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その他 2023月11月21日

【時事解説】好循環のインフレに転換できるか その2

 損益計算書的発想からすると、インフレの起点が重要です。デマンドプル型は先に需要が拡大しますから、まず売上高が起点となります。損益計算書のトップラインである売上高が増えれば、費用である賃金を増やしても利益の増加が期待できます。ですから、デマンドプル型は「需要拡大→賃金増加→需要拡大→」の好循環が起こるのです。

 一方、コストプッシュ型インフレでは売上高は変わらずに、原価や費用の増加が起点となりますから、利益を圧迫します。企業は利益を確保するために、まずその他の経費の削減を図ります。つまり経費の一項目である賃金には引き下げ圧力がかかります。それでも利益確保が難しいから、原価増大分を売上価格に転嫁しようとします。しかし、コロナ禍で現在の消費者需要は低迷し、将来を見通しても人口減から需要拡大は見込み薄であり、価格を引き上げると、数量減を招き、かえって売上高が減少してしまうかもしれません。したがって、単価引き上げは消費者の需要状況と競合他社の動向を見極めながら慎重に行わなければなりません。現状は、どんなに頑張っても、原価増加補填程度が精一杯であり、賃金増加分まではカバーできそうにありません(そこまで引き上げれば、今度は便乗値上げの批判を受けるでしょう)。

 つまり、コストプッシュ型インフレにおいて賃金を増加させ、そこから経済の好循環につなげることは容易ではなく、悪いインフレを良いインフレに転化させることはかなり難しいと予想されます。もしこの状況でインフレが深刻化すれば、不況下のインフレ、つまりスタグフレーションとなる可能性が高いと思われます。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

その他 2023月11月15日

女性社長 初の60万人超え

 2023年の全国の女性社長は61万2224人で、13年前の調査開始以降初めて60万人を超えたというデータを東京商工リサーチがとりまとめました。調査を開始した10年の21万2153人から緩やかな増加を続け、13年間かけて約3倍にまで増加しました。
 社長の中で女性が占める割合は14.96%で、前年から0.26ポイント上昇。緩やかではあるものの毎年上昇を続けています。

 同社は、政府や自治体が推進している女性の活躍促進に対する取り組みの成果と言えると分析。自身の起業で社長となった女性だけではなく、同族経営の事業継承で引き継いだ妻や娘も含まれていて、それらが増えたことも女性社長の増加の背景にあるとみています。

 女性10万人当たりの社長数は東京が2年連続で2千人を超えてトップ、大阪が続きました。一方、最少は新潟県の453人。ほか秋田県、山形県、島根県の計4県は500人を下回りました。

 政府は今年6月、男女共同参画会議で示した「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023」で、女性起業家を10年で20%まで引き上げる目標を掲げたものの、男女の役割分担に対する先入観から女性の社会進出を阻む原因はいまだに多く社会にはびこっています。社会意識をどこまで変えることができるかが、今後さらなる成長のポイントとなります。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2023月11月14日

《コラム》親子会社間での配当源泉不要

◆非上場株式の配当に係る源泉税
 親法人が受取る子法人からの配当等は所得税の課税対象であり、配当等の支払いをする子法人は、配当等の支払時にその配当等の額の20.42%(所得税及び復興特別所得税、子法人が上場株式発行企業の場合は15.315%)の源泉徴収をしなければなりません。その後、親法人が法人税の確定申告をする時に、源泉徴収された所得税について所得税額控除の適用を受けると、税額控除又は還付金の支払いがされます。

◆10月1日からの新制度
 この配当源泉徴収の取扱いについて、完全子法人株式等(持分割合100%)と関連法人株式等(持分割合3分の1超)に該当する法人からの配当等については、源泉徴収を不要とするとの法律・政令が今年(2023年)10月1日に施行されます。

◆配当での新規定の利便点
 なお、M&Aなどでの株式取得の場合で、株式取得から配当までの期間が短い時、持分割合100%の子法人からの配当であったとしても、上記特例の完全子法人株式等からの配当に該当しないことがあります。
 受取配当等の益金不算入の規定を踏まえて、配当等の額の計算期間の初日から計算期間の末日まで(1年超の場合は1年)の期間、引き続きその持分割合100%の株式を継続保有していることが必要との要件が付されているからです。
 ただし、関連法人株式等についての判定では、受取配当等の益金不算入の規定の6ヶ月間継続保有規定と異なり、配当支払者側での実務上の処理可能性への便宜的配慮として、配当等の額に係る基準日の状況で判定とされています。従って、完全子法人株式等に該当しなかったとしても、配当基準日の持株割合で関連法人株式等に該当すれば、結果的に源泉徴収不要にはなってしまいます。
 それから、100%や3分の1超の持分割合の判定は、受取配当等の益金不算入の規定が間接支配を経由したみなし直接支配で判定することにしているのと異なり、配当支払法人にとって直接100%や3分の1超の関係になっているかで判定するものとされています。
 支払配当の源泉徴収の要・不要の要点が実務処理への便宜の配慮に置かれていることが、推測されます。

