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コラム 2022月11月1日

《コラム》税務調査 新人調査官と再任用調査官

◆コロナ以降は調査件数減だが
 令和2年2月頃から感染が広がった新型コロナの影響で、令和元年分の所得税の確定申告期限の延長措置が取られ、本年においても令和3年分の期限延長が認められるなど、税務関係にも大きな影響が出ています。税務署の調査件数も令和2年度以降大きく減少しています。とはいえ、例年9月からは、調査件数が増える季節となります。
 調査に当たっては、原則として、納税者に対し調査の開始日時、場所・調査対象となる税目や対象期間などの事前通知が行われます。税理士事務所では、税務職員録で担当職員の経歴などが確認できます。

◆新人調査官、再任用調査官への対応
 今回は、新人調査官と再任用調査官の調査対応について考えてみます。
 新人調査官は、研修で得た知識を基に忠実に調査展開を図るあまり、臨機応変に効率的な対応ができない傾向が見受けられます。その結果として、調査の長期化にもつながる心配もあります。業種業態や経理実務に精通しているのは、納税者自身です。早期の調査終了のためにも、会社の新人社員に接するように指導、アドバイスするぐらいの心構えで臨まれるのがよいでしょう。
 再任用調査官(現在、税務職員の定年退職は60歳ですが、退職後、継続して最長65歳まで勤務する職員のこと)は、ベテラン調査官としてこれまでの調査経験も豊富です。現場で納税者から聴取したことや経理、帳簿等の状況確認から判断し、柔軟な対応と効率的な調査が行われると考えていいでしょう。定年後の継続雇用社員に接するような信頼感と経営者としての自信と自覚をもって臨まれるのがよいでしょう。

◆調査は、納税者の理解と協力の下
 税務署の職員による調査は、任意調査です。調査担当者には、「調査は納税者の理解と協力の下、実施する」ことが求められています。納税者の方々もそのことを理解した上で、調査に対応することが重要です。調査に非協力的な言動等行うことは、調査を長期化させることにつながる可能性もあります。仮に指摘事項があったとしても、関与税理士と十分に協議し、それが許容範囲であれば妥協点を見出すことによって、早期に調査を終了させることができると考えます。

税務トピックス 2022月11月1日

免税事業者との取引継続、わずか14%

 来年10月のインボイス制度(適格請求書等保存方式)開始後、「免税事業者と取引を続ける」としている企業が14%にとどまっているとの調査結果を日本商工会議所が公表しました。調査は全国の会員企業1265者から有効回答を得たもの。

 インボイス制度が始まると、適格請求書発行事業者として登録できない免税事業者からの仕入分について仕入税額控除が受けられなくなり、従来よりも消費税分だけ損することになります。制度開始後は経過措置が設けられており、免税事業者からの仕入であっても2026年9月までは80%、その後29年9月までは50%は控除可能。しかし29年10月以降は、免税事業者からの仕入について一律で控除できなくなります。

 日商の調査では、インボイス制度開始後の免税事業者からの仕入ついて「一切行わない」(8.9%)、「一部を除いて取引は行わない」(5.8%)、「経過措置の間は取引を行う」(13.7%)と、計28.4%の事業者が取引を見直す方針です。

 一方、「取引を行うかどうかの判断はしない」と、インボイス制度に関係なく取引を継続するとした事業者は14.1%にとどまりました。「まだ分からない」と方針が定まっていない事業者は54.6%と過半数を占めています。

 取引を見直すとした事業者の今後の対応予定としては、「インボイス発行事業者になるよう要請する」が最も多く64.8%。「知識習得等のサポートをする」(17.0%)、「自社の社員とする」(0.6%)と続いています。

 一方、免税事業者397者を対象にしたアンケートでは、課税事業者への転換に不安の声が目立ちました。課税事業者に変わることにより、「消費税負担により資金繰りが厳しくなる」(62.0%、複数回答)、「消費税分の価格転嫁が難しく、利益が減少する」(44.8%)と消費税の負担が経営に直撃すると懸念する声が多数を占めています。「請求書の様式変更等の事務負担に対応できない」(33.2%)と事務コスト増への懸念も続きました。また、「そもそも消費税制度を理解できていない」(19.6%)、「消費税申告等の手続きに対応できない」(14.9%)と税務上の知識が不足していて、事務処理や申告を外注するにしても「税理士等への依頼費用が負担となる」(7.1%)としています。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2022月10月25日

雇用調整助成金の支給額上限引き下げ

新型コロナウイルスの流行を受けて上限や助成率が引き上げられている「雇用調整助成金」について、厚生労働省は10月以降、助成金の上限額を引き下げることとしました。

 雇用調整助成金は、景気の変動や産業構造の変化などの経済的な理由によって事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的に雇用調整を実施して従業員の雇用を維持した時に受け取れる助成金のこと。「休業」、「教育訓練」、「出向」の3つのタイプがあり、新型コロナウイルスの流行を受けて、「休業」タイプの利用が増加しています。

