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税務トピックス 2023月08月1日

「マルサ」の調査は何が違う?

 国税庁が2022年度の査察調査の実績を公表しました。コロナ禍で調査が減少した前年から告発件数、脱税額ともに大幅に増加して、告発率も74.1%と約15年ぶりの高水準を記録しています。

 「税務調査」という場合は通常、国税通則法74条の2に規定された「質問検査権」の行使を指すことがほとんどです。同条によって調査官は納税者に質問でき、帳簿書類の検査や提出を求めることも可能となっています。しかし、故意に不正な手段を用いて巨額の税を免れる行為に対しては、税額の誤りをただすだけでなく、刑事上の責任を追及して刑罰を科すことも求められます。通常の調査では実態究明が難しいので、より強制的な権限で調査を行い、告発にこぎ着けます。これが査察調査、通称「マルサ」といわれるものです。

 マルサは通常の税務調査では認められていないような、令状を手に脱税犯の家宅などに踏み込み、強制的に帳簿を調べ、必要とあれば金庫を無理やり開けることも許されます。納税者の同意を得ながら行う通常の調査とはまったく異なり、むしろ犯罪捜査に近いのが実態です。

 今でこそ査察調査の法的根拠は、通常調査と同じ国税通則法に規定されていますが、数年前までは国税犯則取締法という独自の法律によって運用されていたことからも、その違いがうかがえるでしょう。コロナ禍となってから急増している調査の対象になることのないように、問題のない税務申告をすることが求められます。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2023月08月1日

《コラム》職場つみたてNISAと賃上げ税制

◆事前照会に対する文書回答
 国税局は、納税者や同業者団体から個別の取引等に係る税務上の取扱いについての照会に対して、文書による回答をしています。今年3月に金融庁から照会があった事例を国税庁Webサイトで公表をしていますが、内容としては従業員に対して職場つみたてNISAの奨励金を給付した場合、賃上げ促進税制の対象になる「給与等」に該当するか、というものです。国税庁は「その考えで差し支えない」と回答しています。

◆職場つみたてNISAとは?
 職場つみたてNISAは、事業主が証券会社などのNISA取扱い業者と契約して、希望する従業員の給与から毎月天引き、もしくは口座振替をした金額を特定の金融商品に投資していく福利厚生制度の1つです。従業員からすれば職場という身近な場で資産形成ができ、企業にとってはあまり導入コストをかけずに福利厚生制度が導入できるメリットがあります。今時の財形貯蓄、と言っても良いでしょう。

◆賃上げ促進税制とは?
 賃上げ促進税制は、前年度より給与等を増加させた場合に、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度です。中小企業の場合、雇用者給与等支給額が前年度と比べて1.5%以上増加(大企業の場合は3%以上増加)で適用ができ、支給額が前年比2.5%(大企業4%)以上、教育訓練費が前年比10%(大企業20%)以上増加している場合は税額控除率が上乗せされます。

◆会計上「福利厚生費」でも給与等
 職場つみたてNISAを導入するにあたって、奨励金を事業主が出す場合、会計上はどのような科目で費用計上するかは限定されていないため、給与以外の例えば福利厚生費として費用計上することもできます。ただし、奨励金の性質から鑑みれば、これは賃上げ促進税制の対象になる「給与等」に該当しますよね? というのが金融庁の照会内容です。国税庁も「その通りです」と答えているため、奨励金も含めて賃上げ促進税制の給与等の増加額を計算して良いということです。なお、給与等に該当するため、支払い額には所得税がかかります。

税務トピックス 2023月07月25日

司法取引5年間で3件のみ

 他者が関わる犯罪について供述する引き換えに罪を軽減できる「司法取引」制度が、6月で開始5年を経過しました。脱税なども対象となることから、会社ぐるみの脱税などでの司法取引が増えることも予想されましたが、今までに取引が行われたのは、日産自動車のカルロス・ゴーン元会長の不正疑惑に加え、贈賄事件や都内アパレル企業の業務上横領の3件のみです。直近3年間に至ってはゼロとなっている状態。組織犯罪や大規模な汚職事件の解明に役立つと期待された同制度ですが、その実情は振るわないものとなっています。

