お知らせ/トピックスTOPICS

その他 2023月11月28日

【時事解説】エネルギー安定供給と脱炭素を両立させるCCSとは その1

 脱炭素は世界共通の課題で、各国様々な取り組みを講じています。中でも、温暖化防止のため、火力発電を削減しようという動きが広まっています。2021年、COP26(国連気候変動枠組み条約締約国会議)では、気温上昇に歯止めをかけるため石炭火力発電を削減する方向が決まりました。
 というのも、発電の中で最もCO2の排出量が多いのは火力発電です。ただ、CO2を削減しようと火力発電をやめて、太陽光発電だけにすると、電力を賄いきれず電力供給に問題が生じる恐れがあります。

 そんな中、注目を集めているのがCCSです。これは、Carbon Capture and Storageの略で、日本語では「CO2の回収・貯留」となります。具体的にいうと、火力発電などで出されるCO2を回収して地中に埋める脱炭素技術を指します。この方法により、大気中へ放出されるCO2を減少させることができます。CCSは既存の火力発電施設を稼働し続けられるため、エネルギー安定供給と脱炭素を両立させる技術として期待されています。回収されたCO2は地中に封じ込められ、最終的には岩と反応し鉱物を形成します。あるいは、塩水に徐々に溶かす方法もあります。

 近年では、回収したCO2を化学品原料などへ再利用する「CCUS」への期待も高まっています。CCUSの具体例を挙げると、回収した炭素をカーボンナノチューブという素材の成分に変え、それをリチウムイオン電池や電子機器、自動車部品の素材として用いる方法があります。
 また、手法の一つとして、EOR(原油増進回収)は、古い油田にCO2を注入することで、油田の寿命を延ばせるようにもなります。

 削減しきれないCO2を地中に貯蔵するCCSは、カーボンニュートラルの実現に不可欠といわれています。今後、世界各国における取り組みは活発化しそうです。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

その他 2023月11月28日

【時事解説】エネルギー安定供給と脱炭素を両立させるCCSとは その2

 脱炭素技術の中で注目を集めるCCS(CO2の回収・貯留)。火力発電などで出されるCO2を回収して地中に埋める脱炭素技術です。既存の火力発電を稼働しながらCO2を削減するため、エネルギーの安定供給と脱炭素を両立させると期待が寄せられています。

 日本は国内に貯留候補地が多くあるといわれていますが、普及に向けては安全性について地元自治体の理解が不可欠です。現在、海外貯留の実績を積み重ねており、これが自治体との調整に好材料となり、貯留促進の追い風になるとみられています。

 政府の支援も追い風の一つです。政府はCCSについて、技術研究、パイロット事業支援へ乗り出す方針を打ち出しています。CCSに関する事業法の整備も進められています。

 すでに、三菱重工業や大阪ガス、JERAなど、多数の企業が事業に乗り出すことが報じられています。

 日本の強みは一貫したCCSのバリューチェーンを有している点です。CCSの工程は、二酸化炭素の分離回収から始まり、液化輸送、CO2パイプライン、貯留、そしてトータルエンジニアリングなど、様々な要素で構成されています。日本はCCSのそれぞれの工程において様々な技術を有しています。

 世界全体では、欧州、英国などが国による支援をもとに導入支援段階に入っています。また、米国では、インフレ抑制法(IRA)により、エネルギーや気候変動分野を支援する方針が打ち出され、CCSへの補助金も増加しています。この中、米石油最大手のエクソンなど、事業に取り組む企業が多数報じられています。コスト面などまだまだ課題は残りますが、各国とも、本格的な実用化に向けた課題の解消を目指しています。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

その他 2023月11月21日

【時事解説】好循環のインフレに転換できるか その1

 ようやく我が国もインフレが到来しました。ただ、日銀は、今のインフレは「悪いインフレ」であり、それを「良いインフレ」に転化できるようにしたいとして金融緩和を維持しています。
 インフレはその発生の違いにより、以下の2種類に大別されます。強い需要が物価を引き上げる「デマンドプル型」と、供給側の商品の原材料価格上昇が物価を押し上げる「コストプッシュ型」です。

 デマンドプル型は需要が需要を呼ぶ形でインフレを起こします。その結果、経済が拡大し、更なる物価上昇を呼ぶという、経済の好循環を引き起こします。
 一方、コストプッシュ型は原材料価格上昇が物価を押し上げます。原材料等の仕入価格が上昇すると、企業の利益を圧迫します。利益確保のため、まずは経費削減に努力しますが、それも限界となり、やむをえず商品価格を引き上げます。コストプッシュ型インフレでは経済の好循環は期待できません。
 デマンドプル型は経済の成長過程で生じる「良いインフレ」ですが、コストプッシュ型は国民生活が一層苦しくなる「悪いインフレ」となります。

