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税務トピックス 2023月08月22日
国税庁が電子帳簿保存法に関する改正通達やQ&Aを公表し、法律で定められた保存要件を満たさなくてもよい「相当の理由」について解説しました。資金繰り難や人手不足による未対応を理由として認める一方で、新法に対応できる設備が伴っているにもかかわらず「経営者のポリシー」などによって対応しないようなケースは認めないとしました。
改正電帳法では、電子データで受け取った税務関係書類を紙に印刷して保存しておくことが税務上では認められず、電子データのままシステム上で保存しなければなりません。また保存に当たっても、検索性などの要件を満たす必要があります。しかし2023年度税制改正には、「相当の理由」があれば保存要件を満たさなくても法律違反とみなさない特例が盛り込まれました。税制改正大綱などではあくまでも「相当の理由があるとき」としか述べられていなかったため、具体的な内容について注目が集まっていました。
このほど国税庁が公表した改正通達やQ&Aによれば、電帳法の保管要件を満たさなくてもよいとされる「相当の理由」とは、「事業者の実情に応じて判断するものであるが、例えば、システム等や社内でのワークフローの整備が間に合わない場合等がこれに該当する」とのことです。さらにシステム整備が間に合わない理由としては、「資金繰りや人手不足等」も認められます。この猶予措置を適用するに当たって税務署への事前申請などの手続きは必要ありません。
一方で「相当の理由」として認められないケースとしては、「システム等や社内のワークフローの整備が整っており、満たすべき要件に従って保存できるにもかかわらず、資金繰りや人手不足等の理由がなく保存していない場合」が挙げられています。例えば「経営者のポリシー」というような漠然とした理由では認められないということです。またシステムの未対応といった事情が解消された後には、猶予は認められず保存要件を満たす必要があるそうです。同様に、社内のシステム更改に伴い要件を満たせなくなった場合や、書類の保管スペースの問題で出力書面を廃棄してしまったような場合も「相当の理由」には含まれません。
<情報提供:エヌピー通信社>
コラム 2023月08月15日
駐車場の賃貸借契約は、通常、1年~2年間の契約期間で作成されますが、インボイス制度(適格請求書等保存方式)の運用が始まる令和5年10月1日をまたぐ契約も多いのではないでしょうか。
◆駐車場賃貸は、消費税課税が原則
駐車場事業を経営する場合、砂利を敷く、ロープで区画割りする、アスファルト舗装するなど施設を整備して貸し付けます。施設の利用に伴って土地が使用される場合、消費税が課されます。課税事業者は、令和5年10月以降、賃貸借契約書や請求書、領収書等にインボイス(適格請求書)としての要件を備えさせて保存しなければなりません。
◆契約書を通知書で補完
契約書、請求書等をそのままインボイスとする場合、登録番号、税率10%に対応する税込価額または税抜価額、消費税額等の明記が必要ですが、令和5年10月前に作成する契約書には、これらの項目の記載は求められていません。そもそも、駐車場賃貸では、賃料の収受に際し、通常は請求書や領収証を交付しないでしょう。
そこで貸主のインボイス交付義務・保存義務(借主のインボイス保存義務)に対応させるため、請求書にかえて、駐車場事業者は、インボイス番号(登録番号)等を記載した通知書を別途作成して契約書を補完させて借主に交付すること、領収証にかえて、借主は銀行の支払記録と賃貸借契約書や通知書で補完する方法が国税庁のインボイス特設サイトに案内されています。
◆口座振替と口座振込
口座振替の場合、借主は、インボイス番号の通知書で補完された契約書とともに通帳(課税資産の譲渡等の日付が分かるもの)を併せて保存することにより、インボイス保存義務が満たされます。
口座振込の場合は、借主は、インボイス番号の通知書で補完された契約書とともに銀行の発行する振込金受取書を併せて保存することにより、インボイス保存義務が満たされます。
◆事務所賃貸、税理士、社労士も取扱いは同じ
なお、仲介会社の作成する令和5年10月以降の賃貸借契約にインボイス番号等の記載がない場合も上記の通知書で補完する対応が必要になります。また、この取扱いは、事務所賃貸はもちろん、税理士、社労士など士業が顧問先と締結する契約についても同様の対応となります。インボイス制度開始前に業務フローを確認しておきましょう。
税務トピックス 2023月08月15日
富裕層の相続税対策として活用されてきた「タワマン節税」について、国税庁はタワマンの相続税評価額を実勢価格の最低6割に引き上げる新たな計算ルールをこのほど提示しました。マンションの高層階ほど相続税が増える可能性があり、富裕層の節税策に大きな影響を与えそうです。新ルールは来年1月の適用スタートを目指します。
国税庁が提示した新たなルールは、マンションの階数や築年数などを基に評価額を補正して引き上げるというもの。築年数や所在階、総階数、専有面積などを基に「一室の評価かい離率」を算出し、これに現行の相続税評価額や最低評価水準である「6割」を掛け合わせて最終的な評価額を割り出します。6割の基準は、一戸建て物件の実勢価格と評価額の平均かい離率(1.66倍)に合わせて設定したそうです。
