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コラム 2023月03月7日

《コラム》コロナ対策の重荷で雇用保険料引き上げ

◆2023年4月から0.2%引き上げ
 厚生労働省の労働政策審議会は雇用保険料を2023年4月から0.2%引き上げることとし、労使が負担する保険料率は賃金の1.35から1.55に上げることを了承しました。労働者の料率は0.5%から0.6%に、事業主は0.85%から0.95%と0.1%ずつ上がります。新型コロナ禍の雇用下支えが長期化し財源の枯渇を招いたのです。

◆財源の正常化遅れる
 雇用保険制度は保険料を事業主と労働者が負担する「失業等給付」と「育児休業給付」、事業主のみが負担する「雇用保険2事業」の3つの区分があり、改定は失業給付向けの保険料だけを改定します。コロナ禍で膨大な資金を使ったためで、従業員の休業時などに支給する雇用調整助成金は支給要件を大幅に緩和したこともあり、2022年12月初旬で6兆2千億円を超えて支給しました。
 雇調金は2事業の積立金から支払うことになっていますが、不足したため失業給付積立金から借り入れる事態となったのです。
 もともと失業給付の積立金は潤沢であったので保険料率を法定の原則より下げた状態が続きましたが、今回の引き上げ改定で原則に戻ることになります。
会社の支出が増えるほか手取りも減るので経営者が賃上げしても労働者に実感してもらいにくい状況ではあります。

◆雇調金で失業抑制の一方で
 世界の主要国はすでにコロナ禍で特例的に実施した雇用の下支えは終了していますが、日本は2023年3月に終了を予定しています。労働政策研究機構によると英米はコロナ禍直後に集中的に下支えを実施、21年度中に終了したところもあり、世界的に雇用下支えの縮小、終了となってきています。
 厚労省は雇用調整助成金で失業率を抑制できた、100万人規模の雇用を守ったと試算しています。一方で雇用調整助成金は、企業が過剰労働力を抱えているのに労働市場に出る求職者を減らす面があります。雇用を守り失業を防ぐ半面、新規労働市場に出る求職者が減ってしまうということがあります。足元では人手不足にも対処しなくてはなりません。成長分野への労働移動を阻害しないように努める必要もあります。

税務トピックス 2023月02月28日

相続人なき遺産が過去最高の647億円

 少子高齢化や婚姻数の減少などを背景に、相続人がいないなどの理由で国庫に入る相続財産が増え続けています。2021年度に相続人不存在で国庫に入れられた相続財産は過去最高を記録しました。朝日新聞の報道によると、前年度比7.8%増の647億459万円だったそうです。20年前は約107億円、10年前は約332億円だったため、20年間で6倍に増えた計算です。

 身寄りがない人が死亡して、財産の受け取り手が誰もいないケースでは、利害関係者か検察官の申し立てを受けて、家庭裁判所が相続財産管理人を選任することになります。選ばれた管理人は被相続人の債権者に相続財産から弁済し、公共料金などを支払い、残りは国庫に納まります。

 ただ相続人がいない状況で必ず国に財産が移るかというと、そうではありません。相続人がいない被相続人の財産は、被相続人と生計を一緒にしていた人や介護・看病をしていた人などの「特別縁故者」に該当する人であれば受け取れるためです。代表的な特別縁故者は、内縁の妻や夫で、裁判所に特別縁故者と認められれば財産を受け取ることが可能。近年では、被相続人が生前に長く過ごした養護施設などが受け取る例も出ています。16年に名古屋高裁が下した判決では、知的障害がある男性が35年間生活を送った障害者支援施設を特別縁故者と認定し、約2200万円の遺産受け取りを認めました。

 内閣府によると、ここ数年の婚姻数は毎年60万組ほどで推移しています。第1次ベビーブーム世代が結婚適齢期を迎えた1970~74年の年間100万組と比べると、未婚率は大幅に上がっているのが現状。配偶者や子がいなければ財産が国のものになる可能性が高いので、もし国に財産が渡るのが嫌なら、遺言の作成や養子縁組などで財産の引き受け手を事前に決めておくのが賢明です。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2023月02月28日

コロナ借換保証スタート

 新型コロナウイルス対策の「ゼロゼロ融資」にかかる中小企業の返済苦を軽減するため、政府は新たな資金繰り支援制度「コロナ借換保証」を1月にスタートさせました。金融機関による継続的な伴走支援を受けることを条件に、借入時の信用保証料を大幅に引き下げます。

 コロナ禍での中小企業の資金繰りを支えてきた実質無利子・無担保のゼロゼロ融資は昨年9月末に終了しました。日本政策金融公庫だけでも100万件弱、約16兆円を融資していて、融資実績は1年でリーマンショック後2年間を上回りました。ゼロゼロ融資が功を奏し、21年の倒産件数は6030件と、増えるどころか過去50年で最も少ない歴史的低水準にとどまりました。

