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コラム 2023月06月13日
◆突然届いた「過料決定」書
「主文 被審人を過料金50,000円に処する。本件手続費用は、被審人の負担とする。理由 被審人は、左記会社の代表取締役に在任中平成31年3月31日取締役は退任し、法定の員数を欠くに至ったのに、令和4年3月〇日までその選任手続を怠った。適条 会社法976条・・・年月・裁判官名」
こんな書類が突然届いたらびっくりしますよね。裁判所からは何の連絡もなく、いきなり社長の自宅に郵便が届いたようです。
社長が電話で裁判所に問い合わせをしたところ、過料額(法令上では100万円以下)は、どの登記をどの期間懈怠(かいたい=やるべきことをやらず放置すること)したかによって変わってくるとの説明を受けたとのことでした。裁判所の説明内容を聞いたところ、対象と期間を考えると納得できるものではありましたが、この種の過料は普段から注意をするようにして、避けたいものです。
◆選任懈怠と登記懈怠
取締役の任期は原則2年、監査役の任期は原則4年です。非公開会社(株式譲渡制限会社)の場合、定款の規定でそれぞれ10年まで延ばせます。役員の任期が満了となるタイミングで役員を再任もしくは新任の選任をし、登記事項発生日から2週間以内に法務局に登記しなければなりません。
顧問の司法書士がいれば、任期が切れるタイミングでの選任と法務局への登記手続きを適時の対応と登記で懈怠となることは避けられます。中小のオーナー企業で役員の交代もなく、任期を10年にしている場合に、選任懈怠が多い傾向にあるようです。
◆過料発生以外の懈怠のリスク
任期満了による退任や辞任の登記をしないままでいると、登記簿上はその会社の役員であることになります。自分はその会社ともう関係がないと思っていても、登記簿上は役員である状態が続いてしまうと、会社に重大な損害が出てしまった場合などに経営陣の1人として経営責任を問われてしまう可能性があります。最悪の場合、多額の損害賠償となる可能性もあります。
役員の任期は毎年の定時株主総会に際して毎回確認するとともに、登記事項が最新の状態になっているかどうか定期的に登記簿謄本で確認するようにしましょう。
税務トピックス 2023月06月8日
今年10月に始まる消費税のインボイス制度について、3月末までに法人の消費税課税事業者のうち95%が登録申請をしたことが分かりました。インボイス制度では登録事業者でなければ税額票(インボイス)を発行できず、仕入税額控除を受けることができません。そのため、引き続き税額控除を行うためにほとんどの課税事業者が登録申請を行っている状況です。
国税庁がまとめたデータによれば、今年3月末時点でのインボイス制度への登録実績は、法人が182万8千件でした。そのうち課税事業者が168万1千件と、課税事業法人の約88%に当たります。申請ベースでみると割合は95%まで上がり、ほぼすべての課税事業法人がインボイス制度に登録するかたちになります。
一方で個人事業者を見ると、3月末までの登録実績は85万6千件、課税事業者だけに絞ってみても57万5千件で、これは全課税事業者のうち約53%に過ぎません。3月末の駆け込み申請が多かったようで、申請ベースをみると割合は約75%まで増えますが、課税事業者であっても4人に1人がインボイス登録を見合わせている状況です。
また免税事業者から課税事業者へ転換する個人事業者は3月末時点で28万1千件ありました。零細事業者も多いため免税事業者の実数を把握するのは困難ですが、それでも約150万件の課税事業者への転換が見込まれていることからすると、対応が遅れている状況といえそうです。
もともとインボイス制度では、今年10月の制度開始に間に合わせるためには3月末までの登録が必須とされていました。しかし申請ペースが上がらないことを受けてスケジュールが見直され、現在では直前の9月末までであれば、制度開始と同時にインボイス事業者となれることが決まっています。
<情報提供:エヌピー通信社>
お知らせ 2023月06月6日
相続で取得した土地が建物を建築できない敷地や郊外の利用価値の低い土地の場合、これまでは手放したいと思っても放置せざるを得ませんでした。しかし、このような土地でも要件に合えば、国に引き取ってもらえる相続土地国庫帰属制度が、令和5年4月27日から始まります。
◆国に帰属させる要件
