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税務トピックス 2024月02月13日
昨年10月にスタートしたインボイス制度(適格請求書等保存方式)について、免税事業者と今後も変わりなく取引を継続していくと考える事業者は全体の4割弱に過ぎないことが分かりました。特に免税事業者との取引の一部を仕入税額控除できる経過措置について、措置終了後の対応を決めかねている企業が多く、免税事業者にとっては、経過措置が終わる2029年10月が〝デッドライン〟となりかねない状況です。
調査は全国法人会総連合(全法連、小林栄三会長)が会員企業の中小企業経営者2089人から回答を得たもの。このうち96.3%がインボイス登録を済ませた発行事業者でした。
インボイス制度では、インボイスを発行できない免税事業者相手の取引では仕入税額控除ができません。アンケートでは、免税事業者との今後の取引について聞いたところ、「これまでと変わりなく取引を継続する」と答えたのは38.2%と4割に満たない結果となりました。回答者からは「代替事業者が見つからないため継続せざるを得ない」、「高額取引については考える」、「基本継続だがちょっとした飲食等は課税事業者を選択する」といった声もあり、制度開始前から指摘されていた免税事業者が取引から排除されるリスクが顕在化している状況です。
こうしたリスクを軽減するためにインボイス制度では、今後一定期間については免税事業者等からの仕入れでも一定割合を控除可能な経過措置が設けられています。制度開始から3年は8割、その後3年間は5割を控除でき、6年後の29年10月に経過措置は終了します。アンケートでは「経過措置等が終了するまでは取引を行うが、その後についてはわからない」との回答が31.7%に上りました。現状は取引に変化がなくても、6年後に免税事業者が契約を打ち切られる可能性は決して低くなさそうです。その他、「まだ具体的な対応は決めていない」が18.1%、「課税事業者にならなければ取引は厳しい」が9.1%ありました。
<情報提供:エヌピー通信社>
税務トピックス 2024月02月13日
相続の手続きはいろいろと大変です。相続人を確定させるためには、亡くなった人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本をそろえる必要があります。具体的には、まずは死亡した時の本籍地で最新の戸籍謄本を取り、その情報を基にひとつ前の戸籍謄本を取ります。またそれを基にひとつ前の戸籍を取り、これを繰り返して、出生までさかのぼるというわけです。遠方であれば郵便で取り寄せる手間もかかり、非常に面倒くさいのが実態です。
2017年にスタートした「法定相続情報証明制度」は、相続手続にかかる手間を大幅に軽減できるものです。しかし、それでも最初に証明書を作るために、出生から死亡までの戸籍謄本をひと揃い集めなければならない点に変わりはありません。
この一連の煩雑な手続きを劇的にラクにしてくれそうなのが、3月1日にスタートする「広域交付制度」です。同制度は、全国どこの本籍地の戸籍謄本であっても、出生から死亡までの戸籍謄本一式が最寄りの役所窓口だけで一括で請求できるというもの。これにより、謄本を順にたどってそれぞれの本籍地の役所に手続きを行って……という、これまでかかっていた手間や時間を、大幅に減らすことが可能となります。
同制度の注意点は、申請を行えるのは配偶者や親、子といった相続人本人のみであることです。税理士や弁護士といった専門家による代行はできない点に注意が必要です。
<情報提供:エヌピー通信社>
税務トピックス 2024月02月6日
改正電子帳簿保存法の猶予期間が終わり、1月から電子取引のデータ保存が義務化されています。紙で授受した領収書などはそのまま紙で保存しても問題ありませんが、メールやクラウドサービスなどを介した電子取引の場合は、データで保管しなければなりません。ただ、制度開始まで1カ月もない時点でも対応済みの企業は3割弱にとどまり、確定申告時の混乱や業務負担の増加が懸念されています。
メールやEDI(電子受発注)システムなどの「電子取引」は2022年1月から請求書などのデータをデータのまま保存することが必要になりました。業務ソフトの新規導入や改修など企業が準備するための猶予期間として23年末までは出力した紙での保存も認められていましたが、24年1月から完全義務化されています。
訂正や削除などの履歴を残したり、日付や取引先、取引金額を検索したりする機能を備え、仕訳帳や総勘定元帳など各帳簿間に相互関連性を持たせる要件などがあります。要件を満たす電子帳簿は「優良」と判断され、納税額を過少申告した場合に課される「過少申告加算税」が5%軽減される優遇措置が設けられています。軽減措置を受けるには24年の申告期限までに税務署に届け出る必要があります。データの改ざんや隠蔽、適切に保存されていなかった場合は10%の重加算税や100万円以下の過料が科されます。
