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コラム 2024月06月18日

《コラム》インボイスで廃業のトップ業種は税理士

◆帝国データバンクが調査
 帝国データバンクによると、2023年中に休業・廃業、解散を行った企業(個人事業主を含む)は 5 万9105 件でした。2019年以降2023年初旬まで減り続けていた休廃業は夏以降に急増し、前年比110.6%と急増となりました。
 休廃業はこれまで、持続化給付金等の資金繰り支援が功を奏し、コロナ禍でも抑制された水準で推移してきましたが、2023 年に入り支援策の縮小、物価高、人手不足問題に伴う人件費負担の増加など四重・五重の経営問題が押し寄せたため、収益面・財務面で傷ついた中小企業では「事業継続か否か」の決断を迫られ、「あきらめ廃業」を余儀なくされている、とのことです。

◆NHKの紹介報道
 4月2日NHK夜7時「インボイス制度 意外な業種に影響」というタイトルでのニュース報道がありました。「意外な業種」とは、ズバリ「税理士」です。
 2023年の廃業数の増加率が前年比で最も高かったのは「税理士事務所」だったのです。
 従前から税理士の高齢化が課題となっていた中で、競争激化による顧問企業の減少、顧問料の低下など経営環境の悪化がある中で、インボイス制度の導入など新たな業務のスタートなども影響したとみられる、と前記の帝国データバンク情報にあり、これを紹介していました。

◆全国企業「休廃業・解散」動向調査(2023)
 帝国データバンクの公開情報の「業種詳細 前年比増減率・休廃業率上位推移」の項目のところの「増加率 上位」の最上位に、「税理士事務所」があり、22年廃業30件、2023年廃業81件、前年比170%増と記されています。
 「休廃業・解散率 上位」の項目のところでも、「会計事務所(税理士事務所)」は2023年廃業率4.97%で上位4位に位置するとされています。
 因みに、「社労士事務所(社会保険労務士)」が2023年廃業率5.24%で、税理士事務所より上の上位3位の位置を占めています。
 社労士業界の休廃業・解散率の高さの原因は、税理士業界と共通しているように思われ、消費税インボイスの登録事業者になるか否かの判断に当たり、「あきらめ廃業」に舵を切ることになったところが多いのだと思われます。

税務トピックス 2024月06月18日

外国人旅行客への消費税還付迅速化

 外国人旅行客向けの消費税免税制度について、政府は新たな仕組みの導入を検討しています。訪日客が日本国内で買い物した際、いったんは消費税を含む代金を支払いますが、出国時にクレジットカードなどを経由して還付を受ける仕組みの導入を検討しているとのことです。 年内に制度を固めて2025年度以降の実施を目指します。

 政府はこれまでも、インバウンド需要の喚起のためとして、訪日客に対する税優遇制度を打ち出してきました。14年10月には訪日客向けの消費税免税制度が改正され、食品や化粧品なども免税対象に追加。これにより、転売を目的とする〝転売ヤー〟の存在も問題視されるようになりました。

 政府の「見直し案」では、商品の転売を防ぐため、購入額が一定以上の場合は出国時に空港で現物を確認した上で税金分を返金することとします。

 現行の制度では、訪日客が通常の生活で使う商品を5千円以上買った場合、事業用や販売用としての購入を除き、輸出と実質的に同じとみなされて消費税が免除されます。免税店で旅券を提示すれば、消費税を支払わずに買い物ができます。その後に購入者は空港の税関で旅券を提示する義務があり、税関は必要に応じて物品を確認することになっていますが、実際には厳格な検査を受けずに出国する人が多いといいます。

 こうした事情から「見直し案」では、空港での現金による還付は手続きが煩雑になるため、キャッシュレスによる還付を促す方針です。
 新たな方針を受け、免税店としての登録を急ぐ小売事業者が増えるものと予想されています。また、いわゆる〝キャッシュレス決済関連産業〟にとってはビジネスチャンスとなりそうです。

 一方でインボイス制度による負担増に喘ぐ多くの国内事業者からは、「われわれには消費税の課税強化、訪日客には消費税の免税と還付の迅速化。インボイスとインバウンドとではこれほどの税格差。不公平過ぎる」との声も聞かれます。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2024月06月11日

《コラム》ミッション・ビジョン・バリューとは

◆会社の価値観を形にする経営理念
 会社に経営理念があると従業員1人1人の努力のベクトルが同じ方向を向くことができ、ひいては会社の業績につながるものです。従業員が「毎日何のために自分が努力しているのか」と感じた時に売上げを伸ばすだけではない価値観を持てると持てないとでは働くモチベーションも違ってくるでしょう。
 経営理念は初めて作る時、あまり難しく考えずに社長が普段から考えている「理想の会社の姿」を文書に落とし込めばいいのです。今はその言葉をヒントにAIに手伝ってもらうこともできる時代です。
 理念をもとにそれを実現してゆくにはどうすればよいのかを1つの目標として社内が団結して行動できることで企業の成長となり得るでしょう。