 今後問題となるのが、ゼロゼロ融資の返済苦です。政府によると、民間金融機関のゼロゼロ融資の返済開始時期が今年7月から来年4月に集中するそうです。中小企業に保証を提供する全国信用保証協会連合会のデータでも、融資返済が不可能な企業に代わって協会が肩代わりする「代位弁済」は増加の一途をたどっていることが判明しています。

 そこで国は、資金繰り支援策として新たな借り換え制度を創設しました。100%保証の融資は借り換え後も保証を維持。また補助前は0.85%程度に設定されているゼロゼロ融資の保証料については、原則として0.2%まで引き下げます。保証の対象期間は10年以内とし、借り換えた場合の元本の返済は最長5年間猶予します。保証限度額は、民間金融機関のゼロゼロ融資の上限額である6千万円を上回る1億円となります。なお借り換え制度を利用する条件として、金融機関と連携して経営計画書を作成することや、売り上げが5%以上減少したことなどが求められています。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2023月02月21日

【時事解説】なぜ、マクロ的経済政策が効かなくなってきたのか その1

 ケインズ流のマクロ的経済政策は戦後の高度成長期頃までは有効に機能していました。しかし、1980年代からバブル崩壊後の1990年代以降、マクロ的経済政策の有効性に疑念が生じてきています。こうした事態は当初は日本特有の現象かと思われていたのですが、意外と普遍的なものと認識されるようになり、「低成長、低インフレ、低金利」を特徴とする日本化は先進国共通の課題になりつつあります。日本は少子高齢化だけではなく、この分野でも世界のトップランナーとなっています。

 第二次大戦後の経済では、マクロ的経済政策の効果は明確でした。たとえば、不景気になれば、財政資金を利用して公共工事を行います。公共工事を請け負った業者は、銀行から資金を借り入れて、より多くの資材を購入したり、人員を増やしたりして、事業を拡大しようとします。なぜなら、この先経済は拡大すると思っていますから、強気の投資ができるわけです。給与が増えた従業員もこの先の給与増加を予想し、消費の拡大に躊躇しません。その結果、支出した財政資金額をはるかに超える経済成長が実現しました。この時代は、財政支出拡大が経済全体に及ぼす波及効果(経済学的には「乗数効果」といいます)は大きかったのです。

 金融政策の有効性も明確でした。不況になり日銀が金利を引き下げると、銀行の貸出はすぐ増加し、企業は運転資金や設備資金を手に入れやすくなり、経済の活性化に貢献しました。
 逆に、経済が過熱し、高インフレが懸念されるようになれば、財政と金融を引き締めることにより、経済は落ち着きを取り戻すことができました。

 このように、政策当局は財政・金融政策を自在に操り、国の経済成長をある程度コントロールすることができたのです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

税務トピックス 2023月02月21日

【時事解説】なぜ、マクロ的経済政策が効かなくなってきたのか その2

 ところが、高度成長から低成長に移行するにつれ様相が異なってきます。バブル崩壊後の不況を受けて、経済を活性化させるべく、財政、金融政策を継続的に発動しましたが、経済は目立ったように成長しません。金融政策では金利を引き下げましたが、銀行貸出しは一向に増えず、金利はゼロに到達してしまいました。また、公共事業を請け負う事業者はむやみに事業を拡大しようとはしません。手持ちの資材と人員でやりくりしながら、請け負った事業をこなそうとします。その結果、給与も増えませんから、個人消費も盛り上がりません。

 経済政策が以前ほど効かなくなった要因として次の2点を指摘できます。一つは、経営者マインドの冷え込みです。少子高齢化で人口減少が現実化する中で、経営者は日本経済の将来展望に楽観的になれませんから、公共投資があるからといって、安易に事業拡大には踏み切れません。

 次に、カネ余りも大きな要因です。昔は、成長のボトルネックはカネでした。マクロ経済政策は結局のところ、マネーを供給して需要を刺激する政策ですから、カネ余りの状況で、マクロ経済政策をいくら発動しても、効果を上げないのは当然です。

 財政と金融の拡大が前向きには効かなくなっても、財政破綻やハイパーインフレ等の将来的な経済不安の温床にはなりますから、野放図な拡大は慎まなければなりません。

 経済全体に与える影響は減少しても、コロナ禍で本当に困っている人に対して財政的支援が必要になるように、個別経済主体に対しての経済政策は不可欠です。今後は漠然としたマクロ的な経済効果を期待するのではなく、困窮している個人への支援、真に必要なインフラ投資、成長が期待できる産業の育成といった、目的を限定した、効果がはっきり分かるミクロ的視点からの経済政策が重要だと思います。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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