 適用3件目となった業務上横領の判決で裁判長が語った「司法取引によって得られた情報の信用性の判断に際しては、相当慎重な姿勢で臨む必要があると考えられる。極力、争点の判断材料としては用いない」という言葉は、自己保身のための供述にはウソが含まれやすいとの見解です。さらに、制度の意義そのものに疑問を投げ掛ける言葉でもあるでしょう。取引で得た情報が裁判の証拠にならないのであれば、情報提供した本人が不起訴になるだけという「やり得」になるからです。

 司法取引は制度が軌道に乗れば全国の検察、そして警察へと利用範囲を拡大する予定でしたが、現状は東京地検特捜部の3件のみ。昨年には現行の司法制度の問題点を議論するための協議会を法務省内に設置しましたが、司法取引の見直しに向けた検討は進んでいないのが現状です。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2023月07月25日

コロナ禍で電子申告が急拡大

 確定申告をする人がコロナ禍で密を避けようとした結果、電子申告が急激に普及拡大していることが明らかになりました。コロナ前の2019年からの推移をみると自宅から電子申告をした人は5倍超に増え、スマホ申告は申告環境が整ったこともあって4年で200倍以上に増加しています。

 国税庁が公表した2022年分の所得税・贈与税等の確定申告の状況によれば、確定申告をしたのは2295万人で前年から0.4%微増しました。特筆すべきは、e-Taxを利用する人の増加。国税庁によれば、国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーや会計ソフトなどで自宅から申告をした人は592万人で、前年から約1.3倍、コロナ禍前の18年からは約5倍に増加しています。かつては税務署などの会場まで行って職員のサポートを受けながら申告をする人が多かったのですが、昨年に両者の割合は逆転し、1年でその差は約2倍にまで拡大しました。

 さらにパソコンではなくスマートフォンから申告をする人の増加も著しい状況となっています。22年分にスマホ申告をしたのは249万人で、前年比1.6倍、4年前に比べると200倍以上に増えています。スマホ申告を巡る納税環境は年々向上していて、それに併せてコロナ禍で自宅から申告したいと考える人が増えたことが背景にあるとみられます。

 スマホ申告の普及の一因となっているのが、マイナンバー制度。最大2万円分のポイントを還元するキャンペーンもあり、マイナンバーカードの普及率は急増しました。そのマイナンバーカードを使って確定申告をした人は387万人に上り、前年から1.8倍増。マイナンバーカードとスマホを組み合わせて申告した人は179万人で、こちらは前年比2倍、4年前に比べると約30倍に激増しました。また各種控除証明書をマイナポータル経由で取得した人も増え、こちらは132万人と前年比4倍に伸びています。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2023月07月18日

《コラム》基準期間で判定が原則だが納税義務免除の特例の色々

◆原則規定
 消費税においては、その課税期間の基準期間における課税売上高が1000万円以下の事業者については、納税義務を免除することとされています。
 新規設立法人については、設立1期目および2期目の基準期間はありませんので、原則として納税義務が免除されます。なお、設立3期目以後の課税期間における納税義務の有無の判定については、原則どおり、基準期間における課税売上高が1000万円を超えるか否かで行うこととなります。

◆特例1 特定期間に係る納税義務
 但し、その課税期間の基準期間における課税売上高が1000万円以下であっても、その課税期間の前課税期間開始の日以後6ヶ月の期間(特定期間)における課税売上高が1000万円を超える場合、その課税期間の納税義務は免除されず、課税事業者となります。(なお、特定期間における1000万円超か否かの判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます)。これは、特定期間に係る納税義務の免除の特例と言われています。

◆特例2 新設法人の納税義務
 さらに但しですが、新設法人(社会福祉法人等を除きます。)のうち、その事業年度開始の日における資本金の額または出資金の額が1000万円以上である場合は、その設立1期目及び設立2期目の納税義務は免除されず、課税事業者となります。これは、新設法人の納税義務の免除の特例と言われています。

◆特例3 特定新規設立法人の納税義務
 さらにさらに但しですが、資本金1000万円未満の新規設立法人(社会福祉法人を除きます)のうち、その事業年度開始の日において、その法人の株式・出資の5割超を直接又は間接に保有する法人及び完全支配関係法人グループの中に、その新規設立法人のその事業年度の基準期間に相当する期間の課税売上高が5億円を超える法人がある場合は、その設立1期目及び設立2期目の納税義務は免除されず、課税事業者となります。これは、特定新規設立法人の納税義務の免除の特例と言われています。
 これらの納税義務免除の特例に該当する場合には、これらに「該当する旨の届出書」を所轄税務署長に提出することとされています。

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