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コラム 2022月12月27日

《コラム》消費税の基本 簡易課税制度とは?

◆かかったとみなされる仕入れ税額
 納める消費税の額は、原則1年間に実際に預かった消費税から、事業者が実際に支払った消費税を差し引いて求めますが、仕入れ先などに支払った消費税を一つずつ計算するのは大変です。簡易課税制度は、中小事業者の納付事務負担に配慮する視点から、事業者の選択により売上に係る消費税額を基礎として仕入れに係る消費税額を算出することができる制度です。

◆事業区分とみなし仕入率
 簡単にいうと「売上に係る消費税の何%かを仕入れに係る消費税として計算して良い」という制度です。みなし仕入率は業種によって定められています。
第一種 卸売業(みなし仕入率90%)
第二種 小売業(みなし仕入率80%)
第三種 製造業(みなし仕入率70%)
第四種 その他(みなし仕入率60%)
第五種 サービス業(みなし仕入率50%)
第六種 不動産業(みなし仕入率40%)
 簡易課税制度は基準期間(前々年・前々事業年度)における課税売上高が5,000万円以下の課税期間について、原則として適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出している場合に適用することができます。

◆インボイス制度と簡易課税選択届出書
 インボイス制度は請求書等に登録番号が必要になりますが、簡易課税制度そのものの仕組みは廃止されず、特に変わりません。今まで免税事業者であった中小企業者が移行先に考えるのも簡易課税制度となることが多いでしょう。
 インボイス制度開始の令和5年10月1日に向けて、免税事業者が課税事業者になる場合の消費税簡易課税制度選択届出書についても、経過措置が設けられています。選択届出書をインボイスの登録日の属する課税期間中に、その課税期間から簡易課税の適用を受ける旨を記載し提出した場合、その年の初日の前日に届出書を提出したものとみなされて、インボイスの登録日から簡易課税制度が適用されます。

コラム 2022月12月20日

《コラム》副業が事業所得となる基準

副業の事業所得と雑所得の区分について、国税庁は、令和4年8月に実施したパブリックコメントの結果を公表し、あわせて税務の取扱いを示す通達を改正しました。

◆帳簿の記録と保存が必要
 寄せられた約7,000件の意見に対し、国税庁が示した基準は、収入金額にかかわらず、帳簿の記録、保存があれば、一般的に、営利性、継続性、企画遂行性を有しているので、概ね事業所得になるとしています。パブリックコメントでは、収入金額300万円以下の副業は、反証のないかぎり雑所得としていましたので、300万円基準がはずされたことは朗報です。

◆社会通念上、事業と称するに至る程度
 しかし、改正通達では、帳簿の記録、保存がされたとしても、「社会通念上、事業と称するに至る程度」で業務が行われていることとする基準は残されています。
 通達の解説には、次のような場合には、事業性を認めるか、個別に判断するとして2つの事例をあげています。
① 収入金額が僅少と認められること
 例えば、副業収入が、概ね3年間、300万円以下で、主たる収入に対する割合が 10%未満の場合をいいます。
② 活動に営利性が認められないこと
 例えば、3年程度赤字で、かつ、赤字を解消する取組みを実施していない場合、具体的には、収入を増加させ、所得を黒字にするための営業活動等を実施していない場合をいいます。

◆節税対策の副業には歯止め
 通達の解説から見える国税庁の意図は、営業活動を積極的に実施せず、わずかばかりの収入を事業所得の赤字として申告し、給与所得と損益通算している場合、これまでどおり、税務署が事業性の有無を個別に判断する姿勢を示したものといえます。

◆積極的に副業に挑戦する人には追い風
 一方、副業で自分のスキルを積極的に活用し、営業活動をしている人には、すぐに収入がなくても、事業性を認める是々非々の姿勢を示したものと思われます。
 岸田首相は、5年間で1兆円を投じる「人への投資」を掲げ、転職、副業の受入企業への支援を新設、拡充し、リスキリングから転職まで一括で支える制度の創設方針を示しました。積極的に副業に挑戦する人には、追い風となるのではないでしょうか。