ただ、企業の対応は思うように進んでいません。帝国データバンクの12月8日~12日の調査では、有効回答数1023社のうち対応が完了したのは28.5%にとどまりました。大企業は約4割が対応済みですが、中小企業以下は3割に満たない結果となっています。対応への懸念や課題があると回答した967社のうち96.8%が「業務負担の増加(他業務への影響含む)」を挙げました。
23年10月には消費税のインボイス制度が始まり、ただでさえ企業の業務負担は増えています。帝国データバンクは「人手不足に対応できるなどのメリットはあるが、定着までに一定の時間を要する。中小企業を中心にシステムなどの導入コストや運用面でのサポートといった負担軽減につながる施策が求められる」と指摘しています。
<情報提供:エヌピー通信社>
コラム 2024月02月6日
◆中小企業等を取り巻く喫緊の課題
中小企業庁の調べでは、2025年までに70歳を超える中小企業及び小規模事業者(以下「中小企業等」)の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万社が後継者未定となっています。この127万社という数字は、日本全体の企業数の1/3に当たります。
これをそのまま放置すると、中小企業等の廃業の急増により、2025年までの累計で、約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われる可能性があるとしています。これらの課題解決の一つとして、第三者への事業承継(本稿では「M&A」とします)のニーズが高まりつつあります。
◆デューデリジェンスとは
デューデリジェンス(Due Diligence)とは、Due(当然・正当)Diligence(精励・努力)という意味で、投資を行うに当たり、投資先企業の価値やリスクなどを事前に調査することを言います。
M&Aにおけるデューデリジェンス(以下「DD」)の目的は、買収企業の経営環境、事業内容などを調査し、財務状況・収益力について分析を行い、法務面の問題点・リスクを洗い出して、より正確に企業実態や事業運営の手法を把握することです。その種類には財務DD、法務DDなどがあり、労務DDも重要な位置を占めます。
◆労務DDの定義とその内容
労務DDについては、法律等での明確な定義はありませんが、一般的に「労働に由来する潜在債務を調査すること」となります。
ここでの潜在債務とは、簿外債務と偶発債務を合わせた概念になります。簿外債務とは、本来、費用として財務諸表に計上されなければならない債務を言い、未払残業代や加入漏れの社会保険料などが挙げられます。偶発債務とは、将来、想定外の出来事で発生し得る債務を言い、解雇の無効や管理監督者と認められないなどによるバックペイ(遡っての給与等の支払い)、労働災害やハラスメント問題による会社の損害賠償リスクなどがこれに当たります。
近年、第三者への事業承継(M&A)をスムーズに遂行するため、また、売り先企業が自社をより高額で売却するため、さらには人的資本経営の高まりからも、事前に潜在化しているリスク対応としての労務DDが注目されています。
税務トピックス 2024月01月30日
2022事務年度(22年7月~23年6月)の相続税実地調査の件数は8196件で、前年度の6317件からは29.7%増となりました。2年連続で25%を超える伸び率を示し、税務調査の〝脱コロナ〟が鮮明となっています。さらに文書や電話による「簡易な接触」の件数は前年に引き続き過去最高を記録し、当局の〝武器〟として完全に定着したことがうかがえます。
実地調査で把握された申告漏れ課税価格は2630億円で、こちらも前年度の2230億円から2割近く増加しています。1件当たりの追徴税額は816万円で、こちらは昨年よりは7.9%の減少となりました。
特に目立つのが、実地調査に至らない、納税者への問い合わせや指導である「簡易な接触」の増加。「お尋ね文書」とも呼ばれ、名称は「資産の買入価額についてのお尋ね」「申告書についてのお尋ね」「相談のご案内」など様々ですが、内容はほぼ同じで納税者のもとに通知書を送り、回答を得ることで取引内容や資産状況を確認することが目的となっています。
簡易な接触はコロナ禍で思うように実地調査が行えないなかで実績を上げるため急増しましたが、脱コロナを経て実地調査が復活するなかでも、そのまま効率的な手法として定着した模様です。22事務年度には1万5千件のお尋ね文書がバラまかれ、686億円の申告漏れを発掘しています。簡易な接触による1件当たりの追徴税額は58万円と、決して軽視できない存在です。
なお12月中旬に国税庁が発表した22年分の相続税の申告事績によれば、相続は156万9050件発生し、そのうちの9.6%に当たる15万858件で相続税の申告書が提出されました。実際に税額が発生したのは約11万件で、納税者は32万9444人。課税割合9.6%は、相続増税が行われた2015年以降では最高。相続財産を種類別に見ると、現金・預貯金が7兆6304億円と最も多く、次いで土地7兆688億円、有価証券3兆5702億円と続きました。
<情報提供:エヌピー通信社>
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