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税務トピックス 2022月08月2日

税金の不服、認められるのは1割

国税の課税処分に対して異議を申し立てる手段である再調査請求、審査請求、国税訴訟について、納税者の訴えが各手続きによって一部でも認められた割合は1割強にとどまることが分かりました。一度決まった課税処分を覆すのは極めて困難であることが改めて示されたかたちです。

 税務署や国税局による処分になんらかの不満がある時、納税者はまず処分を行った税務署や国税局に対して「再調査の請求」を行い、結果に不服があれば第二段階の「国税不服審判所への審査請求」に進むという選択肢があります。または、税務署などへの再調査請求を飛ばして、直接審判所に審査請求を行うことも可能です。

 審判所でも処分が覆らなかった時に納税者が最後に取れる手段が、裁判所へ訴えを起こす「訴訟」です。裁判の結果、これまで通例として行われていた課税処分が不適当であると判示されることもあり、判決が全国の税務行政に大きな影響を与えます。

 国税庁がこのほど公表した最新のデータによれば、2021年度に再調査請求は1119件発生しました。一方、前年度分に発生した分も含めた再調査請求の処理件数は1198件で、そのうち、納税者の主張が認められたのは83件、割合にして6.9%にとどまりました。この割合はここ4年ほど10%台前半で推移していましたが、5年ぶりに1桁台に落ち込んでいます。

 次に国税不服審判所への審査請求は、21年度に2458件発生し、2282件が処理されました。16年の制度改正で、再調査請求を経ない審判所への申し立て件数は急増しましたが、そこから徐々にまた減少傾向にあります。そのうち納税者の主張が認められたのは297件で、割合は13.0%でした。他の再調査請求、国税訴訟よりはやや高い数字ともいえますが、認容割合は毎年10%前後で推移していることから考えても、個々のケースの積み上げにより今年はすこし上振れしただけと考えるべきかもしれません。

 最後に、納税者が当局の処分に異議を唱える最終段階である国税訴訟は、21年度に187件発生しています。一方、終結した訴訟は199件で、そのうち納税者の一部勝訴が6件、全面勝訴が7件ありました。両者を足しても、司法の場で納税者の主張が認められたのは6.5%にとどまっています。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2022月08月2日

IT導入補助金 サイバー攻撃対策に100万円

中小企業のデジタル化を支援するIT導入補助金に、サイバー攻撃対策へ最大100万円を補助する「セキュリティ対策推進枠」が新設されました。8月に交付申請の受付を開始する予定です。

 セキュリティ対策推進枠の補助対象となるのは、情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているITセキュリティ関連サービス。大阪商工会議所の「お助け隊サービス」など6月末時点で12種類のラインナップが挙げられています。これらのサービス利用料の最大2年分について、5万円~100万円の範囲で支援を受けられます。補助率は2分の1。

 申請にあたっては、事務局の認定を受けた「IT導入支援事業者」を通じてツールの選定や事業計画の策定、購入、運用といった一連の手続きのサポートを受けなければなりません。IT導入支援事業者を通じて購入したツールでなければ対象にならないため、補助金の利用を考えているのであれば、先走って購入しないよう注意する必要があります。

 中小企業庁はセキュリティ対策推進枠を新設した理由として、サイバー攻撃により「事業継続が困難になる事態を回避し、生産性向上を阻害するリスクを低減するため」としています。すでに中小企業のサイバー攻撃被害は深刻化していて、警察庁によれば近年多発している「ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)」の被害者の約54%を中小企業が占めています。

 日本損害保険協会によれば、サイバー攻撃により顧客1万人分の情報が漏えいした場合の被害想定額は、損害賠償や調査復旧費用など約3570万円に上るそうです。

<情報提供:エヌピー通信社>

税務トピックス 2022月07月26日

(後編)国税庁:2020事務年度の海外取引法人等に係る実地調査結果を公表!