コラム 2022月12月20日

《コラム》役員報酬の改定は新事業年度開始から3か月以内

◆取締役の報酬の改定(法人税法の観点から)
 取締役の報酬は、「定款に定めのないときは、株主総会の決議によって定める」と会社法で規定されています。これはお手盛りによる弊害を防ぐためです。
 さらに、法人税法では、役員(=取締役の他、税法上のみなし役員も含みます)に対する報酬は、定期同額給与でなければ損金算入されません。役員報酬の増減で法人の利益操作をすることを防止するためです。
 そして、その改定は事業年度開始の日から3か月以内にされたものでなければ損金不算入となります。

◆新報酬決定後の改定
 一般的には、定款の変更ではなく、決算承認が行われる定時株主総会で役員報酬の改定が決議されることになると思われます。そして定時株主総会は、会社ごとに決算を締める所要時間を鑑みて、たとえば2か月目の25日前後などと、ほぼ毎年同じ時期に開催されているものと思われます。
 もし、新規の大きな売上が発生し会社の利益増が予想できる場合において、1か月でも早く役員報酬の増額をしたいと考えたときには、定時株主総会を前倒しするか、臨時株主総会を開催して、新事業年度1か月目から増額した役員報酬を適用させることもできます。
 また逆に、存外に顧客の離脱(=顧客の倒産もままあります)が発生し、計画していた売上と利益が大幅に減るような事態となった場合にも、事業開始3か月以内であれば、減額改定もできます。
 この3か月という期限を超えた増・減額改定は、法人税法における損金不算入となります。
 しかしながら、個々の事情に照らし、税務上の取り扱いが判断されますので、業績等の悪化により役員給与の額を減額することをご検討の際は、顧問税理士とよく相談してください。

◆社会保険料月額変更の影響も考慮のこと
 役員報酬の増減は会社の損益に影響しますが、もしその増減の幅が大きければ(=社会保険の標準報酬の等級が2以上変動する場合)、会社負担の社会保険料の金額も増減します。そのため、役員報酬額の増減について検討する際は、社会保険料の増減の影響も踏まえた上でのシミュレーションが必要です。

税務トピックス 2022月12月13日

税法と民法で異なる「持ち戻し」

年末に決定する2023年度税制改正大綱に向けて、生前贈与の「持ち戻し」の期間を現行制度の3年から延長する案が浮上しています。持ち戻しとは、相続発生までの3年間に行われた生前贈与について、贈与ではなく相続によって得た財産として扱い、相続税を課すルールのこと。死期を悟ってからの駆け込み贈与による税負担の圧縮を防ぐために設けられています。

 覚えておきたいのは、この3年持ち戻しルールは、あくまで税法上の規定だということ。というのは、民法にも持ち戻しルールが存在するからです。
 民法の持ち戻しとは、特定の法定相続人への生前贈与があった時に、「遺産の前渡し」があったとしてその分を遺産に合算して遺産分割や遺留分の算定を行うというもの。相続税と似ていますが、こちらは3年ではなく相続発生までの10年間が対象となっています。かつては何十年前の贈与であっても対象とするという恐ろしい制度でしたが、さすがにそれはやり過ぎとの声が多かったためか、2018年に改正された民法によって10年間に短縮された経緯があります。

 なお税法、民法ともに、20年以上連れ添った配偶者への贈与については、持ち戻さなくてもよいとする優遇制度が設けられています。税法には以前からあったルールですが、民法では18年の民法改正時に、持ち戻し期間の短縮に併せて導入されました。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2022月12月13日

法人所得が過去最高の79兆円

2021事務年度(21年7月~22年6月)の法人税の申告所得は79兆円を超え、過去最高を記録したことが分かりました。コロナ禍から2年ぶりに持ち直した前年からさらに伸び、落ち込んでいた旅館・飲食などの業種も増加に転じています。コロナ禍からの持ち直しが数字に表れている状況です。

 国税庁が10月末に公表した最新の法人税申告事績によれば、21事務年度の法人税は申告件数が307万件で、申告所得金額は79兆4790億円でした。前年度から約9兆3千億円増加し、過去最高額となっています。申告税額も13兆9232億円と伸びました。ただし、税額は過去最高を記録したバブル期の1989事務年度の75%程度にとどまっているのが現状です。89年には本則40%だった法人税率が、第二次安倍政権下の法人減税によって23%台まで下がっていることが理由のひとつと言えそうです。

 黒字申告1件当たりの所得金額は7273万2千円で、赤字申告1件当たりの欠損金額は853万9千円でした。申告があった法人のうち、黒字割合は35.7%で、前年比で落ち込んでいた前年から立ち直っています。

<情報提供:エヌピー通信社>

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