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コラム 2024月09月24日

《コラム》交際費から除外される接待飲食費の金額基準

◆令和6年度の交際費に係る改正
 令和6年度税制改正により、交際費等の範囲から除外される接待飲食費の金額基準が1人当たり1万円以下(改正前5000円以下)に引き上げられました。物価高や経済活動の活性化の観点からの改正とのことから、従来のように事業年度単位での適用関係ではなく、税制改正法施行日の令和6年4月1日から即適用とされています。例えば、12月決算法人であっても、次期の期首日以降の適用ではなく、今期の期中中途である令和6年4月1日以後に支出する接待飲食費から、1万円基準で判定して適用することになっています。

◆交際費課税は決済日での判定ではない
 クレジットカード等での支払いの場合で、令和6年4月1日以後の支払いであったとしても、接待飲食等の行為があった時が同年3月以前である時は、1万円基準での判定とすることにはならず、従前の5000円基準で判定して、交際費の額を算定することになります。つまり、接待飲食等の実行日ベースで適用することになります。

◆法人規模別の交際費課税の内容
 因みに、交際費についての措置法の規定は、資本金百億円超の法人では全額損金不算入、資本金1億円超の法人では交際費のうちの接待飲食費の50%が損金算入、資本金1億円以下の法人では交際費のうちの接待飲食費の50%か、年800万円の定額控除限度額かが損金算入、とされています。

◆交際費での接待飲食費
 接待飲食費とは、得意先等を接待して行う飲食その他これに類する行為のために要する費用で、飲食代のほか、業務遂行や行事の際に差し入れる弁当代、飲食等のために飲食店等に直接支払うテーブルチャージ料やサービス料なども含まれます。
 交際費除外計算新基準の1万円は、1人当たりの接待飲食費の金額が1万円以下の場合での適用であり、1万円を超える場合は、1万円までが交際費除外対象となるのではなく、その全額が交際費等に該当するものとされます。

◆交際費除外計算のための適用要件
 接待飲食費の交際費除外の適用要件として次の事項を記載した書類の保存が要求されています。
一 飲食年月日
二 飲食参加者名と関係
三 飲食参加者数
四 飲食額、店名、所在地
五 飲食事実の明示事項

税務トピックス 2024月09月24日

相続土地国庫帰属制度の承認わずか

 相続人にとって〝負動産〟となってしまっている不要な土地を国に引き渡すことができる「相続土地国庫帰属制度」が2023年4月にスタートしましたが、今年7月末までに国有化されたケースは667件にとどまっていることが法務省の集計で分かりました。制度開始から今年7月末までの申請件数は2481件で、地目別では田・畑が930件、宅地が889件、山林が391件、その他が271件。このうち国庫への帰属が承認されたのは667件で、その内訳は宅地が272件、農用地が203件、森林が20件、その他が172件でした。

 申請が却下されたのは11件。その理由としては9件が「現に通路の用に供されている土地(施行令第2条第1号)」、2件が「境界が明らかでない土地(法第2条第3項第5号)」に該当したためだそうです。申請が不承認となったケースは30件でした。「土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地(法第5条第1項第2号)」(12件)、「国による追加の整備が必要な森林(施行令第4条第3項第3号)」(10件)などに該当したことが理由です。

 相続土地国庫帰属制度では、国による審査を経て承認が得られれば、所有者が10年分の管理費用として原則20万円の負担金を納め、相続した土地を国庫に引き渡すことができます。ただし、土地に建物が残っていたり、抵当権や賃借権が設定されていたりすると申請しても却下されます。このため審査の途中で承認の見込みがないと判断し、申請者が取り下げたケースも333件ありました。

 制度開始から約1年後にあたる今年3月末時点での申請件数は1905件で、国庫への帰属が認められたのは248件。却下は6件、不承認は12件、取下げは212件でした。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2024月09月17日

免税店で相次ぐ申告漏れ

 訪日外国人旅行者数が単月として過去最高を記録し、インバウンド需要が増加している中で、国税当局では不正な免税販売に厳しい監視の目を注いでいます。とくに「免税店」として常設運営されている大手百貨店各社の店舗に対しては、日本に住む外国人に本来は認められない免税販売を繰り返していたとして、調査による指摘・追徴が繰り返されています。最近でも消費税の免税要件を満たさずに物品を販売していたと判断された百貨店が国税局の税務調査を受け、過少申告加算税を含む計約5億7千万円の追徴課税を受けました。

