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税務トピックス 2025月10月14日

(後編)日税連:令和8年度税制改正に関する建議書を公表!

(前編からのつづき)

⑤(所得税)確定申告期限を延長すること
⑥(所得税)少子化対策について、税制面での検討を行うことが挙がっております。

 その他、主な建議・要望項目として、
①資本的支出に係る耐用年数の取り扱いを見直すこと
②賃上げ促進税制に係る控除限度額を拡充すること
③死亡の場合の準確定申告書の提出期限を、相続税の申告期限と同様とすること
④少額の減価償却資産の取得価額基準を引き上げること
⑤消費税の非課税取引の範囲を見直すこと
⑥納税義務免除制度及び簡易課税制度について、基準期間制度を廃止し、当該課税期間 による判定とすること
⑦取引相場のない株式の評価の適正化を図るため、所要の見直しを行うこと
⑧法人版事業承継税制(一般措置)に代えて、新たな贈与税及び相続税の猶予制度を創設 すること
⑨償却資産課税制度のあり方を抜本的に見直すこと
⑩税務手続においては電子申告等の活用を基本とし、そのための課題を具体的に分析・ 検討し、制度及びシステムの両面での積極的な環境整備を行うことが挙がっております。
 今後の税制改正の動向に注目です。

(注意)
 上記の記載内容は、令和7年9月1日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

コラム 2025月10月7日

《コラム》中小企業白書を読み解く 廃業の波と承継の鍵

◆倒産の背景に潜む人手と物価の二重苦
 2024年の企業倒産件数は10,006件と、前年に比べ増加傾向にあります。2009年以降は減少傾向にありましたが、2021年を底に再び上昇へと転じました。特に従業員4人以下の小規模事業者が大多数を占めており、人手不足や物価高が主な原因とされています。求人難、人件費の上昇、そして原材料費の高騰により価格転嫁できずに経営が行き詰まるケースが急増しています。加えて、ゼロゼロ融資の返済が本格化する中で、資金繰りへの不安も顕在化しつつあります。

◆「黒字廃業」にも表れる構造的課題
 休廃業・解散件数は一時的に減少していたものの、2024年には再び約7万件へと増加しました。その半数以上が「黒字廃業」という事実も見逃せません。経営自体は成り立っているにもかかわらず、後継者不在や経営者の高齢化、将来不安から事業継続を断念する例が増加しています。特段の法的整理を経ない廃業は、外部から見えにくいながらも深刻な経営リスクを示唆しています。この状況は地域経済における「雇用の受け皿」の喪失にもつながっており、社会的損失も大きいものです。

◆後継者不在の解消とその陰に潜む焦燥感
 帝国データバンクの調査によると、中小企業全体における後継者不在率は減少傾向にあります。しかしその一方で、「70代以上」の経営者による休廃業が顕著に増えており、平均年齢・ピーク年齢ともに上昇中です。これは、事業承継が間に合わず高齢を理由に廃業を選ぶケースが増えていることを意味します。早期の承継準備が喫緊の課題であることは間違いありません。特に承継意向が曖昧なまま時間だけが経過するケースは、外部からの支援がなければ打開が難しくなります。

◆「見える化」と「他人資本」の活用が鍵
 これらの動向を踏まえると、今後の中小企業には、廃業リスクを回避するための「事業承継計画の可視化」と「第三者承継を含めた柔軟な発想」が求められます。親族内承継が困難な場合は、M&Aや外部役員登用を視野に入れるべきです。また、専門家と連携し「経営者保証ガイドライン」や補助金制度の活用を進め、事業の持続性と地域経済への貢献を両立する道が開けます。

税務トピックス 2025月10月7日

国税の滞納 発生割合1.2%、新規約1兆円

 国税庁はこのほど、2024年度の租税滞納状況を発表しました。新規発生滞納額は9925億円で、1兆円の大台を目前とした水準にまで増加しています。金額としては前年度比1928億円(24.1%)増加。滞納発生割合は全体の1.2%で、国税のほぼ99%が期限内に納付されています。整理済額は9488億円で、前年度比1818億円(23.7%)増加。滞納残高は前年度比4.7%増の9714億円で5年連続の増加となりました。

 24年度の徴収決定済額(申告などにより課税されたものの額)は81兆1544億円で、これに占める新規発生滞納額の割合、いわゆる「滞納発生割合」はわずか1.2%に止まりました。滞納発生割合は14年度以降、1%前後の低い水準で推移しており、国税のほぼ99%が期限内に納付されています。

 24年度の新規発生滞納額は前年度比24.1%増の9925億円で、89年度以降最も少なかった13年度の5477億円と比べると11年間で約1.8倍に増えているものの、ピークだった92年度の1兆8903億円と比較すれば約5割にまで減少しました。

