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コラム 2016月11月21日

退職金は何のためにあるのか

◆適年廃止後の退職金制度はどうなってる?
長期勤務に対する報奨と理解されている退職金制度ですが、中小企業の多くが利用してきた税制適格年金制度(適年)の廃止から4年半、この制度を導入していた企業は「中小企業退職金共済制度」(中退共)へ移行した企業が一番多かったようです。
また、平成26年度の法改正でそこから5年で多くの厚生年金基金は解散してゆくことになっています。厚生年金基金を退職金の一部にしている企業ではこの対策も考える必要があります。

◆退職金制度のメリット・デメリット
退職金は企業と従業員の労働契約により支払われる賃金制度の一部です。そうならば給与や賞与で払えば退職金は支払わない選択もあるでしょう。その分給与水準を高くし、月々の給与に退職金額を上乗せした前払い退職金制度にしているところもあります。但し社会保険料が上がり毎月の給与額も時間と共に当然と感じてしまい、給与を高くした意味が薄れることもあり得ます。
厚労省の調査によると、従業員30人以上の企業では7割5分が退職金制度を導入しているそうです。
導入のメリットとしては、良い人材の確保のしやすさ、長期的勤務推進策、定年や早期退職の円滑化策、不況期の雇用調整、従業員の不法行為の制御、退職者の競業避止義務や守秘義務の対価として等があります。従業員側は退職後の必要費用を賄う、企業への満足度の高まり、入社時の決定理由、長期勤務がメリット、税制上の優遇措置等があります。
一方デメリットとしては経営状態にかかわらず一時的に多額の支払いが生じる場合があるので、決算や資金繰りに悪影響を与えることがあります。また、運用悪化等があれば積立額のチェックも必要になります。

◆退職金の資金準備
複数の退職者が一度に発生すると企業にとって退職金の負担は大きくなり、多額の現金が必要になることは資金繰りを悪化させるおそれもあります。予め手当てしておくことは大切です。どこに資金をプールするかと言うと、先の調査では社内準備約6割強、中退共約4割、特退共やその他が少しあります。社内準備は銀行と生命保険の利用があります。

税務トピックス 2016月11月17日

認められる 支出がなくても必要経費!

所得税法には、所得計算にあたって数多くの特例があります。その中の一つに「家内労働者等の必要経費の特例」があります。

◆必要経費の特例

事業所得又は雑所得の金額は、原則、総収入金額から実際にかかった必要経費を差し引いて計算しますが、家内労働者等に該当した場合には、実際にかかった経費の額が65万円未満であっても、必要経費として65万円まで認めるものです。もちろん、実額経費が多い場合は実額が使えます。

この特例は、昭和63年に創設されたもので、その趣旨は、同じ労働を対価とする収入であっても、パート等の勤務者には最低でも給与所得控除65万円の適用がある一方、雇用関係のない家内労働者等にあっては適用がない、これでは課税の公平の観点から平仄を欠く、でした。

◆家内労働者等の範囲

条文を要約すると、①家内労働法に規定する家内労働者や②外交員、③集金人、④電力量計の検針人のほか、⑤特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする者、がその対象者です。

では、具体的にどういう人や仕事が対象になるかです。①の家内労働者ですが、いわゆる「内職さん」、今日的には「在宅ワーカーさん(在宅勤務ではない)」がこれに該当します。②、③、④は問題ないと思いますが、少し分かりにくいのが⑤です。ここでのキーワードは、「特定の者」、「継続的」、「人的役務の提供」です。

したがって、不特定多数の人を対象としたサービスの提供は対象外となりますが、特定の者については、サービスの提供者が特定されていればよく、その提供先が複数であってもよいことになっています。概ね、次のような人が該当するものとして取り扱われています。

乳酸菌飲料の訪問販売員(ヤクルトレディー等)、成年後見人等、専属モデル、シルバー人材センターの登録会員、特定の会社から翻訳等の仕事を請けている人です。

◆適用にあたっての留意点

給与等の収入金額が65万円以上あるときは、この特例は適用できません。

また、公的年金以外の生命保険契約に基づく雑所得等がある場合も、そこで計上した必要経費が65万円を超えていればこの特例は適用できません。

 

お知らせ 2016月11月17日

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