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コラム 2023月03月21日

《コラム》相続時精算課税の普及が戦略

◆相続時精算課税制度は評判悪し
 相続時精算課税制度は、贈与額が2500万円に達するまでは贈与税がかからず、2500万円を超えた部分は贈与税率20%で課税される制度ですが、贈与者死亡時の相続税は、相続時精算課税の適用を受けた受贈財産の価額と相続や遺贈により取得した財産の価額との合算額を基に計算し、既に納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額を控除して算出します。
 なお、次に掲げるようなデメリットがあり、この制度の積極的な活用の呼びかけは少なく、利用者の数も限られていました。

◆現行相続時精算課税制度のデメリット
(1)暦年課税制度に戻ることが出来ない
(2)基礎控除の制度がなく110万円以下の贈与でも贈与税の申告が必要
(3)少額でも贈与税申告書の提出漏れには20%の加算税
(4)受贈財産が災害等で滅失しても考慮されない
(5)不動産だと小規模宅地の特例が使えず、不動産取得税の負担があり、登録免許税も相続時より高い
(6)相続税の物納には使えない
(7)贈与者である祖父の死亡前に相続時精算課税制度適用者である父が死亡したような場合、その相続人となる子は、父の相続に係る相続税の負担と、承継した父の相続時精算課税制度適用による納税義務の負担との二重課税となる

◆デメリット部分解消への税制改正
 今年の税制改正で、上記の(2)~(4)について見直しがなされることになりました。
1.相続時精算課税制度内に110万円の基礎控除制度が設けられ、毎年の特定贈与者からの贈与額からその基礎控除が引かれるとともに、その範囲内の贈与は申告不要とされ、相続に際しては、課税価格に加算される相続時精算課税受贈財産の価額は、先の基礎控除をした後の残額となります。110万円以下の毎年贈与だったら、暦年課税の3年内贈与加算相当部分も圧縮され、より優遇です。
2. 相続時精算課税で受贈した土地・建物が相続税申告時までに災害により滅失等の被害を受けた場合は、相続税の申告での課税標準への加算額から当該被害額を減額することとされました。
 今後、相続時精算課税制度の利用が大幅に増加することが予想されます。

税務トピックス 2023月03月21日

価格転嫁のコツは「原価示した交渉」

 物価高や円安で上昇したコストの価格転嫁を実現した企業のうち、4割超が「原価を示した価格交渉が功を奏した」としているとの調査結果を帝国データバンクが公表しました。調査は全国の中小企業1335社を対象に実施したもの。各社が価格転嫁を実現した手法をランキング形式でまとめています。

 最も多かったのは「原価を示した価格交渉」で45.1%(複数回答)に上りました。回答者からは「エネルギー関連の値上がり幅を取引先に提示して説得した」(みそ製造業)との声や、「取引先に依存しているというイメージを持たれないよう、さまざまな企業と取引していると情報発信したうえで交渉している」との工夫も聞かれました。

 続いて「取引先への価格改定の通知」が28.7%。アンケートに回答した自動車整備業者は、「部品や材料、電気料金が上がるタイミングで細かく価格変更し、『緩やかな値上げになっている』と印象付ける」よう気を配っているそうです。以下、「業界全体における理解の進展」(25.8%)、「発注者とコスト関連の情報を共有」(24.2%)、「業界全体における価格調整」(13.9%)などが続きました。

 ただ、価格転嫁を実現した企業の割合はまだ低いのが現状です。帝国データバンクの調査によれば、自社商品・サービスのコスト上昇分を価格転嫁できている企業の割合は39.9%にとどまります。コスト上昇分の多くは販売側の企業が負担している状況で、同社は「サプライチェーン全体で価格の底上げを行えるよう、政府や行政は支援を打ち出すべきだろう」としています。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2023月03月14日

フリマアプリ収入の確定申告

 一般社団法人シェアリングエコノミー協会がこのほど発表した調査結果によれば、日本における民泊、カーシェア、フリマアプリなどを合わせたシェアリングエコノミーの市場規模は2.6兆円でした。今後市場が順調に伸びていけば、10年後には15兆円市場にまで膨らむそうです。

 好調の一因には、メルカリやヤフーオークションといったネット間CtoC取引の躍進があります。調査結果によれば、市場2.6兆円の5割に当たる1.3兆円がモノのネット売買によるものでした。その背景には、コロナ禍で巣ごもりする間に家財の整理や処分などを行う人が増えたこと、スマートフォンを見る時間が増えたことなどがあるとみられます。

 原則として、使わなくなった家具や衣服などの「生活に使用した資産」をメルカリなどで売って利益を得たとしても、確定申告は不要です。金額要件も特に設けられておらず、自分が生活に使っていたものであれば、いくら儲けが出ても申告する必要はありません。