◆経営方針に対する3つの考え方
 経営理念にはミッション、ビジョン、バリューとありますが、ピーター・ドラッガーによる定義ではミッションとは「使命」「目的」「存在意義」などを指し、ビジョンは「将来像」「あるべき姿」を表し、バリューは「価値観」「行動指針」を表すとしています。
 経営理念を制定するときは、まずビジョンを考えます。企業が目指す将来を明確にすることでミッションも整理しやすくなります。ミッション実現後の理想像をメンバーと共有します。
 ミッションは事業の「目的」「使命」を指し、企業として果たすべき使命、「顧客や社会が求めているもの」が理想的です。まずは社長が自らの思いを経営陣を交えて共有し、議論し定めます。
 その後、従業員の価値基準・行動指針となるバリューを策定します。ミッションとビジョンは会社が主体ですがバリューは従業員が主体です。ミッション、ビジョンの達成のために従業員はどのような行動を取るべきかをわかりやすく言語化する必要があります。バリューは多すぎないよう5個以内が良いでしょう。策定には従業員も含めた話し合いが良いでしょう。
 行動指針が具体化されることで従業員の当事者意識が高まりモチベーションアップにつながり、この3つがうまく機能することで会社の発展につながることでしょう。

税務トピックス 2024月06月11日

経営者保証外せる新制度 過半数「知らない」

 東京商工リサーチが実施したアンケートで、保証料率を上乗せすることで経営者保証を外せる新制度について、事業者のうち過半数が「知らない」と答えました。

 新制度は3月にスタート。保証料率を上乗せすることで経営者保証を外せます。資金調達の際に経営者保証を提供している事業者のうち、「制度が始まったことを知らない」との回答が53.2%に上りました。「制度が始まったことは知っているが利用予定はない」が39.7%で続き、「すでに利用した(申し込んだ)」と答えたのは7.0%にとどまりました。
 「制度が始まったことは知っているが利用予定はない」と回答した理由では「保証料率が上乗せされるため」が27.5%で最多。次いで「債務超過ではない、2期連続で償却前経常利益が赤字ではないとの利用要件を満たさない」が22.5%、「経営者保証を外すと金融機関との関係が悪化すると感じるため」が21.4%となっています。

 新制度は、①過去2年間(法人の設立日から2年経過していない場合はその期間)に決算書等を申込金融機関の求めに応じて提出していること、②直近の決算で代表者への貸付金等がなく、かつ、代表者への役員報酬、賞与、配当等が社会通念上相当と認められる額を超えていないこと、③直近の決算において債務超過でないこと、または直近2期の決算で減価償却前経常利益が連続して赤字でないこと、④前記の①と②については継続的に充足することを誓約する書面を提出していること――の全てを満たした上で保証料率を上乗せすると、経営者保証を提供せずに済みます。

 制度を適用するために上乗せする保証料率は、③の要件を両方満たすなら本来の保証料率に0.25%、いずれか一方を満たすか法人設立後2事業年度の決算がないなら0.45%となります。制度開始後、3年間の時限措置として上乗せする保証料率のうち一部を国が補助します。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2024月06月4日

《コラム》現物配当(現物分配)の税務

 株式会社は、利益の配当をする場合、金銭以外の財産を配当対象とすることができ、これを現物配当(現物分配)といいます。

◆適格現物分配
 現物分配の税務上の取扱いについては、組織再編税制の一つと位置付けされ、配当する法人を「現物分配法人」、配当を受け取る法人を「被現物分配法人」とするとの規定を置き、そのうち、現物分配法人が内国法人で、被現物分配法人がその現物分配の直前に現物分配法人との間に完全支配関係がある内国法人であるものを「適格現物分配」というと規定しています。
 適格現物分配の場合には、適格現物分配の直前の帳簿価額により現物分配対象物件が譲渡されたものとして取り扱われ、含み損益に対する課税はなされません。また、利益の配当なので、利益積立金額を同額減少する税務会計処理をします。なお、所得税法上、適格現物分配は配当等の範囲から除かれており、現物分配法人には源泉徴収義務が生じません。

◆現物分配と消費税
 また、配当は消費税法で定める「対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供に類する行為」に該当しないので、建物等を現物分配した場合であっても消費税対象外取引(不課税取引)という扱いにされます。

◆現物分配の便利な利用
 ちなみに、現物分配は、会社法で禁止されている子会社の親会社株式保有状態の解消方法として利用されたり、子会社の子会社(孫会社)を子会社に会社関係の再編(兄弟会社化)のために使ったり、もされています。

◆子法人株式に限った現物分配
 この兄弟会社化にする現物分配については、平成29年度税制改正で、非適格現物分配のうち、完全支配子法人株式を対象とする現物分配を、他の者による支配関係がない上場企業のような法人が実行する場合、これを「株式分配」という新類型の組織再編行為と規定し、共同事業要件を簡易にした5要件を充足すれば、適格株式分配として含み損益に対する課税のない帳簿価額での税務会計処理をするものとされました。なお、令和5年度税制改正では、子会社株式を現物配当するに際し、親会社に20%未満の出資持分を残すことも条件付きで許容する税制適格株式分配にもなっています。

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