新ルールによっておおむね、実勢価格と評価額が大きく離れていた物件では、実勢価格の6割程度まで評価額が上がります。かい離率の高かった高層階ほど、これまでに比べて税負担が増えることとなります。
マンションは階数が変わったとしても住戸面積が同じなら相続税を算出する際の評価額が変わらないため、これまでは同じマンションのなかでも1階住戸の実勢価格が5千万円、同じ広さの30階の住戸が1億円で、相続税評価額はいずれも2千万円とすると、実勢価格に対する評価額の割合は1階住戸なら40%、30階住戸なら20%という差が生まれていました。これを利用し、相続を見込んでタワーマンションの高層階を購入しておき、相続税を納めた直後に高額で売却するという「タワマン節税」が流行していました。
こうした問題を受け、2023年度税制改正大綱では「相続税におけるマンションの評価方法については、相続税法の時価主義の下、市場価格との乖離の実態を踏まえ、適正化を検討する」と記載し、今年1月からは国税庁の有識者会議が新ルールを検討していました。
<情報提供:エヌピー通信社>
税務トピックス 2023月08月8日
国税庁はこのほど、オンラインで行う「リモート税務調査」の対象を拡大することを決めました。これまでは約500社の大企業に限定して試験的に取り組んできましたが、企業の要望や調査の効率化などの観点から、その対象を約3万4千社に広げます。
国税庁は昨年10月から新たな取り組みとして、全国の国税局調査部の特別国税調査官が所管する資本金40億円以上の大企業、いわゆる「特官所掌法人」の約500社のみを対象としてリモート調査を行ってきました。今後は調査対象を資本金1億円以上の企業、いわゆる「調査課所管法人」まで広げる方針。調査課所管法人は全国に約3万4千社で、大幅な対象拡大となります。
リモート調査の特徴は、当局が用意したシステムを利用して調査の全てがオンラインで完結することです。調査資料のやり取りもすべてオンライン上で行われ、当局が指定したオンラインストレージサービスに帳簿等の調査資料をデータのままアップロードすれば調査官と対面する必要はありません。また調査の全部ではなく一部のみをオンライン対応とすることも可能で、例えば資料はオンラインで提出し、聞き取り調査などは直接対面して行うということも認められます。
リモート調査では、企業は貸出用の機材を用意する必要がなく、長時間にわたって調査官と直接対面しなくてよいという点で心理的にも余裕が出てくるなどのメリットがあります。コロナ禍で行われた一部リモート調査でも企業側からは歓迎する声が多かったので、「非実地調査」化は納税者にとってよい面が多くあるようです。
ただ気をつけておくべき点も当然あって、リモート調査か実地調査かを選ぶのは最終的には当局。納税者の要望は聞くものの、必ず聞き入れられるとは限りません。さらにリモート調査になったのに、「調査の必要上、国税当局の判断により、臨場及び直接の対面での調査に切り替える」(国税庁)こともあり、準備が二度手間になってしまう恐れもゼロではないことは留意しておきたいところです。
<情報提供:エヌピー通信社>
コラム 2023月08月8日
◆今年の集計期間は3月末までに
国税庁は毎年、所得税等・消費税・贈与税の確定申告状況を報道発表しています。今年は久々にコロナウイルス関連での提出延長手続きが通常の申請となった影響で、令和3年分まで3年間、4月末までだった集計対象が3月末までとなっています。
所得税等の申告人数は前年比+0.4%の2,295万人、申告納税額は3兆6,801億円で、前年比-2.9%とのことです。
◆e-Tax利用はさらに増加
まず特筆すべきは自宅等からe-Taxで申告した方の数です。その数は税理士による代理送信を含めて1,075万7千人で、前年比+16.6%。国税庁は「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション」として、「あらゆる税務手続きが税務署に行かずにできる社会目指す」としており、成果が着実に表れてきているのではないでしょうか。
◆スマホ申告の台頭
自宅からスマートフォンを使ってe-Taxで申告した人は249万人で、令和3年と比較すると約1.6倍となっています。令和2年と令和3年の比較でも約1.5倍増加となっており、ここ数年はスマホで確定申告を行う人の増加が加速しています。確定申告作成コーナーにスマホで使いやすいデザインを導入、源泉徴収票はカメラで撮影すれば自動入力、青色申告決算書や収支内訳書がスマホからでも作成可能と、機能面を充実させた結果が出ているものと思われます。
◆申告にはマイナンバーカードが便利
自宅から納税者本人によりe-Taxで申告書を提出した592万人のうち、マイナンバーカード方式を利用した人は387万人。 マイナポータル連携により控除証明書等を取得した人は132万人で、令和3年から約4倍の増加です。
マイナポータル連携を行うと、生命保険料等の控除証明書や公的年金等の源泉徴収票、ふるさと納税や医療費等が入力の手間なく申告書作成画面に反映されるため、とても便利です。最近不祥事が報道されることの多いマイナンバーカードですが、確定申告においては、多くの人が便利に使いこなしているように感じられます。
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