お知らせ/トピックスTOPICS

税務トピックス 2023月09月12日

(前編)インボイス登録を受けていた被相続人から事業を相続した場合

 いよいよインボイス制度が2023年10月1日に開始されますが、適格請求書発行事業者の登録を受けていた被相続人から相続を受け、事業を承継した場合に、適格請求書等保存方式において必要となる手続きや、適格請求書発行事業者の登録の効力についてはどうなるのか疑問が生じますところですが、この場合、被相続人の死亡が2023年10月1日よりも前か、以後かによって、その取扱いが異なりますので、該当されます方はご注意ください。

 まず、2023年10月1日から登録を受けることとされていた事業者が、2023年10月1日よりも前に死亡した場合は、登録の効力は生じませんので、相続により事業を承継した相続人が、適格請求書発行事業者の登録を受けるためには、登録申請書を提出する必要(相続人が既に登録申請書を提出していた場合を除く)があり、その相続人が、2023年10月1日から登録を受けようとする場合は、2023年9月30日までに登録申請書を提出する必要があります。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和5年7月14日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

コラム 2023月09月5日

《コラム》ストックオプションへの課税Q&A最終改訂版が公表されました

◆ストックオプションへの課税Q&A公表
 2023年5月29日に国税庁と経済産業省によるストックオプション税制説明会が開催されました。信託型ストックオプションについては行使時に給与課税として処理される旨が説明されましたが、その際に話題にあがった、税制適格ストックオプションの権利行使価額の設定に向けた株価算定方法についても、国税庁が公表したストックオプションに対する課税(Q&A)の中で、具体的にいくつかのパターン例をあげて詳しく説明されています。

◆今回の公表でより明確になったポイント
 1つ目に純資産法による株価算定は原則前期末B/Sベースの純資産について算出するものとされました。しかし、以下のケースでは利用不可で仮決算が必要と明記されました。
・付与契約日が直前期末から6か月を経過し、かつ、その日の純資産価額>直前期末の純資産価額の2倍の場合
・直前期末からストックオプション付与契約日までに株式発行している場合
 2つ目に1円でのストックオプション発行が可能と明示されました。スタートアップでは、会社全体の純資産が正でも、黒字化していても、ベンチャーキャピタルから優先株で資金調達をしている場合では、累積調達額を差し引いた純資産はマイナスになることが多く、国税庁が示す純資産法の計算によっては、行使価格1円の適格ストックオプションも設計可能になると思われていましたが、その理解で問題ないことが明記されました。
 3つ目に過去に発行した税制適格ストックオプションの再利用について明示されました。原則として、契約で定めた事項を変更した場合には税制適格ストックオプションに該当しないこととなります、としているものの、一定の条件のもと権利行使価額を引き下げる契約変更を認める旨が明示されています。

コラム 2023月08月29日

《コラム》相続に関わる手続上の期限

◆3か月(熟慮期間)以内に
 相続が発生した場合、相続人は相続の開始及び自己が相続人であることを知ってから3か月(熟慮期間)以内に単純承認・相続放棄・限定承認の中からどれかを選択しなければなりません。熟慮期間の間に相続放棄または限定承認がされなかった場合は、単純承認したとみなされます。また、3か月の熟慮期間中に被相続人の預金から現金を引き出して使うなどの行為があった場合は、単純承認をしたとみなされ、相続放棄や限定承認を選択することができなくなります。

◆4か月以内に
 相続人は、被相続人の相続開始年の1月1日から死亡の日までの期間の所得金額及び所得税額を計算して、相続の開始があったことを知ってから4か月以内に準確定申告書を提出し、納税をしなければなりません。

◆10か月以内に
 被相続人からの相続による取得財産に係る課税価格の合計額が、遺産に係る基礎控除額を超える場合、その財産を取得した人は、相続の開始があったことを知った日から10か月以内に、相続税の申告書を提出し、納付をしなければなりません。

◆1年以内に
 遺留分侵害額請求権は、遺留分権利者が相続の開始及び遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から1年間で時効により消滅します。