(前編からのつづき)

 海外取引に係る脱税や租税回避を防ぐために各国の税務当局と金融口座情報を交換する新制度(CRS)も積極的に活用しております。
 2020事務年度においても、外国税務当局から受領した金融口座情報を端緒に取引の全貌を解明し、海外の代表者名義口座を利用して売上を除外していた事案が挙がっております。

 調査対象は、製造業を営むA法人で、代表者が海外で保有する預金口座情報をX国からのCRS情報により入手し、その口座に多額の残高があることを把握しました。
 A法人の申告上は、国内売上のみとされているにもかかわらず、税務調査で確認したところ、海外関連費用の計上が認められました。
 この事実に基づき代表者を追及したところ、海外グループ法人に対する役務提供の対価を海外の個人口座で回収することにより、売上を除外していた事実が判明しました。
 調査の結果、A社に対して、5年分の法人税の申告漏れ所得金額1億2,000万円について重加算税を含む追徴税額3,300万円が課されました。

(注意)
 上記の記載内容は、令和4年6月6日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

税務トピックス 2022月07月26日

(前編)国税庁:2020事務年度の海外取引法人等に係る実地調査結果を公表!

国税庁は、2020事務年度の海外取引法人等に係る実地調査結果を公表しました。
 それによりますと、2020事務年度(2020年7月から2021年6月までの1年間)において、海外取引法人等に係る実地調査を4,569件(前年度比▲65.2%、▲はマイナス)実施しました。
 また、海外取引等に係る非違があったものが1,424件(前年度比▲60.8%)ありました。

 非違があった件数は、前事務年度に比べて減少し、海外取引等に係る申告漏れ所得金額も▲36.5%の1,530億円となりました。
 非違があったうちの185件(同▲62.8%)は不正計算があったもので、不正所得金額は93億円(同▲49.2%)となりました。

 近年、企業等の事業、投資活動のグローバル化が進展するなか、海外取引を行っている法人の中には、海外の取引先への手数料を水増し計上するなどの不正計算を行うものが見受けられることから、国税庁では、海外取引法人等に対し、国外送金等調書や租税条約等に基づく情報交換制度を積極的に活用するなど、深度ある調査に取り組んでおります。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、令和4年6月6日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

コラム 2022月07月19日

《コラム》今年の改正税法 完全子法人株式配当の源泉税

◆会計検査院は税制改正を促す為に検査
 会計検査院の指摘があったので、税制改正をしました、という事例が増えています。
 会計検査院は、平成29年度から令和元年度に完全子法人株式等又は関連法人株式等を保有している1667社を検査対象法人とし、そのうち、完全子法人株式等又は関連法人株式等に係る受取配当等に対する源泉所得税相当額について所得税額控除を適用したことにより還付金が生じた法人が1262社あり、それらに支払われた還付金が約8898億6092万円となっており、うち還付加算金が生じていた法人は延べ888法人で、その額は3億6563万円、さらに、うち423社は、源泉徴収した全額が課税対象外の配当金に係るものだった、と記していました。

◆制度の趣旨に沿ってない逸脱規定
 また、完全子法人株式等に係る配当に源泉徴収をしていたことから、企業側に一時的な資金負担をさせた上で、税務署側に於いて源泉所得税の徴収の事務、還付の事務が生じ、その上、還付加算金の事務と実の国庫負担が生じており、これらは、税の効率的かつ確実な徴収の制度趣旨に沿ったものとは言えず、むしろ逸脱ではないかとのニュアンスの指摘をしました。

◆国税は素直に対処するが問題アリと
 会計検査院の指摘は、令和2年11月10日に内閣に送付された「令和元年度決算検査報告」においてなされており、財務省は、令和4年度の税制改正でこれに応じ、完全子法人株式等と3分の1超所有の株式等とに係る配当について所得税課税対象外とし、その支払いをする法人の源泉徴収事務も不要としました。
 ただし、令和4年度の改正だけでは、税収減少になるので次の税制改正で対応策を打出す、としています。

◆税収減対策にどう対処するのか
 確かに、この件の令和4年度の改正は、所得税法での改正のみで、法人税法での改正はなされていません。特に、M&Aで、新たに子会社になった場合などでは、源泉所得税額控除の月割計算により不完全還付になる場合がありますので、その分は確かに税収減に繋がります。
 財務省には、税収減対策の秘策がありそうです。それは従来制度の原理的変更を伴う大がかりなものなのかもしれません。

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