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コラム 2023月12月19日

《コラム》介護離職増加 仕事と介護の両立には

◆介護離職者は年間10万人超
 厚生労働省の雇用動向調査によると2022年の介護を理由とした離職者は106,000人、そのうち男性は26,000人、女性は80,000人、女性が多いのは夫婦で収入の少ない女性が介護を担うケースが多いからと思われます。年齢別では男女とも55歳~59歳が最も高い層です。一方、働きながら介護をする人は365万人、10年間で70万人増加、働く人の5%に達しています。仕事と両立しながら介護する男性は55歳~59歳が最も多く87.8%、女性では40歳~49歳が68.2%と最も多い層です。

◆介護休業とは
 原則として育児介護休業法に基づき「要介護状態」の家族を介護する会社員は「介護休業」を取得することができます。
 要介護状態とは負傷、疾病などにより2週間以上常時介護を必要とする状態を言います。対象は配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。
 休業できる期間は対象家族1名につき要介護に至るごと3回、通算93日まで利用できます。休業予定日を会社に申し出る必要があります。
 また介護休業取得の期間、無給であれば雇用保険被保険者は「介護休業給付」が休業開始前の給与水準の67%支給されます。

◆制度の利用者は少ない
 介護離職を防ぐため国が設けたのが「介護休業」制度です。しかし介護休業制度利用者は厚労省の調査でも数パーセントということです。なぜ利用が進まないか、介護をしながら働く人に理由を尋ねると最も多かった回答は「勤務先に制度が整備されていない」というもので37%ありました。
 介護休業は国で定めた制度なので権利がないということはなく、要件を満たせば取得できるものです。周知不足による制度を知らないという回答も3割はいるそうです。一方には会社としてあまり浸透してほしくない気持ちもあるかもしれません。
 中小企業では両立支援助成金の介護離職防止支援コースが申請できます。介護休業を取った時、代替要員を雇用した時、所定外の労働時間制限や、時差出勤、短時間勤務制度などプランに基づいて行われた時は助成金が受給できます。制度利用させるときは助成金を利用してみてはどうでしょう。

税務トピックス 2023月12月19日

ゼロゼロ融資で1兆円が回収不能か

 新型コロナウイルスの中小企業支援策として政府系金融機関が実施した実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)などの状況を会計検査院が調べた結果、約1兆円を回収の見込めない債権として処理していることが分かりました。ゼロゼロ融資で焦げ付きの状況が判明したのは初めて。ゼロゼロ融資の返済負担は中小企業の資金繰りを圧迫していて、今後さらに未回収額は膨れ上がる可能性も否定できません。

 ゼロゼロ融資の実施から3年が経過し、貸付金の返済が本格化していることなどから、検査院が2020年3月以降の日本政策金融公庫(日本公庫)と商工組合中央金庫(商工中金)によるコロナ関連の貸し付けについて調べました。コロナ関連融資は総額約19兆円で、ゼロゼロ融資が大半を占めます。

 検査院の調査によれば、20年から22年度末までに貸し付けられた約118万件、計19兆4365億円のうち、22年度末時点で約19万件、計3兆3305億円が完済されていました。一方で7291件、計697億円分は回収不能とのことです。理由のほとんどが借り手の破産や生活困窮。さらに税法上確定ではないものの、回収不能が見込まれるとする会計処理がなされていた債権が計1246億円、借り手が経営破綻して回収の見込みがほぼないといったリスク管理債権(不良債権)が計8785億円ありました。完済分についても、別の特例制度を利用した借り換えによる返済が相当数含まれているとみられます。

 ゼロゼロ融資は、コロナ禍で急減な業績悪化に見舞われた中小・零細企業の資金繰り支援策として実施され、倒産抑制に効果をみせました。しかし副作用として過剰債務に陥った企業は多いのが実状です。ゼロゼロ融資を受けたにもかかわらず倒産した企業はすでに1千件を超えています。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2023月12月12日

宝くじ当選金 共同購入で無税

 年末ジャンボ宝くじが12月22日まで販売されています。今回は1等7億円が23本、前後賞合わせると10億円。抽選は12月31日に東京オペラシティで行われます。1等の当選確率は約2000万分の1で、パーセントにすると0.000005%という極めて低い確率ですが、それでも10億万長者という夢をみて、今年も多くの人が購入売り場に列を作っています。

 宝くじを買う際には、「当たったら半分あげるよ」と冗談まじりに言うことがありますが、本当に当たって約束通りに半分を与えることになったときは、税務上は大変なことになります。宝くじに税金がかからないのはよく知られるところであるものの、当選後の贈与となればそうはいかないためです。