 ただし生活に使う資産の処分でも、長期間にわたり継続的・反復的に行われていて利益を得ることが主目的となっていれば、課税所得として申告が必要です。同様に、他者から仕入れて転売した時の所得は課税所得となるほか、1品が30万円を超える宝石、書画、骨董、貴金属などを売った時の収益も所得税対象となることを覚えておきたいところです。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2023月03月14日

タワマン節税が抜本的規制へ

 相続税評価額と実勢価格のかい離を利用した「タワマン節税」の規制に向けて、国税庁が1月30日に第1回となる有識者会議を開催し、議論をスタートさせました。タワマン節税を巡っては、税負担を著しく軽減させる事例に限って通達で認められた「総則6項」を用いて後出しで否認するという対応がとられてきましたが、評価ルールそのものを見直すことで抜本的な規制を図ります。

 マンションは階数が変わったとしても住戸面積が同じなら固定資産としての評価額は変わりません。その一方で、実売価格は眺望のよい上階になればなるほど高くなるため、高層階ほど実勢価格と評価額の開きが大きくなる傾向があります。これを利用し、相続を見込んでタワーマンションの高層階を購入しておき、相続税を納めた直後に高額で売却するのが「タワマン節税」です。

 あくまで合法な手段ではあるものの、当局はこれを税逃れ目的の行為とみなし、税額の軽減効果が著しい事例にターゲットを絞り、「総則6項」を用いて否認してきました。この項目が適用されれば最終的には国税側の言い値が適用されることになります。

 昨年12月に与党が発表した税制改正大綱では、「現状を放置すれば、マンションの相続税評価額が個別に判断されることもあり、納税者の予見可能性を確保する必要もある」と見直しの必要性に言及し、「時価主義の下、市場価格との乖離の実態を踏まえ、適正化を検討する」と明記していました。

 1月30日に開催された第1回の有識者会議に出席した委員からは、「価格かい離はタワマンだけの問題ではなく、マンション全体の評価ルールを見直すべき」、「住宅購入者がマンションか一戸建てかを選ぶ際のバイアスとならないよう、急激な評価増は避けるべき」などの意見が上がっています。会議では全体の方向性として、一部の税逃れの防止のみが目的ではなく、評価額と時価のかい離の是正を目指すことを確認しました。有識者会議は今後も複数回開催される予定で、その結論を基に相続税の財産評価基本通達が見直される見込みです。

コラム 2023月03月7日

《コラム》企業型DCの資産放置 約2,600億円!

◆転職・退職時に手続きせず
 企業で加入する企業型確定拠出年金DC(企業型)で約112万人分の年金資産(積立額)が運用されずに放置された状態になっていることが、国民年基金の調べによりわかりました。加入者(従業員)が転職・退職時などに必要な手続きを取らなかったことで国民年金基金に自動移換され、公表記録のある2017年度末から2021年度末でその数は1.5倍に増え、総額は約2600億円に上るということです。

◆企業型DCの資格喪失後は
 DCでは原則60歳までは資産の引き出しはできません。従業員が60歳未満で中途退職して企業型DCの資格喪失をした場合は
①他の企業型DCに資産を移す(移換)
②iDeCo(個人型)に資産を移す
と2つの方法があり、これを「ポータビリティ」といいますが、DCでは転職・退職に伴う手続きを自分で行う必要があります。
 資格喪失後6か月以内に移換手続きをせずに放置しておくと自動的に売却・現金化により国民年金基金連合会(または特定期間運営管理機関)の口座に移換されます。

◆自動移換されるとどうなるの?
 自動移換されると国民年金基金連合会や特定運営管理機関の手数料が毎月かります。資産運用の指図や給付金請求もできません。また、加入期間の通算もされません。
 ただし、自動移換されても他のDCに切り替え手続きを行えばそちらに移換できます。

◆企業型DC加入者の退職時の手続き
 加入者が60歳未満で中途退職した場合、企業が加入者の資格喪失手続きを行うと10日後位に資格喪失した通知が自宅に届きます。通知は今後の移換に必要な情報が記載されているので大切に保管しておきます。
①転職先の企業型DCに移換する時は必要書類を取りよせ記入後転職先に提出します。
②転職先に企業DCがないか自営業者、専業主婦(夫)になる場合、iDeCoの口座を開設します。加入申込書と「個人別管理資産移換依頼書」を提出し、さらに会社員や公務員がiDeCoに加入する場合は事業主の証明書も添付し、運営管理機関に提出します。手続き完了には2か月近くかかります。
 企業の担当者は従業員の退職時には企業型DCの資産移換についても忘れずにアドバイスをしてあげましょう。

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