 コロナ禍で、同助成金の助成内容は大幅に拡充されています。改定前の助成額の上限は中小企業であれば従業員1人1日当たり9千円で、助成率は10分の9。さらに「業況特例」として、最近3カ月の売上高が前年・前々年・3年前との同期比で30%以上減少していれば、助成額の上限は1日1万5千円、助成率は10分の10まで引き上げられることとなっていました。

 しかし厚労省が開いた審議会で、コロナ禍からの経済の回復が進み雇用情勢も改善しているとして、これらの上限額を引き下げることを決定しています。業況特例では、1日当たり1万5千円となっている上限を、1万2千円に引き下げ。またそれ以外では1日9千円となっている上限を、8355円に引き下げました。一方、助成率は現行基準を維持しています。

 上限の引き下げについて審議会では、委員から「第7波のなかではあるが、以前と比べ雇用への影響は抑えられている」など理解を示す声が上がった一方、「まだ影響が残る産業もあり、引き続き状況を注視し、必要に応じて対応していくべき」といった意見もありました。

 引き下げ後の基準は10月・11月の2カ月間運用し、12月以降については改めて検討するそうです。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2022月10月25日

《コラム》令和4年度地域別最低賃金

◆47都道府県で30円~33円の引き上げ
 令和4年地域別最低賃金改定額が中央最低賃金審議会で取りまとめられ公表されました。各都道府県労働局長の決定により10月1日より順次発令されます。
 地域別最低賃金は全国整合性を図るため目安額のランクを設けていますが、改定額を見て行くとAからDの47都道府県すべてが30円以上引き上げられ東京都は時給1,072円と最高です。
 最高額1,072円と最低額853円の金額差は219円です。低水準の地域の上げ幅が高まり差は少し縮まりました。

◆引き上げ額全国加重平均31円過去最高
 近年最低賃金は引き上げの流れが続いていていましたが、新型コロナウィルス禍からの経済再開が本格化し、各地で人手を求める動きが強まっています。賃金水準が高い地域に隣接する地域では、労働力の流出を抑えるための賃上げに動きます。さらに物価上昇も上乗せを後押しします。ただし最低賃金を上乗せしても物価高で手取りはあまり増えないという意見もあります。
 今後もデジタル活用、省力化等生産性向上に労使が努めることで賃上げは実現するのでしょう。

◆令和4年度の改定額は以下の通り
・30円改定
宮城 883円 福島 858円 群馬 895円
石川 891円 福井 888円 岐阜 910円
奈良 896円 岡山 892円 和歌山 889円
香川 878円 福岡 900円
・31円改定
東京 1072円 大阪 1023円 愛知 986円
千葉 984円 神奈川 1071円 埼玉 987円
北海道 920円 青森 853円 秋田 853円
栃木 913円 新潟 890円 富山 908円
長野 908円 静岡 944円 三重 933円
滋賀 927円 京都 968円 広島 930円
山口 888円 徳島 855円
・32円改定
山形 854円 茨城 911円 山梨 898円
兵庫 960円 愛媛 853円 佐賀 853円
長崎 853円 熊本 853円 宮崎 853円
大分 854円 鹿児島 853円
・33円改定
岩手 854円 鳥取 854円 島根 857円
高知 853円 沖縄 853円

コラム 2022月10月18日

《コラム》相続から3年以内の遺産分割

遺産分割協議が長引いても、相続税の申告期限から3年以内に分割された場合は、小規模宅地等の課税価格の特例や配偶者の税額軽減の特例を受けることができます。

◆3年以内の分割見込書の提出
 特例を受けるには、相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月以内)までに遺産分割を行う必要があります。
 ただし、未分割の場合でも、申告期限から3年以内に分割見込みがあるときは、特例の適用がない状態で相続税の申告書を作成し、申告書と一緒に「申告期限後3年以内の分割見込書」を税務署に提出します。
 申告期限から3年以内に遺産分割が終了したときは、特例の適用を受けて、分割が行われた日の翌日から4か月以内に更正の請求を行うことができます。

◆やむを得ない理由がある場合の承認申請書
 なお、申告期限後3年を経過する日に、裁判や調停など、やむを得ない事情により分割未了のときは、申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月以内に「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出して承認を受けます。判決確定等を受けて4か月以内に分割されたときも更正の請求ができます。

◆土地の遺産分割協議日に注意!
 相続税の申告期限から3年以内に、土地の遺産分割を行い、遺産分割協議書を作成して相続登記したものの、預金など他の財産の遺産分割協議が長引き、遺産全部についての分割が終了してから更正の請求をした場合、土地の遺産分割協議書作成日から4か月以内に更正の請求をしていないときは、小規模宅地の特例を受けることができなくなりますので注意しましょう。

◆遺産分割は相続開始後10年までに
 所有者不明土地の発生を予防するために、改正民法では、令和5年4月より遺産分割未了のまま相続開始から10年経過したときは、画一的な法定相続分で遺産分割されることになりました。
 また、令和6年4月より不動産の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請が義務化されます。ただし、遺産分割未了の場合でも相続人申告登記を行い、登記名義人の法定相続人である旨を申し出ることで申請義務を履行したものとされます。これらの措置は、施行日前の相続にも適用されますので、早い機会に遺産分割協議を進めることをお勧めします。

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