 「免税店」では、外国人旅行者や2年以上外国に滞在する日本人ら「非居住者」が買い物をすると、消費税が免除されます。ただし、外国人であっても日本国内の事業所に勤務する人や6カ月以上日本で暮らす人は「居住者」に該当するので免税の対象とはなりません。こうした店舗を運営する事業者による免税販売は、観光などで訪日した外国人旅行者らが、自分で消費する目的で国外に持ち出す場合のみ認められています。

 冒頭の大阪国税局は、複数の店舗で日本の永住資格を持つ外国人客に免税販売していたケースがあったと指摘。2022年2月までの2年間に合計約50億円分の売上が免税要件を満たしていないと判断した模様です。百貨店業界ではこれまでも、免税要件を満たさない取引があったとして、消費税の申告漏れが指摘されるケースが相次いでいます。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2024月09月17日

暗号資産関連団体が税制改正要望

 暗号資産取引の関連団体が相次いで税制改正要望を政府に提出しました。要望の内容はおおむね一致していて、暗号資産の取引への課税を抑えるように政府に求めています。

 日本ブロックチェーン協会(JBA)は7月中旬、日本暗号資産取引業協会(JVCEA)と日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)は共同で7月末に要望書を政府に提出。暗号資産のさらなる取引拡大やビジネス環境整備に向けた改正を訴えました。

 暗号資産の取引で得た利益は雑所得として税率5~45%の7段階で課税されます。課税所得が4千万円以上で最高税率の対象となり、株式など他の金融商品の一律20%と比べて重くなることから、投資抑制の大きな要因となっています。

 そのため3団体は、税率20%での申告分離課税にすることを求めました。株式等と同様に、3年間の損失繰越控除も要望しています。

 また、相続した暗号資産を売却した際に相続税と所得税の負担が重くなることがあるため「取得加算の特例」の対象とすることを求めました。同特例は、相続後3年10カ月以内に相続資産を売却した時に相続額の一部を取得費に加えることで税負担を軽減する措置。他にも、暗号資産同士の交換の際の課税の撤廃もしくは法定通貨に交換した時点での合算課税などを要望しています。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2024月09月10日

《コラム》同族会社が借主の場合の権利金の認定課税

 令和6年度の路線価が公表され、全国的に地価が上昇するなか、不動産活用に着目している人もいるのではないでしょうか。土地所有者が自分の主宰する同族会社を使ってアパート経営する場合、同族会社が借地に建物を取得すると借地権が生じます。

◆権利金の認定課税
 土地使用の対価として権利金を収受する慣行のある地域では、同族会社は地代のほかに権利金の支払が必要となります。
 権利金の目安は、更地の価額に借地権割合を乗じた金額となりますが、同族会社にとって相当な負担になります。そこで土地を無償又は低い地代で賃貸すると、同族会社の受贈益に権利金の認定課税を受けることがあります。

◆法人の受贈益には課税される
 そもそも権利金の認定課税は、土地所有者と密接な関係にある同族会社であるからこそ生じます。第三者に土地を貸すときは、権利金を必ず収受するでしょう。税法は法人が営利を追求する存在としてとらえます。同族会社も法人である以上、第三者と同等、営利を追求すべき存在にかわりはなく、無償や低い地代で経済的利益を受けた場合にも課税の対象とするわけです。

◆認定課税を回避する2つの方策
 認定課税を回避する方法は2つあります。一つは、借りた土地を将来、無償で所有者に返還することを契約書に定め、「土地の無償返還に関する届出書」を所有者、借地人の連名で税務署に提出しておくことです。
 もう一つの方法は、権利金の支払に代えて相当の地代(自用地価額の年6%相当額)を支払うことです。

◆権利金と相当の地代の関係
 権利金と相当の地代は、建物を建てるために土地を他人に貸したことにより、所有者がその土地を自由に利用できなくなる不利益に対して借主に見合う負担をさせるものです。したがって認定課税を回避するには、借主は権利金を支払うか、相当の地代を支払うか、両方を組み合わせるかを選択します。相当の地代より低い地代を設定すると、権利金の額との見合いで差額に権利金の認定課税が行われます。

◆借地契約の確認を忘れずに!
 同族会社に借地権があるか契約内容を確認しましょう。契約書を交わしていない、地代が近隣相場と比べて少額、そもそも当事者に土地を貸す意思がなかったなどの場合は、自用地評価とされるかもしれません。

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