては、「全額転嫁できた」企業の割合は15%程度にとどまっています。

 このように受注側企業の取引段階が深くなるにつれて、価格転嫁割合が低くなる傾向がみられるのです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

その他 2025月11月4日

【時事解説】中小企業における価格交渉・価格転嫁 その2

 原材料費やエネルギー費、労務費等が上昇する中、多くの中小企業が価格交渉・価格転嫁できる環境整備が求められています。

 中小企業庁が2025年6月に公表した「価格交渉促進月間フォローアップ調査結果(2025年3月)」の内容に沿って、中小企業の価格交渉の状況をみると、「価格交渉が行われた」割合は前回調査(2024年9月)から約3ポイント増の89.2%となっており、価格交渉が行われていることがわかります。また、「発注側企業から申し入れがあり、価格交渉が行われた」割合は、前回調査から約3ポイント増の31.5%となっており、発注企業からの申し入れが浸透しつつあることがわかります。

 次に、価格転嫁率の推移を見ると、2025年3月のコスト全体の価格転嫁率は52.4%であり、前回調査(2024年9月)より約3ポイント上昇しています。
 コスト要素別の価格転嫁率をみると、2025年3月労務費の転嫁率は48.6%となっており、前回調査(2024年9月)から約4%ポイント上昇したものの、原材料費の転嫁率54.5%と比較して約6ポイント低い水準となっています。また、エネルギー費の転嫁率は47.8%となっており、前回調査から約3%ポイント上昇したものの、コスト全般の転嫁率より低い水準となっています。

 さらに2025年3月の価格転嫁率の状況について、受注側企業の取引段階別にみると、「1次請け」から下流に行くほど、価格転嫁率を「0割」と回答した割合が高まっており、価格転嫁が進みづらい傾向にあることがわかります。特に、4次請け以上の階層においては、「全額転嫁できた」企業の割合は15%程度にとどまっています。
 このように受注側企業の取引段階が深くなるにつれて、価格転嫁割合が低くなる傾向がみられるのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

税務トピックス 2025月10月28日

BtoB業態の免税事業者、8割が課税転換

 インボイス制度の開始前に免税事業者だったBtoB業態の事業者が、課税転換してインボイス発行者登録をした割合は78.6%だったことが日本商工会議所の調べでわかりました。BtoC業態の事業者の課税転換割合は24.6%にとどまっています。免税のままだと取引を打ち切られるおそれがあると判断したBtoB事業者が多かったことがわかります。
 調査は商工会議所の会員事業者を対象として7月に実施。2710事業者から回答を得ました。事業形態別では個人事業主が52.4%、法人が46.5%、その他の団体等が1.1%。

 制度導入前に免税事業者だったBtoB事業者にインボイス後の課税方式を聞いた設問で「免税のまま」と回答したのは21.4%。「本則課税転換」が27.7%、「簡易課税転換」が50.9%、合わせて78.6%がインボイス登録をしていました。一方でBtoC事業者は「免税のまま」が73.1%で最も多く、「本則課税転換」が10.8%、「簡易課税転換」が13.8%。インボイス登録をした事業者の合計は24.6%でした。

 課税事業者への転換がきっかけで取引価格の値上げを実現した事業者が少なくないこともわかっています。免税事業者だったBtoB事業者のうち、課税転換を契機に「自ら価格交渉をした」のは10.3%、「取引先から価格交渉があった」のは12.9%。話し合いの結果、値上げを実現できたのは交渉した事業者の76.9%におよびます。結果の内訳は、「消費税相当程度の値上げ」が51.9%、「消費税相当に満たない値上げ」が17.3%、「消費税相当を超える値上げ」が7.7%でした。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2025月10月28日

《コラム》最低賃金全国平均時給1,121円

◆全国加重平均66円上げ過去最大
 中央最低賃金審議会で賃金引き上げ額が全国加重平均は24年度実績から66円引き上げ時給1,121円で決まりました。現在の1,055円から上昇率6.2%と金額、率とも過去最大規模のアップです。引き上げは23年連続で、目安以上の引き上げがされて全ての都道府県で1,000円を超えています。
 発効日は2025年10月ですが、今年は半分以上の府県は11月以降になります。

◆中小企業の経営には生産性の底上げが急務
 中小企業者に対し日本商工会議所が2025年1月~2月に行った調査では、最賃上げ対策としては「設備投資等人件費以外のコスト削減」(39.6%)「残業時間・シフトの削減」(31.3%)となっていました。引き上げに見合う経営体力が伴わなければ、高い賃金を提示されても重荷となり人材採用、雇用維持ができず地域経済がしぼむリスクもあります。
 労働政策研究・研修機構が実施した調査では最も低いパート賃金が「最低賃金の10%以上上回る」と答えた企業は26.7%しかありません。社会保険料がかかり始める「106万円の壁」に達する人も増えていくでしょう。
 最低賃金の近くで働くパートやアルバイトは多く、基準となる金額の引き上げで社会保険料がかかり始める人が増えてきます。社会保険料の支払いを回避して働き控えをする人も一定数います。最低賃金の引き上げが人手不足に拍車をかけることにもなりかねません。

◆準備期間は限られている
 例えば、最低賃金で1日8時間、21日働くパートの場合、1,055円×8H×21日=177,240円だった月給が1,121円×8H×21日=188,328円となり、差額は月11,088円、年間で約13万円超の増加です。
 ある飲食店の対応策例では、
・ピーク時間のみ勤務の「短時間勤務に」切り替え
・夕方以降の清掃を外注に切り替え
・接客業務のセルフ化、タブレットの活用
・売上げが少ないメニューの廃止 等
 時給制社員の最賃改定後の賃金シミュレーション、人件費総額の影響試算、不採算業務の作業の洗い出しなどで作業の見直し等をしてみましょう。

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