相続土地国庫帰属制度は、相続又は遺贈で取得した土地について法務大臣の承認を得て負担金を納付することで利用できます。令和5年4月27日以前に相続した土地も対象になります。
ただし、次のような利用制限のある土地は申請できません。例えば、建物がある土地、抵当権や地上権、賃借権などが設定されている土地、通路など他人に使用されている土地、土壌汚染のある土地、隣地との境界が明らかでない土地など、これらの土地は制限を解消しないと申請できません。
また、一定の勾配や高さのある崖地、土砂災害のおそれのある土地、地上や地下に管理・処分を阻害する有体物がある土地、隣接地の所有者と争いがある土地などでは、申請しても承認を受けられない場合があるので注意しましょう。
◆土地の境界が明示されていること
相続土地国庫帰属制度の要件に該当するかは事前相談することができます。しかし、その前に、現地を見ておくことが必要です。申請の後、法務局の担当官が現地に赴き、境界がどこにあるかを確認します。長く放置された土地の場合、境界がすぐに判別できないこともあります。
審査にあたっては、申請する土地と隣接する土地との境界を明らかにする写真、土地の形状を明らかにする写真を用意しておくことが必要です。また、隣接地の所有者が認識している境界と相違がなく、争いがないことも要件になります。境界を確定させる場合には、土地家屋調査士など専門家に相談すると良いでしょう。
◆通路の用に供されていないこと
通路など他人の通行に使用されている土地は、相続土地国庫帰属制度の対象外となります。ただし、現在、通路や道路として使用されていなければ申請することができます。土地が実際にどのように利用されているかについても、事前に現地を確認しておきましょう。
税務トピックス 2023月05月30日
(前編からのつづき)
実地調査を適切に実施する一方、文書、電話による連絡や来署依頼による面接により申告漏れ、計算誤り等がある申告を是正するなどの「簡易な接触」も積極的に取り組みました。
簡易な接触件数は1万4,730件(前事務年度比8.0%増)、申告漏れ等の非違件数は3,638件(同16.1%増)、申告漏れ課税価格は630億円(同12.5増)、追徴税額は69億円(同7.2%増)となりました。
一方、申告・納税義務があるのに申告しない無申告事案は、前事務年度より24.7%多い576件の実地調査を行い、うち87.2%に当たる502件(前事務年度比22.7%増)から572億円(同25.8%増)の申告漏れ課税価格を把握し、74億円(同21.3%像)追徴課税しました。
また、海外資産関連事案についても、資料情報や相続人・被相続人の居住形態等から海外資産の相続が想定される事案などを積極的に調査しており、同事務年度において、660件(前事務年度比19.8%増)実地調査を行い、うち115件(同19.8%増)から海外資産に係る申告漏れ課税価格56億円(同63.0%増)を把握し、うち20億円が重加算税賦課対象となりました。
(注意)
上記の記載内容は、令和5年4月3日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
税務トピックス 2023月05月30日
国税庁は、2021事務年度(2022年6月までの1年間)における相続税調査の状況を公表しました。
それによりますと、資料情報等から申告額が過少と想定される事案や、申告義務がありながら無申告と思われるものなど6,317件(前事務年度比23.7%増)を実地調査した結果、うち87.6%に当たる5,532件(同23.6%増)から2,230億円(同24.9%増)の申告漏れ課税価格を把握したことが明らかになり、加算税74億円を含む560億円(同16.2%増)を追徴課税しました。
2021事務年度は、新型コロナ感染症の影響が弱まり、実地調査件数は増加した中で、大口・悪質な不正が見込まれる事案を優先して調査した結果、実地調査1件当たりでは、申告漏れ課税価格が3,530万円(前事務年度比1.0%増)と増加、過去10年で最高となり、追徴税額は886万円(同6.1%減)にのぼりました。
また、重加算税を賦課した件数は858件(同19.3%増)あり、その重加算税賦課対象額は340億円(同6.3%増)となりました。
(後編へつづく)
(注意)
上記の記載内容は、令和5年4月3日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
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