 日銀はマネー流通量を飛躍的に増加させることでマネーの相対的価値を減少させ、モノの需要を活性化させることにより、デマンドプル型インフレを惹起させようとしてきました。しかし、今のインフレはコストプッシュ型です。原油を筆頭に、鉄、木材などの資材価格は上昇傾向にあり、さらに円安は輸入原材料価格の上昇に拍車をかけます。

 これは明らかに悪いインフレとなりますが、当初は悪いインフレでも、それを良いインフレに転化できればいいのではないかという議論も見受けられます。良いインフレと悪いインフレを分かつポイントは、物価の上昇に伴い賃金が増加するかどうかです。その点を会計的視点から見ていきましょう。(つづく)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

その他 2023月11月21日

【時事解説】好循環のインフレに転換できるか その2

 損益計算書的発想からすると、インフレの起点が重要です。デマンドプル型は先に需要が拡大しますから、まず売上高が起点となります。損益計算書のトップラインである売上高が増えれば、費用である賃金を増やしても利益の増加が期待できます。ですから、デマンドプル型は「需要拡大→賃金増加→需要拡大→」の好循環が起こるのです。

 一方、コストプッシュ型インフレでは売上高は変わらずに、原価や費用の増加が起点となりますから、利益を圧迫します。企業は利益を確保するために、まずその他の経費の削減を図ります。つまり経費の一項目である賃金には引き下げ圧力がかかります。それでも利益確保が難しいから、原価増大分を売上価格に転嫁しようとします。しかし、コロナ禍で現在の消費者需要は低迷し、将来を見通しても人口減から需要拡大は見込み薄であり、価格を引き上げると、数量減を招き、かえって売上高が減少してしまうかもしれません。したがって、単価引き上げは消費者の需要状況と競合他社の動向を見極めながら慎重に行わなければなりません。現状は、どんなに頑張っても、原価増加補填程度が精一杯であり、賃金増加分まではカバーできそうにありません(そこまで引き上げれば、今度は便乗値上げの批判を受けるでしょう)。

 つまり、コストプッシュ型インフレにおいて賃金を増加させ、そこから経済の好循環につなげることは容易ではなく、悪いインフレを良いインフレに転化させることはかなり難しいと予想されます。もしこの状況でインフレが深刻化すれば、不況下のインフレ、つまりスタグフレーションとなる可能性が高いと思われます。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

その他 2023月11月15日

女性社長 初の60万人超え

 2023年の全国の女性社長は61万2224人で、13年前の調査開始以降初めて60万人を超えたというデータを東京商工リサーチがとりまとめました。調査を開始した10年の21万2153人から緩やかな増加を続け、13年間かけて約3倍にまで増加しました。
 社長の中で女性が占める割合は14.96%で、前年から0.26ポイント上昇。緩やかではあるものの毎年上昇を続けています。

 同社は、政府や自治体が推進している女性の活躍促進に対する取り組みの成果と言えると分析。自身の起業で社長となった女性だけではなく、同族経営の事業継承で引き継いだ妻や娘も含まれていて、それらが増えたことも女性社長の増加の背景にあるとみています。

 女性10万人当たりの社長数は東京が2年連続で2千人を超えてトップ、大阪が続きました。一方、最少は新潟県の453人。ほか秋田県、山形県、島根県の計4県は500人を下回りました。

 政府は今年6月、男女共同参画会議で示した「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023」で、女性起業家を10年で20%まで引き上げる目標を掲げたものの、男女の役割分担に対する先入観から女性の社会進出を阻む原因はいまだに多く社会にはびこっています。社会意識をどこまで変えることができるかが、今後さらなる成長のポイントとなります。

<情報提供:エヌピー通信社>

お問い合わせCONTACT

お気軽にご連絡ください。初回のご相談は無料です。

確定申告・相続税対策、起業・経営支援まで
大森駅より徒歩3分 品川区・大田区で税理士をお探しの方へ

〒140-0013 東京都品川区南大井6丁目26番1号 大森ベルポートA館9階
JR京浜東北・根岸線快速「大森駅」北口より徒歩3分/京浜急行線「大森海岸駅」より徒歩4分

03-5471-0751平日10:00~17:00 無料相談窓口