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税務トピックス 2023月08月27日

事業承継税制の延長を検討

 自社株を後継者に贈与・相続する際の税負担を実質ゼロにする「事業承継税制」の特例について、政府が延長を検討することが分かりました。経営者の高齢化に対応し、円滑な承継を後押しするのが狙い。現行制度では、特例の適用を受けるための申請期限は来年3月末になっています。

 事業承継税制の特例は、2018年度税制改正で時限措置として新設されました。従来の同税制では、自社株を相続によって引き継いだときに税負担が免除されるのは株式の3分の2のさらに8割にとどまっていたところを、特例では株式の全てについて納税猶予を認め、事業を続ける限りは税負担がゼロになりました。またそれまでは税優遇を利用できるのは現社長から後継者1人に対する自社株の引き継ぎのみでしたが、特例では最大3人まで後継者を選ぶことができ、現社長以外からの株の引き継ぎについても対象となるなど、使い勝手が向上しました。それまで同税制の申請件数は年間400件程度でしたが、特例で年間6千件まで増加しています。

 現行の特例措置は27年末までの自社株引き継ぎが対象で、その前提として特例承継計画を作成して24年3月末までに提出する必要があります。経産省は計画提出までの期限が1年を切ったことを受け、今夏の税制改正要望で、期限延長を求める方針。具体的な延長幅は、年末にかけて行われる与党内での改正論議で詰めるそうです。

 事業承継税制の特例については、創設当時の18年に宮沢洋一自民党税制調査会長が、「期限があるからこそ大胆なことができる。特例の期限を延長することはない」と発言したことがあります。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2023月08月22日

ふるさと納税の返礼品の〝格落ち〟必至

 任意の自治体に寄付すると住んでいる土地に納める税金が差し引かれる「ふるさと納税」制度について、返礼品をより厳しく規制するルールを総務省が公表しました。自治体間の返礼品競争を防止する狙いがありますが、返礼品の〝格落ち〟は必至です。

 総務省が発表した新たなルールは、①返礼品の送付に関する事務経費の対象を拡大、②肉と米については地場産品の条件を厳格化――の2点。

 ①については、これまでも返礼品の価額と事務経費を合わせた合計額を寄付金額の5割以下に収めるよう求めるルールがありましたが、この事務経費の対象が拡大されます。従来は返礼品調達費や送料、広報費などが対象でした。これに確定申告が不要となる「ワンストップ特例」の事務費、寄付の受領証明書の発行費なども含めることになります。同じ寄付金額に対して自治体が返礼品にかけられる経費の限度額が下がることになるため、寄付した納税者にとっては返礼品の内容が〝落ちる〟ことになります。

 また②については、加工品のうち熟成肉と精米についてのみ、原材料が同一の都道府県内産のみに限られるようになります。返礼品は地場産品に限られるものの、これまでのルールでは加工過程のみを地元で行っていれば地場産として扱われていました。

 多くの自治体では寄付金額の3割を占める返礼品の調達費に加え、配送料や民間ポータルサイトへの掲載料などを負担した結果、経費総額の5割を超えることも珍しくありませんでした。こうした経費が膨らみ、寄付が増えても自治体として赤字に陥ることもあったそうです。今回のルール見直しの狙いについて総務大臣は、「寄付金のうち少なくとも半分以上が寄付先の地域のために活用される」と説明しています。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2023月08月22日

電帳法で猶予対象の「相当の理由」とは?

 国税庁が電子帳簿保存法に関する改正通達やQ&Aを公表し、法律で定められた保存要件を満たさなくてもよい「相当の理由」について解説しました。資金繰り難や人手不足による未対応を理由として認める一方で、新法に対応できる設備が伴っているにもかかわらず「経営者のポリシー」などによって対応しないようなケースは認めないとしました。

 改正電帳法では、電子データで受け取った税務関係書類を紙に印刷して保存しておくことが税務上では認められず、電子データのままシステム上で保存しなければなりません。また保存に当たっても、検索性などの要件を満たす必要があります。しかし2023年度税制改正には、「相当の理由」があれば保存要件を満たさなくても法律違反とみなさない特例が盛り込まれました。税制改正大綱などではあくまでも「相当の理由があるとき」としか述べられていなかったため、具体的な内容について注目が集まっていました。

 このほど国税庁が公表した改正通達やQ&Aによれば、電帳法の保管要件を満たさなくてもよいとされる「相当の理由」とは、「事業者の実情に応じて判断するものであるが、例えば、システム等や社内でのワークフローの整備が間に合わない場合等がこれに該当する」とのことです。さらにシステム整備が間に合わない理由としては、「資金繰りや人手不足等」も認められます。この猶予措置を適用するに当たって税務署への事前申請などの手続きは必要ありません。