 10億円当たって半分の5億円を譲渡すれば、基礎控除110万円を引いた残りの4億9890万円に最高税率の55%を掛け、そこから控除額の400万円を差し引いた約2億7000万円が贈与税として持っていかれることになります。すなわち、約束どおり5億円を分けてもらっても、手元に残るのは2億3000万円だけとなります。

 本当に「当たったら半分あげるよ」を実行するつもりで、当選時に当選金を減らすことなく分けるには、共同購入するべきです。そして、当選金を受け取る際に、分けたい相手と一緒に銀行へ行き、共同で宝くじを購入したことを伝えると、当選金も共同で、それぞれが受け取ることができます。これで贈与税は回避できるというわけです。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2023月12月12日

年末調整は大変! 今年の変更点

 年末調整を終わらせなければならない期限まで残りわずかとなりました。今年の年末調整では、住宅ローン控除や海外親族の扶養控除、配偶者の退職金に関する記載欄の新設など、小粒ながら多くの人に関わる見直しが講じられています。

 今年の年末調整から変わったこととして、配偶者・扶養親族が受け取った退職手当等を記載する「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」という欄が新設されたことがまず挙げられます。所得税の計算では、合計所得金額に退職所得を含む一方、住民税では退職所得は含まれません。そうなると例えば今年に退職した配偶者がいる場合、所得税では所得上限に引っかかって配偶者控除を受けられないものの、住民税では控除を受けられることがあり得ます。これまでの書式では扶養親族の退職手当を把握できず、住民税の控除漏れが散見していたとして新たな記入欄が追加されました。

 ふたつめの見直しは、海外に住む扶養親族の控除要件が厳しく制限されたこと。これまでは16歳以上の国外扶養親族が対象となっていましたが、今年からは「30歳以上70歳未満」のいわゆる現役世代が原則として除外されることとなりました。国外親族の生活実態については把握が難しく、ある程度稼いでいた親族でも扶養控除が認められていたとの指摘を踏まえ、見直されたものです。今年からは、留学などの理由で国外にいる親族、障害者、生活費・教育費として年38万円以上の支払を受けている人という3条件のいずれかに当てはまらない限り、現役世代は扶養控除を適用できません。

 みっつめの見直しが、住宅ローン控除の控除率と適用期間の変更。2021~22年度の税制改正で、住宅ローン控除は大きく変わりました。所得上限が引き下げられ、控除期間が一定の要件を満たすことで13年に延長され、控除率も従来の1%から0.7%へと引き下げられています。これらの見直しは昨年から行われていましたが、住宅ローン控除では1年目は確定申告を行い、2年目以降は年末調整で控除手続を行うため、控除率見直しの影響を受ける年末調整は今年からということになります。

<情報提供:エヌピー通信社>

コラム 2023月12月5日

《コラム》相続対策と課税の公平

 タワーマンション事件では、被相続人が事業承継の目的で取得したマンションの相続税評価は、財産評価基本通達(評価通達)によるのではなく、総則6項を適用した鑑定評価額によるとして追徴課税されました。
 相続人は相続税評価額をマンション取得のための借入金と相殺し、相続税額をゼロと申告しましたが、銀行に残された資料等から一連の取引が租税負担の軽減を意図したものであると認定されました。

◆相続対策に対する課税
 相続対策は、生前に財産を組替え、移転させることにより、課税価格を少なくして相続時の税負担を圧縮させるものですが、これらは法令に従う限り、本来、適法であり、実際、申告には路線価等に基づく評価が求められます。
 一方で、評価通達には、総則6項が別に定められており、通達による評価が著しく不適当と認められるときは、評価通達ではなく、国税庁長官の指示を受けて評価すると規定されていますが、その場合は納税者の意に反して課税されることになります。総則6項の「著しく不適当」がどの程度を指すのか明確に規定されていませんが、最高裁は実質的な租税負担の公平に反する事情がある場合には、合理的な理由があると認められるので、評価通達によらなくても平等原則に反しないと判示しました。

◆租税法律主義との相克
 評価通達によらずに課税庁が評価するとなると、そこには課税庁の恣意性が働き、納税者にとっては自分の申告が適法か予測できず、いつ否認されるかわからない不安定なものとなってしまいます。
 総則6項を適用するのは、行き過ぎた税負担の圧縮が行われたときとされますが、その判断を納税者に求めるのは無理があり、課税庁が財産評価を決め、変更することを自由にできるのであれば、申告納税制度の根幹が損なわれてしまいます。

◆租税公平主義を意識した相続対策
 国税庁はパブリックコメントでマンションなど居住用の区分所有財産の評価について、市場価格と相続税評価額との乖離を埋める基準を公表しましたが、相続対策に対する判断基準を示しているわけではありません。課税庁には恣意的な課税をさせないため、適正な課税ルールを法律で定めることを求めつつ、納税者には今後も租税公平主義を意識した相続対策が求められそうです。

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