税務トピックス 2023月11月7日

ゼロゼロ融資倒産が1千件突破

 新型コロナウイルス対策の「ゼロゼロ融資」を受けたにもかかわらず倒産に追い込まれた企業が、ついに1千件の大台を超えました。東京商工リサーチによると、8月の関連倒産は57件で4カ月連続の50件超えとなり、初めてゼロゼロ倒産が確認された2020年7月からの累計が1025件となりました。

 ゼロゼロ融資は、コロナ禍で急減な業績悪化に見舞われた中小・零細企業の資金繰り支援策として実施され、倒産抑制に効果をみせました。しかし副作用として過剰債務に陥った企業は多いのが実状です。ゼロゼロ融資の民間金融機関の返済がピークを迎え、「業績回復の目途が立たず息切れする企業が増えている」と東商リサーチは見ています。

 「ゼロゼロ融資」を利用した8月の倒産を業種分類別にみると、「飲食店」が7件で最多。コロナ禍で弱体化した経営状態に、材料や光熱費の高騰が追い打ちをかけました。また「社会保険・社会福祉・介護事業」も5件で2番目に多い業種となりました。コロナ禍でサービスの利用減少が損失拡大につながったとみられます。このほか、「総合工事業」が5件で同率2位に並び、「職別工事業」が4件で続きます。資材価格や外注費の高騰に加え、人手不足に伴う工期遅れや失注などが響きました。

 政府は今年1月、ゼロゼロ融資返済を見据えてコロナ借換保証を創設したほか、8月には金融庁が金融行政方針を発表し、資本性劣後ローンの活用などを含めた事業者支援の徹底を金融機関に促しました。ただ、こうした施策がどの程度の効果を発揮するのか、東商リサーチは「経営の疲弊した中小・零細企業に残された時間は少ない」とみています。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2023月11月7日

《コラム》日払い給料等の取扱い

◆日払い給料と即日払い給料
 最低賃金額の改定により、給料水準を見直す機会が多くなりますが、特に大きな影響を受けるのは、時給計算が主流となるパート・アルバイト等の非正規雇用者のお給料です。また、昨今の人手不足の影響もあり、自社への応募が増えるよう、他社との差別化を図るため、各企業は給料水準を引き上げることの他、給料の支払い方法を柔軟にするなどの工夫をするようになりました。その工夫の代表例が「日払い給料」と「即日払い給料」です。
 ところで「日払い給料」と「即日払い給料」の違いはお判りでしょうか。
 「日払い給料」とは給料計算の締めが1日単位である支払い方法をいい、必ずしも働いたその日に給料を支払う必要はありません。これに対して「即日払い給料」は日払い給料の一形態ですが、働いたその日に当日分の給料を支払う必要があります。

◆即日払い給料の注意点
 即日払い給料は、働いた当日にその支払いをする必要があるため、パート・アルバイト等の人から、領収証への捺印をしてもらうなど、給料を受取ったことの確認が必要になります。ですから、これらの人が印鑑を忘れた場合などは、その場での給料の支払いはできないことを事前に伝えておくことが重要です。また、その場合の給料の支払い方法によって、例えば後日郵送等で領収証等のやり取りが行われる場合には、郵便代等の諸経費をどちらが負担するかの取り決めも予めしておくことが必要です。
 さらに、交通費の取扱いについても注意が必要です。仮に交通費を支給しない場合には、パート・アルバイト等の人たちは日払いの給料から交通費を負担することになるため、当初の想定より低い手取りとなる場合があります。交通費の支給の有無も併せて事前に伝えましょう。
 このように「日払い」や「即日払い」の給料の支払には月払いとは異なる事務処理負担が企業にかかることがあります。とはいえこれらをおざなりにして、せっかく獲得した人材と後のトラブルになるのは避けたいところです。企業はこれら事務負担と人手の確保の両方を念頭に置き、バランスの取れた人事対策を行うことが必要になります。

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