 23年度から繰り越した滞納残高は9276億円、24年度中の整理済額は前年度比23.7%増の9714億円で、年度末時点での滞納残高は同4.7%増の9714億円となりました。滞納残高は、98年度の2兆8149億円をピークに減少を続け、19年度には7554億円にまで減っています。しかし、翌20年度には22年ぶりに増加へと転じ、24年度まで5年連続で増え続けています。

 税目別の滞納残高は、所得税が前年度比0.6%増の3837億円、法人税が同6.8%増の1318億円、消費税が同10.5%増の3956億円と、軒並み増加傾向を示す一方で、相続税は同10.8%減となっています。他の税目では整理済額が新規発生滞納額を下回り、滞納残高を積み増す結果となりましたが、相続税の徴収・納付は順調に進み滞納残高を減らしました。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2025月09月30日

公益法人協会が税制改正要望

 公益法人協会はこのほど開いた理事会で2026年度の「税制改正に関する要望」を取りまとめ内閣府に提出しました。公益信託制度の抜本的な見直しに伴う税制の整備などを求めています。

 公益法人の役割と活動について「高齢者支援、子育て支援、青少年の健全育成・教育増進、文化芸術、国内外の災害支援、奨学金や学術研究助成など、コミュニティや専門分野の最前線で多くの方々が献身的に活躍しています。日本においては、これら公益法人をはじめとする非営利の組織は慢性的な資金難やさまざまな過剰な規制があるなか、創意工夫を凝らして安心、安全で安定した社会を作るために懸命に活動を続けています」と説明。そのうえで、「『課題先進国』といわれる日本において、さまざまな社会的課題に取り組む非営利組織の果たす役割は極めて重要」であると指摘し、「これらの団体に対する資金的支援(寄附)によるさらなる公益活動の促進が強く望まれています。公益法人の運営基盤強化、殊に資金・財務面の強化は喫緊の課題であり、それを税制面で支え寄附文化を定着させることが必須」だと主張しています。

 項目別の要望では、「寄附文化を醸成し、寄附を通じて社会参加を促進するために」として①特定公益増進法人等への法人寄附に係る特別損金算入限度額の拡充②寄附に係る所得・税額控除制度の活用手続きの簡便化③税額控除制度に係るPST(パブリック・サポート・テスト)要件の撤廃④大規模災害等、天災発生時における指定寄附金の制度化⑤公益法人等への資産寄附に係るみなし譲渡所得の特別控除の特例の創設⑥寄附金控除における税額控除率の引き上げ⑦寄附金控除の適用下限額の撤廃――を求めたほか、「公益法人の活動基盤を強化し、公益活動を促進するために」として①特定収入に該当しない寄附金の扱いの見直し②公益法人が拠出する褒賞金受領者に対する非課税措置について③公益目的事業実施のための土地、建物等に対する固定資産税の非課税措置――の3点を要望しています。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2025月09月30日

《コラム》中小企業白書を読み解く 持続可能な給与戦略

◆全国的な賃上げ機運の拡大
 近年、日本全体で賃上げ機運が高まりを見せています。2024年度には連合による春闘で平均5.1%という過去30年で最大の賃上げ率が示され、厚生労働省の調査でも中小企業の賃上げ実施割合が前年を上回りました。
 政府も物価高対策や人材確保を背景に最低賃金の引上げを強く後押ししており、2023年度には全国加重平均1,004円と初の1,000円超えを記録しました。これにより中小企業も否応なしに賃上げ対応を迫られる状況に置かれています。

◆中小企業における影響と傾向
 中小企業の賃上げ状況を詳しく見ると、一定の賃上げ実施率があるものの、その水準や継続性には業種・地域によって格差が見られます。
 特に小規模事業者では、利益率の低さや価格転嫁の困難さから、賃上げが経営圧迫要因となっている実態も明らかです。また、業績と関係なく人材流出防止や物価上昇への対応として「やむを得ず賃上げ」を行う企業も増加傾向にあり、持続可能な賃金制度の設計が急務です。

◆人件費上昇と労働分配率
 賃上げが進む中で、中小企業の労働分配率にも注目が集まっています。売上の伸びに対して人件費の比率が高まれば、企業体力を削ぐ要因になりかねません。一方で、優秀な人材の確保・定着を図るためには、単なる初任給アップではなく、処遇全体の見直しが必要です。具体的には、職務評価制度やスキルに応じた給与体系を導入し、従業員の納得感と企業の支払い能力を両立させる工夫が求められます。

◆生産性向上と制度活用が鍵
 賃上げを持続可能なものとするためには、生産性の向上が不可欠です。たとえば業務改善助成金を活用し、作業時間の短縮や労働環境の改善を進めることで、自然な形での賃上げが可能となります。また、給与制度の見直しと併せて、業績連動型手当の導入や非金銭的インセンティブの提供も有効です。経営者は目先の賃上げ圧力に振り回されるのではなく、中長期の人材戦略として賃金設計に取り組むことが重要です。

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