◆3年以内に
 令和6年4月以後は、所有権の登記名義人について相続の開始があった時は、その相続により所有権を取得した者は、相続の開始があったことを知り、かつ、所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転の登記申請をしなければなりません。遺産分割で所有権を取得した際は、分割の日から3年以内の登記申請も義務づけられています。

◆10年以内に
 令和5年4月以後は、遺産分割協議に関して、特別受益と寄与分の主張をすることができる期間を相続開始の時から10年とするという内容の期限が設けられており、その結果、遺産分割協議に実質的に10年の期限が設けられることになりました。相続人全員の同意がない限り、法定相続分でしか遺産分割することができなくなりました。

税務トピックス 2023月08月27日

事業承継税制の延長を検討

 自社株を後継者に贈与・相続する際の税負担を実質ゼロにする「事業承継税制」の特例について、政府が延長を検討することが分かりました。経営者の高齢化に対応し、円滑な承継を後押しするのが狙い。現行制度では、特例の適用を受けるための申請期限は来年3月末になっています。

 事業承継税制の特例は、2018年度税制改正で時限措置として新設されました。従来の同税制では、自社株を相続によって引き継いだときに税負担が免除されるのは株式の3分の2のさらに8割にとどまっていたところを、特例では株式の全てについて納税猶予を認め、事業を続ける限りは税負担がゼロになりました。またそれまでは税優遇を利用できるのは現社長から後継者1人に対する自社株の引き継ぎのみでしたが、特例では最大3人まで後継者を選ぶことができ、現社長以外からの株の引き継ぎについても対象となるなど、使い勝手が向上しました。それまで同税制の申請件数は年間400件程度でしたが、特例で年間6千件まで増加しています。

 現行の特例措置は27年末までの自社株引き継ぎが対象で、その前提として特例承継計画を作成して24年3月末までに提出する必要があります。経産省は計画提出までの期限が1年を切ったことを受け、今夏の税制改正要望で、期限延長を求める方針。具体的な延長幅は、年末にかけて行われる与党内での改正論議で詰めるそうです。

 事業承継税制の特例については、創設当時の18年に宮沢洋一自民党税制調査会長が、「期限があるからこそ大胆なことができる。特例の期限を延長することはない」と発言したことがあります。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2023月08月22日

ふるさと納税の返礼品の〝格落ち〟必至

 任意の自治体に寄付すると住んでいる土地に納める税金が差し引かれる「ふるさと納税」制度について、返礼品をより厳しく規制するルールを総務省が公表しました。自治体間の返礼品競争を防止する狙いがありますが、返礼品の〝格落ち〟は必至です。

 総務省が発表した新たなルールは、①返礼品の送付に関する事務経費の対象を拡大、②肉と米については地場産品の条件を厳格化――の2点。

 ①については、これまでも返礼品の価額と事務経費を合わせた合計額を寄付金額の5割以下に収めるよう求めるルールがありましたが、この事務経費の対象が拡大されます。従来は返礼品調達費や送料、広報費などが対象でした。これに確定申告が不要となる「ワンストップ特例」の事務費、寄付の受領証明書の発行費なども含めることになります。同じ寄付金額に対して自治体が返礼品にかけられる経費の限度額が下がることになるため、寄付した納税者にとっては返礼品の内容が〝落ちる〟ことになります。

 また②については、加工品のうち熟成肉と精米についてのみ、原材料が同一の都道府県内産のみに限られるようになります。返礼品は地場産品に限られるものの、これまでのルールでは加工過程のみを地元で行っていれば地場産として扱われていました。

 多くの自治体では寄付金額の3割を占める返礼品の調達費に加え、配送料や民間ポータルサイトへの掲載料などを負担した結果、経費総額の5割を超えることも珍しくありませんでした。こうした経費が膨らみ、寄付が増えても自治体として赤字に陥ることもあったそうです。今回のルール見直しの狙いについて総務大臣は、「寄付金のうち少なくとも半分以上が寄付先の地域のために活用される」と説明しています。

<情報提供:エヌピー通信社>

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