 一方で「相当の理由」として認められないケースとしては、「システム等や社内のワークフローの整備が整っており、満たすべき要件に従って保存できるにもかかわらず、資金繰りや人手不足等の理由がなく保存していない場合」が挙げられています。例えば「経営者のポリシー」というような漠然とした理由では認められないということです。またシステムの未対応といった事情が解消された後には、猶予は認められず保存要件を満たす必要があるそうです。同様に、社内のシステム更改に伴い要件を満たせなくなった場合や、書類の保管スペースの問題で出力書面を廃棄してしまったような場合も「相当の理由」には含まれません。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2023月08月15日

《コラム》駐車場賃貸のインボイス

 駐車場の賃貸借契約は、通常、1年~2年間の契約期間で作成されますが、インボイス制度(適格請求書等保存方式)の運用が始まる令和5年10月1日をまたぐ契約も多いのではないでしょうか。

◆駐車場賃貸は、消費税課税が原則
 駐車場事業を経営する場合、砂利を敷く、ロープで区画割りする、アスファルト舗装するなど施設を整備して貸し付けます。施設の利用に伴って土地が使用される場合、消費税が課されます。課税事業者は、令和5年10月以降、賃貸借契約書や請求書、領収書等にインボイス(適格請求書)としての要件を備えさせて保存しなければなりません。

◆契約書を通知書で補完
 契約書、請求書等をそのままインボイスとする場合、登録番号、税率10%に対応する税込価額または税抜価額、消費税額等の明記が必要ですが、令和5年10月前に作成する契約書には、これらの項目の記載は求められていません。そもそも、駐車場賃貸では、賃料の収受に際し、通常は請求書や領収証を交付しないでしょう。
 そこで貸主のインボイス交付義務・保存義務(借主のインボイス保存義務)に対応させるため、請求書にかえて、駐車場事業者は、インボイス番号(登録番号)等を記載した通知書を別途作成して契約書を補完させて借主に交付すること、領収証にかえて、借主は銀行の支払記録と賃貸借契約書や通知書で補完する方法が国税庁のインボイス特設サイトに案内されています。

◆口座振替と口座振込
 口座振替の場合、借主は、インボイス番号の通知書で補完された契約書とともに通帳(課税資産の譲渡等の日付が分かるもの)を併せて保存することにより、インボイス保存義務が満たされます。
 口座振込の場合は、借主は、インボイス番号の通知書で補完された契約書とともに銀行の発行する振込金受取書を併せて保存することにより、インボイス保存義務が満たされます。

◆事務所賃貸、税理士、社労士も取扱いは同じ
 なお、仲介会社の作成する令和5年10月以降の賃貸借契約にインボイス番号等の記載がない場合も上記の通知書で補完する対応が必要になります。また、この取扱いは、事務所賃貸はもちろん、税理士、社労士など士業が顧問先と締結する契約についても同様の対応となります。インボイス制度開始前に業務フローを確認しておきましょう。

税務トピックス 2023月08月15日

タワマン節税で当局が新ルール提示

 富裕層の相続税対策として活用されてきた「タワマン節税」について、国税庁はタワマンの相続税評価額を実勢価格の最低6割に引き上げる新たな計算ルールをこのほど提示しました。マンションの高層階ほど相続税が増える可能性があり、富裕層の節税策に大きな影響を与えそうです。新ルールは来年1月の適用スタートを目指します。

 国税庁が提示した新たなルールは、マンションの階数や築年数などを基に評価額を補正して引き上げるというもの。築年数や所在階、総階数、専有面積などを基に「一室の評価かい離率」を算出し、これに現行の相続税評価額や最低評価水準である「6割」を掛け合わせて最終的な評価額を割り出します。6割の基準は、一戸建て物件の実勢価格と評価額の平均かい離率(1.66倍)に合わせて設定したそうです。

 新ルールによっておおむね、実勢価格と評価額が大きく離れていた物件では、実勢価格の6割程度まで評価額が上がります。かい離率の高かった高層階ほど、これまでに比べて税負担が増えることとなります。

 マンションは階数が変わったとしても住戸面積が同じなら相続税を算出する際の評価額が変わらないため、これまでは同じマンションのなかでも1階住戸の実勢価格が5千万円、同じ広さの30階の住戸が1億円で、相続税評価額はいずれも2千万円とすると、実勢価格に対する評価額の割合は1階住戸なら40%、30階住戸なら20%という差が生まれていました。これを利用し、相続を見込んでタワーマンションの高層階を購入しておき、相続税を納めた直後に高額で売却するという「タワマン節税」が流行していました。

 こうした問題を受け、2023年度税制改正大綱では「相続税におけるマンションの評価方法については、相続税法の時価主義の下、市場価格との乖離の実態を踏まえ、適正化を検討する」と記載し、今年1月からは国税庁の有識者会議が新ルールを検討していました。

<情報提供:エヌピー通信社>

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